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現界⇔異界  作者: MayaMaya
11/40

雨-不審

彩香です

雨には嫌な思い出があり好きではありません

でも姉の手の温かさは忘れることはできません

日曜12:00

1人だったのでカップラーメンをすすっているとTVから嫌な知らせが流れる。

『気象庁は○日頃に梅雨入りをしたと見られると発表しました』

そうか、この前衣替えだと思ったら梅雨かぁ夏が近いね。

きっついのが連荘だったので先輩に頼んで異世界転移を自重してもらった。

お陰で穏やかな週末だった。

悪魔祓いの聖子さんは京都を観光してから帰ると言って早々に旅立ってしまった。

あぁ、こんなクソ田舎にゃ有名な観光名所の1つも無いしな!

しかし雨は陰鬱な気分にさせる。

食べ終わったら武器でも磨いておこうかな、手入れしておかないと錆びとかでるかもしれないし。

女子高生のする事じゃあないな。

空をみる、どんよりと曇っていてジメジメして気持ちが悪い。

先輩は雨好きそうな顔してるよね。


月曜16:00進路指導室

使用中の看板をドアにひっかけ内側からカギをする。ナニをする訳じゃあないよ?

先輩の向かい、姉の隣に座る。

先輩は長袖のシャツだった。

「この前はありがとう、その、助かったわ」

目をそらしながら礼をいう、ナニがありがとう?

「こちらこそ申し訳ありません、未熟故あのような方法しか取れなかったのです」

そう言って頭を下げる先輩。

「では1つ1つ聞いても良いかしら?」

「答えられる範囲で、ですが」


1年の6月から異世界に転移をするようになった。

学校の怪異は全て先輩が犯人で、転移するための行為だという。

転移するのにチャージ的な問題があるらしくで週一位だという。

理由は分からないが長期滞在が出来ず3日位で強制送還される、即時帰還は可能。

詳しくは言えないが自分が強くなるためにむこうへ行きたいらしい。

自分が転移するとこちらに影響があるとは知らなかったごめんなさいと言った所だ。


「向うで強くなるって、Lv上げとかチートスキルとか貰えるとか?」

ゲームみたいで楽そうで良いなそれ。

「いいえ、普通に筋トレとか組み手をするとか魔法を教えてもらって訓練とかですね」

Lv制とかだと楽そうだよね実際。

「大体はわかったけれども今後どうしたらいいのかな、あんなの立て続けに来ると正直ね...」

「それなんですが、今週行ってきても良いでしょうか」

「どういうことかな?」

「時間を決めて移動、即帰ってきます」

「つまり?」

「先生方が戦っている化物が気になるんです」

「覚えがあるのね?」

「...はい」

少し考え込む姉、協会への言い訳を考えているのだろう。

「いいでしょう、それで私達はどうすれば良いのかしら?」

「予測pointにて迎撃準備を、公園周辺でしたか?」

「あとは海岸や学校周辺の森林とかね、幸いにして住宅街が外れている。何かしらのパワースポットがターゲットになっているのかしら」

「わかりました、では金曜夜21:00予定で行きましょう」

「了解、学校には1人でいいのかしら?」

「はい、帰還後電話します」

本日はお開きになった。

部屋を出る時に背を向けたまま先輩が、

「自分だけで他の方に迷惑は掛からないと思っていたんです、すみません」

そう呟いて出て行った。

まぁ向う行けばこちらの事は分からないだろうしね。




火曜11:00

校内を巡回する、協会には適当に言ったがそれなりの人数を確保してもらえそう。

しかし昨日は随分落ち込んでいたわね、2年も知らずに繰り返していたと思えば無理もないかしら?

