陽炎-鍛
綾凪です
返しきれない恩がある人が居ます
どうやって返せば良いのでしょうか
取り合えずお中元を送ることにします
15:00宿泊所
三鳥様の社から戻るとまだミーティングをしていたのでもう一度2vs28をする。
少しは学習したらしい、退魔士が指揮している様子がうかがえる。
「遠距離組は撃ちまくって近づけさせるな!」
結界で防御を固めるがわたしは防御系術式に自信がある訳では無い。
煙幕替わりに地面に術式を打ち込み土砂を巻き上げる。
あとは適当に逃げ回っていれば、姉が横から奇襲という訳だ。
鈍い音をさせ敵チームを蹂躙していく姉。
わたしも行こう、大きく跳躍、術式を使い己を弾丸のように加速させる。
お?田嶋さん今度は参加したんだね、良い顔になったね。
姉を睨み出るタイミングを見定めているようだ、早くいかないと姉に全滅させられるよ?
後ろがお留守ですよ、彼女の肩をポンと叩いてやる。
「?!」
振り向いた彼女に右のボディブロー、頭を掴んで起こして腹部にヒザを入れると動かなくなった。
さて、かわいいかわいい愛しののさっちんを探そう。
あ、霞も探さないと。
18:00宿泊所
「お姉ちゃん精進料理おいしいね」
「そうね、今度家でも作ってみましょうか」
「手間かかりそうだから平日は厳しいかもね」
2人で和気あいあいと夕飯をいただく、他のメンツは黙ったままだ。
あまりに辛気臭いのでつい口に出してしまう。
「嫌ならどうぞお帰りください、もともと自由参加ですしね」
「!!!」
全員の顔を見て姉が口を開く。前に支部長が切り出す。
「私どもの地域に春に体長40mもある怪物が出ましたが、そういったものに少人数で対処できるとは思えません」
「あの様な化物が連続で現れたため、他地域にも危機感を持って欲しく合同訓練を提案しただけです」
「若年層を集めたのは夏休みで集めやすかったのはありますが」
「これからの世代だからというのもあります」
「これを機に現役世代もやってみてはいかがでしょうかという話です」
退魔士は秘密主義も多く個人~少人数で行動する事が多い。
うちの支部でも地域会議にすら出ない者は多いのだ。
春にあれだけ人が居たのは引退宣言しているおじいちゃんおばあちゃんも引っ張り出したからなのだ。
幸いうちの支部では春の祭りのお蔭で、名のある退魔士がリーダーシップを発揮して少しではあるが纏まりつつある。
「お、鬼塚の地域はどうしているんだ?」
そうだよねー今回参加してないからね。
「あそこの地域は分家や周辺退魔士と共に、普段から団体訓練を行っております」
訓練しているんだよね、本家は参加しないんだけどな!
「本家は参加しないのか?」
「えーっと...わたしたち含め本家はそういうのが苦手でして...」
姉をちらりと見る、目をそらす姉。
「この姉が最たるものなんですが、他の方を巻き込むというか...」
ざわざわと参加者が騒ぎ出す。
(やはり港の大破壊は鬼塚だったか)
(松林を薙ぎ払ったとも聞いたぞ)
(私は海岸線の形を変えたってきいたわ)
殆ど事実ですけどね?!
