雨-狐入り
綾凪です
お前の姓は名の様だと師に言われました
師には外では綾、2人だけの時は凪と呼ばれています
あれか ぐぬぬちょっと穴が小さいのじゃ
む ぐ おおおっ
ふいー やっと出れたのじゃ
流石 儂 天才 褒めても良いのじゃぞ
しかしここは神気の薄い所じゃて
匂いは 雨で消えておるか
時間はある 物見遊山と洒落込むかのう
日曜13:00自宅
「その時我に電流走るー!」
使い方間違えてますよ三鳥様。
「下界の事は疎くての」
そうですか、でいかがなされましたでごぜいましょうか。
異質な気を感じたものでの。
「こいつ直接脳内に・・・!」
「今我の事をこいつとゆうたか?」
「ネタです!ネタなので許してください!」
三鳥様とTVを見ながらおせんべいをかじる。
特に面白いもんないな、雨が上がれば外に出たものを。
リモコンに手を伸ばそうとしてテーブルの赤黒い宝石に目が留まる。
先輩がドラゴンの戦利品と共に渡してきた物だ。
姉のジャケットに転移で入れられた物で協会には報告していない。
しっかし気味の悪い色してるなーこれ。
「レッドダイヤであるぞ」
え?バカ高いやつじゃないですか三鳥様!
「であるが我は宝石としての価値は見ておらぬ。特筆すべきは内包するちからであるな」
すみません、わたしにはあまり感じる事が出来ません。
「そろそろ読心術を使わせるのをやめい」
「失礼いたしました、そんなにすごい物ですか?」
「長年、恐らくは千年以上を生き、散々命を啜ってきた化物の遺骸であるからの」
「命を啜るですか」赤いドレスの女を思い出す。
「その女であるよ」
すぐ心を読むじゃないですかーやだなー、というかアレって人の手で倒せるもんだったの。
「ほれ、おぬしの学び舎にいるアレであるよ」
「先輩ですか、魔法でドカーンとですか?」
「物理で殴って倒しおったよ」
やはりLvか、Lvを上げれば万能なんだ。
ずっと気になっていた、あまり知りたくはない内容。
「そうであるなぁ、人であるのは間違い無いの」
「心を深読みしすぎじゃないですかね、三鳥様」気にしたら負けであるの、と。
「だが、人の身でどうすればあの様なちからを...」
異世界か、この前は街中だったけど外はどれだけ恐ろしい世界なんだろうか。
ううーむ 皆ハコに乗って移動しておるのじゃ
歩いている人間がおらぬ
儂のこのらぶりーぷりちー魔眼の虜にしてタダ飯くろうてやる計画が通じんのじゃ
しかし統一感も美的センスもない建物ばかりじゃのー
もう少し我慢してやるのじゃ
15:00自宅
「三鳥様、近くのカフェでアイスでも食べに行きませんか」
「せっき煎餅ぼりぼり食っておったろうに、もう食うのか」
「甘い物は別次元ですよ、徒歩ですがそんなに遠くないです」
「仕方ないの、愛に溢れる我が奢って進ぜよう」
「三鳥様お金持ってたんですか?!」
「神であるぞ、見よこのカード!」
真っ白で刻印もない、磁気テープとチップしか見えないカードを取り出す。
「盗んだか捏造したんですか?」
「これは国から渡されたものでの、支払いは全て税金から...」
「なるほど安心ですね、わたしが出しますのでどうか仕舞ってください」
三鳥様と相合傘をして歩いてカフェに向かう。
住宅街にあるカフェだがジェラートが美味しい。
何を頼もうか、心躍らせながら歩いていると道路の向うから場違いな恰好をした女がこちらを見ている。
黒のパンプス、黒ストに白黒のクラシックメイド服にエプロンドレス。
鮮やかなブロンドヘア、前髪パッツン姫カットで後ろ髪は腰まである。
頭頂部に白生地黒リボンのカチューシャそして犬のような耳が、どこのメイド喫茶からいらっしゃったのですか?
メイドは二車線の道路を一足飛び、ふわりと目の前に降り立つ。
雨の中傘をさしていないが濡れた様子が無い。
人外のような美しさを持つメイドは見上げるように大きかった。
先輩と同じ、もしかしたらそれより上の180~190cm。
なにより、
「乳がくそでかい」
思わず口に出てしまった。
だがメイドはこちらではなく三鳥様をずっと見つめている。
「そこな烏、人間を探しているのじゃが」
「犬公風情が、大した口の利き方よの」
うわぁやばい、どうかんがえてもやばい。
死ぬかもしれない、だけどわたしがやらなければ街が滅ぶ。
「すみませんすみません、街中ではどうかどうか!」
2人?の中に割って入る。
ん?と首をかしげるメイド。
「人間の雌よ、お前から綾の匂いがするのじゃが知っておるか?」
「これがじぇらーとというものか。向うにもあいすくりーむは有るがこれは食うたことがないのじゃ」
「ハッ、田舎から出てきた犬公が。良く味わって食うがよいの」
三鳥様、ここは正真正銘ド田舎の地方都市でございます。
メイドがじろりと睨むがすぐにジェラートにかぶりつく、先輩ハヤクキテー。
「すみませんメイドさんは綾先輩とどういったご関係なんでしょう」
「ん、儂が師で綾が弟子なのじゃよ」
・・・え?もしかして異世界の?
「そうじゃよ、時空を飛んで今朝ここに来たのじゃよ」
先輩は週一転移してたけど、向うから来るのも簡単なんだろうか?
「それなりに大変であったのじゃよ、此方は神気が薄くてのう困ったものじゃ」
そうなのか...ってこの人(?)も心を読むのか!
自動ドアが開いて先輩が入ってきた。
「空様どうやってこちらに」
「おお綾じゃ、この人間の雌にじぇらーとを貰ったところじゃ」
そう言ってメイドが先輩に飛びつく、なんかボディタッチおおくね?
抱き着かれたまま先輩がこちらに顔を向ける。
「ありがとうございます、彩香さんと..」
「三鳥一である」
「三鳥様ありがとうございます」と言って頭を下げる。
「空様すごく食べたんじゃないですか?おいくらでした?」
「いえ、ジェラート1つだけですし大丈夫ですから」
「わかりましたでは今度どこかに食事にいきましょう」
おーう、ジェラート1つでデート券getだぜ安いもんだ!
「では申し訳ありません、ちょっと空様を問い詰めたい事もありますので今日は失礼しますね」
「悪い事はしておらんのじゃ!」
そういってドナドナされていくメイド服。
異世界からの来訪者か、残っているジェラートに手を付ける。
三鳥様が難しい顔をしている、どうしたのだろうか。
「どうしました三鳥様」
「いや、転移でかなりのちからを消費したのであろうなあの犬公」
そういや大変だったって言ってたような。
「それでもかなりのちからを残しておるの」
三鳥様からみても?思わず手が止まる。
不安な顔をしていたのであろうかわたしに向かって、
「そう、易々と負けはせぬよ」
やっぱ異世界ぱないの。