3年A組は体育か、狙って巡回しにきたのだから当然だけど。

相変わらず見学なのね。

体育の先生に軽く手を振って綾を指さす。okサインが出たので綾に手招きをして保健室に連れ出す。

「いつも見学なのね、クラス変わって2か月だけど友達は出来た?」

コーヒーを差し出す。

「いいえ、必要ありませんので」

必要無いと来たか、高校生がそれじゃちょっと寂しくないかな。

色々と踏み込んで聞いてみたいのだけど、選択肢を間違うとBadEnd一直線になってしまいそうで怖い。

かといって当たり障りのない会話ではこれ以上の信頼は望めないだろう。

恥を忍んであの夜の事を切り出す。

「あ、あれはどうしてああなったのかしら!」

緊張しすぎて何を言っているのかわからなくなっている。

「傷を治した時のことでしょうか」

私の慌てようにすぐ思い当たったようだ、恥ずかし過ぎる。

「そうよ!あああああんなキスしないといけない回復術式なんて聞いた事がないわ!」

「師匠に教わったのですが、そうする事で相手とより深くつながり回復力が増すのだそうです」

師匠に教わった?

「回復魔法が得意でなくて、すみませんでした」

彼はそういって頭を下げる。

「いえ、傷を治してくれてすごく助かったし...その」

頭を上げた彼と目があう。

貪るような口づけをされた夜を思い出す。

無意識に自分の唇に指で触れてしまって...違う!もう一度とかそういうのじゃないから!

KOOLになりなさい鬼塚千早、でもさっ聞き捨てならない事言ってたわね。

「師匠に教わった?」

「はい、異世界で幸運な出会いをいたしまして、その方にご教示いただいているのです」

「つまりその人にディープキスを教わったと?」

「端的に言えば、まぁそうなります」

「男?」

「いえ女性です」

先程まで浮かれていた頭が冷めていくのがはっきりとわかる。

どうしてやろうかしら...

「...鬼塚先生?」

「大丈夫よ、えぇ大丈夫」

彼を捕まえようと両手を伸ばしてー...12時を告げる終鈴がなる。

「また向うの事教えてちょうだいね」

かれの両肩をポンと叩く。

「はい、わかりました」


彼が出て行って机に突っ伏す。

私は何をやって何をやろうとしたのか!

大体キスしただけで付き合っている訳で無し、何に嫉妬しているというのか。

彼にとっては人工呼吸と同じに違いない、それを勘違いして1人で舞い上がって...

そう思うと涙がでてきた。

暫く彼の顔は見れない。


20:00自宅

今日は姉の様子がおかしかった。

「お姉ちゃん、今日何かあった?」

「...なんでもないわ」

なんでもあるんですけどー?どうしたんですかー?

「わたしじゃ力になれない?」

上目遣いで甘えてみる。

「なんでもないわ!」

背を向けられる。

これは困った、一体どうしたというのか。

「金曜の夜までに解決出来そう?本当に大丈夫?」

ビクリと肩を震わせる、協会の方は解決してやることは無いはず。

先輩か。


水曜12:00学校

屋上には出れないので踊り場に先輩を呼び出して一緒に昼食を取る。

「先輩、お姉ちゃんに何かしました?」

おにぎりを食べていた手を止め、こちらを向く。

「あぁそうですね、先生が怪我をした時に医務室で人工呼吸をしました」

「はああ?!ちょっとそんなの聞いてないんだけど!」

胸ぐらを掴む。

「お姉ちゃんに何してんのよ」

「彩香さん落ち着いてください、人工呼吸です人命救助です」

「じゃあなんでお姉ちゃんがあんなになってんのよ!」

両肩を優しくつかまれる、いつもと同じ表情で。

「ただの人工呼吸ですよ」

そういえば異世界に行った時もずっと同じ顔してた。

「ただの人工呼吸です」

笑ってるようなその実無表情。

「ただの医療行為ですが」

この人にとって本当に医療行為だったんだろう。

「私が原因であれば私が何とかするべきでしょう」

それをお姉ちゃんが勝手に勘違いをして、

「これ以上お姉ちゃんに触れるな!」

「それは出来ません、私と先生の問題です」

「お姉ちゃんは大切な人だ!お姉ちゃんを傷つけるような奴は許さない!」

「誤解を解きに行くだけです」

先輩の右手が優しい光を生み出す。

「本当に誤解を解くだけです、信じられないかもしれませんがどうか今だけは」

わたしは急激な睡魔に抵抗できず意識を失ってしまった。

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