陽炎-積む
メアリー・ピックフォードよ
さぁ私の可愛い子供達
狭い部屋を飛び出して広い世界に遊びにいきましょう
12:00
「メアリーさんそば啜るの上手だね」
「3年位住んでましタ、ウドンも好きヨ」
というかテストなんて本国行って好きなだけやんなさいよ。
なぜ相手をさせられないといけないのだ。
ここは三鳥様が良くいくというお蕎麦屋さん、皆で天ざるを頼む。
「三鳥様天ぷらすごい美味しいです」
「そうであろう、支払いも任せるが良い」
そういって無地のカードを見せる、姉が支払うのでお止めください。
「で、メアリーあんたいつ帰るの?」
「帰らないデスヨ?」
「住む場所はどうするのよ」
「チハヤの家に住むワ」
そんな場所あいてねーよ。
「ならチハヤの近くを買い取るワ」
おいおい、やってくれるじゃねえか。
pipipi!っとデバイスを操作する。
『ヒルダ聞いていたわね?その辺りの手続きをお願いを本国のレミーに連絡しなさい。演習場の使用許可も取る事』
『了解』
「大丈夫ヨ」
今すごい不穏な会話が有ったように思えるんだが、姉も嫌な顔をしていた。
「あの子はホントウに退魔士?動きが鈍くて殺してしまうかと思っタワ」
そういって箸で先輩を指す、箸はやめなさい。
「綾くんは体調が悪いの、むやみやたらに攻撃しないで。皆が強いわけじゃないの」
「ゴメンナサイ、チハヤの友達ならダイジョウブだと思っテ」
「大丈夫ですよ、今後は気を付けてくださいね」
腕が痛いはずなのに先輩は優しいなぁ。
しかしあの人間と遜色無い外見をしているオートマタは何で動いているんだろうか。
感情を感じさせない瞳が先輩の師匠とは違った人形の人外めいた美しさを出している。
「メインは電気ネ、ベースキャンプでチャージ出来るノ。サブでワタシの魔力と混ぜてノンチャージで半年は戦闘行動が可能ヨ」
なんだそれは、エネルギー革命万歳じゃないか。
「サブって言ってもメアリーの馬鹿魔力があればこそよ、運動音痴だけど魔力だけはすごいの」
それでは第三次エネルギー革命は出来ませんな。
「ランチが終わったらテスト再開ネ!」
フル装備でお人形ぶっ壊してやろうか?!
「まぁ千早と彩香は相手しても良いのではないかの?」
三鳥様?
「遊べる機会もそうそうなかろ、今日明日なら邪魔も入らのではないか」
「ソーヨ、チハヤ、サヤカ遊びまショウ!」
絶対遊びじゃすまないわ、けど良い機会なのかもしれない。
「傷ならば我が癒してやろう」
結局午後からテストになってしまった。
いつもの戦闘用の黒のジャケットに着替えて刀を背負う。あ、アレではないです。
「鬼塚かっこいいな」「えーと、プロの殺し屋さんみたいな?」
さっちゃんそれは酷くない?
さてお姉ちゃん準備okだよ。あれ?お姉ちゃん?
「彩香ちゃんだけでも大丈夫でしょう?」
そりゃないぜ姉者。
「彩香1人でも行けるであろ」
三鳥様まで...ってマジでぇ?
1vs3か、行けるっていってくれてるんだしがんばろう。
なるほど、テストをしたがる訳だ。
「学習型なのヨー、ファーストコンタクトでは私が全て指示してたのヨー」
素手は苦手なので結界を撃ち抜くのは難しかったが、刀なら行けるな。
「簡単な戦闘経験値しか積んでいなかったから遊んでホシイのヨー」
姉の場合は加減がすぎたんだろうと思う。
オートマトンが手加減してくれるなら霞とさっちゃんも一緒にやるとこちらも捗りそうね。
「この娘達は視覚や思考もリンクしているカラ、人間には出来ない連携が持ち味ヨー」
なるほどね、そりゃ怖い。
「それじゃあそっちも素手でやってくれないかな?」
「ok、ミンナであそびマショウ!」
「ちょっと鬼塚!」「彩香ちゃんひどい!」
ふっはっは、巻き込んでやったぜ!
「コンビニで悪いんだけど夕飯買って来たわよー」
おー、って霞とさっちんぼろぼろね。
「だってよ鬼塚、アンドーさんは疲れないんだぜ」
「普通に強いんだけど彩香ちゃんよく相手できるね...」
単純な力比べだと、勝てないよ。うん多分勝てないよ多分。
「メアリーさんはどうして人型、しかも女性にしたんですか?」
人型である必要は無いはずだ、むしろ不利のはずだ。しかも女性型など。
「簡単デース、私の子供達なのデスカラ」
「そしてもっと簡単デース、私と同じ性なだけデス」
なるほどね、とっても簡単だ。
「私の子供達は美しく強いでショウ?」
「そうですね、綺麗で強いと思います」
「私は運動が苦手でス、その分を強いる事になりマスガ、私の子供達ならキット...」
願いなわけだ、そうだね。
「んじゃあお風呂いこっかー」
「温泉はいいよねぇー」
彼女達、創られた戦乙女を見る。
人と変わらないように見える、少なくとも外見上は。
どういう技術力なんだろうか、考えた所で自分にはわかりはしなかったが。
視線を感じたのだろう、ヒルデがこちらに近づいてきた。
[綾、貴方は退魔士なのですか?]
「退魔士のようなものです、ただ体調を崩していまして。今は一般人以下です」
瞳をよく見る、よく見る...
なるほどカメラだ、ズームイン/アウトしているのが分かる。
よくよく見なければ分からない程だ。
[どうしました、綾]
「目がね、少し気になりまして」
大分顔を近づけていたらしい。
「すみません」
髪に砂埃が付いているのに気が付く。
「髪が汚れていますよ」
[人とは違い分泌物は有りませんがクリーニングは必要です]
「お風呂に入らないといけませんね」
頭の砂埃を払ってやる。
髪を触った時に感じた、人と同じ?
何処までが人と同じなのだろうかと。
驚かさないようにゆっくりと。
頬の汚れを手の平で拭う、人と同じ...
人差し指の甲で唇に触れる、柔らかく、暖かい。
本当に人のようだ...そう思っていると突然ヒルデに人差し指を啄まれる。
「?!」
思わず手を引いてしまうが、失礼な事をやっているのは自分だ。
「すみません、突然こんな」
[いいえ、問題ありません]
「すみません、自分も風呂へ」
居たたまれなくなり、逃げるように場を離れる。
ヒルデの視線を背に感じながら...
マスターに日本式バスルームの使用方法を教えてもらい、クリーニングを完了する。
24:00本日獲得した経験値をアップーデートし姉妹全員で共有する。
戦闘経験以外にも日常生活の経験も共有する。
我々は生まれたばかり圧倒的に経験値が足りない。
戦闘データを上げる。。。。。。。
それ以外のデータを上げる。。。。。。頭の埃を払われ、頬の汚れを拭われ、唇に触れられた事がフラッシュバックする。
私は何故彼の指を啄んだのか、これは貴方がプログラムした条件反射なのですか?マスター。
結局私はこの事はアップデートしなかった。




