10/40
初夏の嵐-After a storm comes a calm
『コレね、なかなかのモノじゃない』
深夜、即身仏が安置されているお堂に赤いドレスの女が居た。
『やられっぱなしは面白くないじゃない?』
手を翳し力を注ぎ込もうとして、そっとその手を掴まれる。
「すみません、ここで騒ぎたくはないのでご一緒していただけますか」
不意に景色がかわる、海岸に転移する。
『お前は誰だ、いや違うな何だ?』
軽く握られたように見えるその手を振りほどく事が出来ない。
「このまま帰ってくだされば、この手を放して差し上げますが」
『ここまでされて黙って帰れるはずが無かろう!』
空いた腕で魔力を込めた拳を3度突き出す。力は外に逃がさず内に留めることで全てを威力へと変換する。
空間が揺らぐ程の拳を受けてもダメージを負ったようには見えなかった。
今度は男が手刀を繰り出す。
逃れようと突き出した腕ごと心臓を貫いて...光の粒子となって天に還った。
砂地に音を立て何かが落ちる。
それは濁った血のような赤黒いダイヤモンド。
ダイヤを拾って振り返る。
「なにとぞご内密にお願いいたします」
最敬礼をして、現れた時同様何事も無かったように消える。
「あやつらも妙なモノに関わったものよの」
敵意は無いだろうが、いざこざを呼び込むのは火を見るよりも明らかだろう。