注目される姉が口を開く。
「魑魅魍魎が闊歩していた大昔ならいざ知らず、現代において大物は隠れるか和平を結んでいます。あの様な大物が敵意を持って現れるのは非常に稀です」
「多少訓練方法とかこれを機に支部間でも考えてくれればなと」
「ぶっちゃけると退魔士同士もっと仲良くしましょうって事です」
「「「「仲良くしようって気がない訓練だったよな?」」」」
「仲良くしましょうって訓練だったよね、彩香ちゃん?」
今度はこちらを見る姉、目をそらすわたし。
20:00
ふー...流石温泉が豊富なわがド田舎だぜ。こんなにおっきいお風呂があるなんてね。
肩まで漬かっていると昼にぼこった田嶋さんが睨んでくる。
なんだよ田嶋ちゃんおっぱいそれなりにあるじゃないか、ちょっとわたしに寄こしなさい。
じーっと睨んでくる、ごめんよお昼にボディだけ狙って攻撃して。
ゲロインの称号を与えるから許しておくれよ。
すると突然立ち上がり、わたしに向かって指を突き付け、
「この合宿中に絶対ぶっとばしてやんだから!」
「田嶋さん綺麗な体だね、うらやましいな」
田嶋さんを無視して正面から乳を揉む。
最近乳を揉んでばっかりのようですが、完全なノーマルですので問題ありません。
「にゃーにゃにをする!」
胸を両手でかばい、そのまま逃げてしまった。
「最近彩香ちゃん胸揉み過ぎじゃない?」
「そうそう、あたいも今日鷲掴みにされたんだぜ」
「揉むと大きくなるってエロい人が言ってたよ?」
「鬼塚知ってるか?バストサイズは15歳付近で決まるらしいぞ」
「うそだろ?!」
「そんな事はないわよー、私は20過ぎてからも上がったわよー最近もちょっと大きくなったかもー」
良かった、希望はある。
「まだでかくなる...だと?」
「実はそれ垂れ「何かいった?彩香ちゃん」
わたしの頭を鷲掴みにしないでください、痛いですお姉様。
「お姉ちゃん、わたしこれから主様の所に行くんだけど、ok出たら明日休むね」
「はいはい、私達残りは直接参加しないから大丈夫よ」
「鬼塚どうするんだ?」
「ちょっと自分の訓練をね」
21:00
膝をつき、三鳥様にお願いをする。
「宜しければ明日鍛錬を手伝っていただきたいのです」
「千早から聞いたことが有る。構わぬよ、アレをつかうのだろう?」
「はい、何時頃よろしいでしょうか」
「では9:00までにここへ来るが良い」
「ありがとうございます」
okがでた、アレ使うの久しぶりだなぁ。
23:00
部屋割りは姉わたしさっちゃん霞の4人だった、交流とかもう関係なくなってるよねこれ?
「部屋なんて寝にくるだけだからどうでも良いのよ」
いいのかよ、それよりok出たので明日休みまっす。
「はいはい、私も見たかったな彩香ちゃん」
家で物は見てるじゃないか。
「なー鬼塚、アレって何?」「秘蔵の剣とか?」
「そうだよ、特別に打ってもらった1本だよ」
そう、本当に特別に作ってもらったスペシャルな一品なのだ。
「へーもしかして名前とかついてんの?」
そう、制作者が付けた。
「制作者は幻想殺「おい止めろ」
制作者が言ったんだ、わたしじゃないよ。
「奇妙な縁もあったものよね、彩香ちゃん」
「そうだね、奇妙な縁もあるもんだよね」
「「?」」
「製作者はその刀に綾って名前を付けたんだ」
09:00
「時間通りであるの、中から転移するので入るが良いの」
「ありがとうございます」
三鳥様に転移してもらうと室内ではなく野外だった。
滝がある水場で、ここは?
「ここは別の霊山であるの、元から人が立ち寄らない所であるの」
なるほど、遠くに来たのか。
「探索は済ませてあるので目は聞いておらんの、結界も張ったので問題ないの」
サンキュー 神さま!!
いいってことよー
「ノリが良すぎませんか三鳥様」
「いいって事であるの」
刀袋から綾を取り出す。
「禍々しい刀であるな」
三鳥様はそう感じるのか、わたしは神気を感じる。
「製作者は神をも斬る刀だって言ってましたけど」
「であろうな、故に禍々しく感じるのかもしれんの」
この刀は征十郎さんが綾と名付けた太刀で、全てが5千年を生きた古い龍の素材で出来ている。
刀身は牙、他は骨、柄巻きは皮とヒゲ、鞘は赤く血を使っている。
背の低いわたしにはちょっと長い。
鞘から引き抜く、刀身は真っ白で光を反射しない。
型通りに振ってみる。
「ふむ、後始末はしてやるのでそこの岩でためしてみればよかろ」
「う、ちょっと待ってください。いきなり岩とか刃こぼれしちゃう」
「古龍の牙で作られた太刀なんぞ岩如きで刃こぼれせんわ、大体どうやって創った?」
うう、だって怖いじゃないですか。
「魔力を込めんでも岩位なんともないであるぞ」
三鳥様に言われて岩の前に立つ。
上段に構え、袈裟に斬る。
やばい、ふだんのと違って長いから....って地面も切れてるうう。
「いきなり大地に切り付けるとは、大事にされている太刀であるな」三鳥様が笑う。
うぐぅ....引き抜くが砂埃すら付いていない。
「適当に振ってもコレか、流石であるな」
「そうなんですよ、これが術式をさらに通しやすくなってまして..」
「使うものが使えば...か」
そうなんですが...
「何かあるのか?」
「実は製作時にわたしの血を混ぜ術式を練ったんで、わたし以外には紙もきれないっていう...」
「...鍛錬を怠るなよ」
「荷が重いっすね...」




