陽炎-墓参り
千早です
幼い頃和尚さんにご先祖様が居たからこそアナタが居るのですよと教わりました
血と共に呪いも受け継いでいるのだろうなと思っています
合宿の残りは滞りなく進み、オートマタの学習が捗った。
え?退魔士?やられっぱなしだったよ。
「長期間の合宿、ご参加くださりありがとうございました」
「「「お疲れ様でした」」」
と閉幕したわけで、打ち上げには支部長を出して未成年を送ると言ってわたしと姉はさくっと退散。
「でも皆最後まで居るとは思わなかったなぁ」
「そうねー、皆頑張ってくれて良かったわー」
「鬼塚は鬼だと再確認した合宿だったよ」
「だよねー彩香ちゃんも鬼塚先生も容赦無かったよね」
「ミンナ楽しそうでよかったデース」
どうも狭いと思ったら、なんで車乗ってるの?
「チハヤのアパートの隣の家を買い取ったデース」
おいおい、ちゃんと空き家だったんだよな?
「空き家でしたヨ」
なら良いのか...よくねーよ帰ってくれ!
「演習場の使用許可も取ったデース、後でスケジュール渡しマース」
「要らないわよそんなの....」
「アルバイト代はだしマスヨ?」
要らないから帰ってくれ。
霞とさっちゃんを送り届けてアパートに到着、
「メアリーの家?なにこれ、平屋だけど随分立派なの建ってるんだけど」
「更地にしてユニット式住居を持ってきたダケヨ」
更地って、2~3件分位やっただろ。かなり広いんだけど。
「テストは多少手伝うけどフルでは無理だからね」
「チハヤダイスキ!」
姉に抱き着きキスの嵐、やっぱり向うは違うなぁ。
「サヤカもありがとう!」
こちらにも来るが、手伝うって言った覚えはねぇ。
「夕飯は引っ越し祝いも兼ねてお寿司にでもしよっかー」
メアリーは生魚食べれるの?
「ダイジョブヨー」
近くの回らない寿司へ歩いていく、良いのか!
「回らないっていっても高級寿司店ではないから」
カウンターに並んで座る。
よくよく考えたら毎回なにか食べてる気がするね。
「アナゴ」「イクラ」「エンガワプリーズ」
「「?!」」
おしぼりで手を拭き、お茶を飲んで一息。
「メアリーさんはいつまでこっちに?」
「モドル必要は無いのヨー」
え?なんだって?
「コッチでお仕事してデータかアイテム送るか引き取りに来させればイイノヨ」
お帰りはあちらですよ?
「戦闘をしなくても一緒に過ごすだけでもゼンゼンいいのヨ」
それならこんど霞とさっちゃん連れて行こう、戦闘テストも時々ならいいよ。
それにしても箸使いが上手ね。
「大トロ」「イクラ」「納豆巻きplz」
「「?!」」
「納豆ご飯もイケるわヨ」
「卵かけごはんは?!」
「アレは無理ネ」
白人の皮を被った日本人かと思ったぜ!
部屋に帰って先輩にtelする、ちょっと緊張するね。
『はい、綾ですが』
「もしもし鬼塚彩香です、いまダイジョブですか?」
声が震えそうになるのを我慢する。
『はい、大丈夫ですよ』
「こ、今度の日曜日映画でも見に行きませんか!」
『はい、では何時に待ち合わせ、いえお迎えに行きましょうか?』
え?え?!それは止めてください!
「10時に駅前でお願いします!」
『分かりました』
よし、暗闇で密着(隣の席)か!ポップコーンのあーんもできるな!(無理だ)
「では日曜日たのしみにまってます!」
『はい、では日曜に』
よっし、天に向かって拳を突き出す。
その時ドアがノックされる。
「彩香ちゃん良いかしら」
「な、なんでしょうおねえしゃま」
なんというタイミング、聞かれていたのか?!
「明日なんだけどお寺さんとお墓参りにいきましょうね」
そういえばお盆か。
「何か持ってく物は?」
「数珠だけで良いかな、実家には寄らないから。私が持ってるから忘れてたら明日言ってね」
07:00墓地
ここの墓地って変な所にあるよねぇ...車も近くに置けないし。
「まぁそうね、丘を2つ超えた先の丘の上なんてね」
しかも周りに日陰も無いので暑くて仕方が無い、下は砂地で歩きにくいし。
「相変わらず墓は立派だなー...ん?」
うちの墓の前に誰か手を合わせてる、誰とも会わないように早めに出てきたのに。
「お姉ちゃん?アレ、ちょっと普通じゃ無い人が居るんだけど」
「そうね、でもうちの墓で手を合わせてるって事は...敵では無いんじゃない?」
その人と対面する。
身長190~2000cm、見上げるように大きい。
一瞬先天性白皮症かと思ったが白髪らしい、腰までのストレートロング。
此方を見つめる真っ赤な瞳、敵意は感じない。
着慣れた感じのする藍色に白の菊の着物と白の草履。
胸は、着物の上からわかるほどに大きい。しかも姉より大きい...あの狐に匹敵するサイズだ。
なに?最近爆乳しか出てこないんだけど?どういうつもり?
わたしと姉をじっと見つめる、じっと見つめられる...
その瞳からは何かしらの感情が見えるのだがよくは分からない。
姉が先に口を開く。
「あの、どちら様でしょうか」
答えは無い、ただただ見つめられる。
んんー?敵意はなさそうなんだけど、何だろう観察されてる感じ?
いい加減に、と口に出す前に横を通って去っていく。
蝉の声に紛れてよく聞き取れなかったが、また会いましょうと聞こえた気がした。
入檀しているお寺に行くには十数キロ離れているので車で行く。
なんでうちの家はこんな離れている寺に入ってるんだよ...
あまりに異質な来客に車の中の空気が重い。
「お姉ちゃん、アレ何だったと思う?」
「分からない、只の一般人には見えなかった」
しかし何かを感じた訳では無い。
じっと見つめられただけ、また会いましょうと言われ気がしただけ。
「和尚さんなら知ってるかもしれないわね」
和尚?なんで?
「彩香は知らなかったかもしれないけど、うちの分家なのよ」
知らなかった、そんなの…
先にお寺に行き手を合わせてから住居に向かう。
「おはようございます、和尚さんいらっしゃいます?」
「おや千早様!おはようございます彩香様まで、どうぞお上がりください」
「いえ、そこまでの物ではありませんので」
「そうですか、今日はどうしました?」
「実は...」
「うーん、記憶には有りませんね」
「そうですか、うちの墓に手を合わせていたので関係者かと思ったのですが」
「お力になれず申し訳ないです」
「いえ、ありがとうございます。失礼します」
駐車場の車に戻る。
鬼塚の関係者では無かったか、もしくは本家にしかわからない事か。
「知らなかっただけかもしれない、まだ分からないわ。少し用心しましょう」
最近は先輩が転移しないから平和だったけど...
メアリーといい白髪の女といい、面倒が起こるフラグだなこれは。
「そういう言い方がまさにフラグだと思うんだけど、ファミレスで朝食でも食べよっか」
そうだね、朝からヤな気分だしリフレッシュしたいね。
「もしもし、はいそうです。どうやら千早様と彩香様に直接お会いに行ったようです」




