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この街は今日も語る  作者: 紫芋
Spring hour 桐江准は普通でありたい

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裏道話 喪った魂(もの)達との会合

へい、裏道話!


今回は朝倉拓也にフォーカスを当ててるよ。


奴は怪物だけど、生まれも育ちも人間としてよん。


書いた理由は朝倉拓也の内情を僅かに知ってもらう為です。


そして、安心してください。短いですよ(ボソッ)。

 瞑想──それは心を静め、意識や集中力を高める行為。


 感覚を研ぎ澄ます際やストレスを軽減させる為、睡眠の質を高める時に行う事もしばしば。


 朝倉拓也は東地区の森林で一人、その瞑想を行っていた。


 たった一人の孤独の空間、無となった心は深く、何処までそこに落ちて行く感覚は、遂に身体から切り離されたように心を沈める。


 広がるのは白い空間。物は無く、建造物や景色と言った類いも見受けられないその空間に朝倉拓也はポツンと一人立っていた。


「どうしたんだ?拓也⋯⋯」


 そんな彼の背後に一人、男の子が立っていた。


 短髪で気前の良さそうな兄貴肌な男性。


 ────否。既に故人となっている当時、中学二年の朝倉拓也の親友に当たる人物の男。


 そんな彼を見て、朝倉拓也は少し嬉しそうに口元を緩ませる。


「⋯⋯光介《こうすけ》。久しいな」


「何言ってんだよ、半年前に会ったばっかだろ」


「⋯⋯⋯⋯それでも、久しぶりだな」


「⋯⋯あぁ、だな!」


 懐かしさは心を震わせる。当時のあの頃のまま。


 既に居なくなってしまった彼(・)等(・)の顔を見ると、朝倉拓也は何時も泣きそうになる。


 喪った事実は覆すには値しない。


 確かに起きてしまった事だと割り切る事が出来てしまった故に起きた一つの邂逅。


「全く、駄目じゃない。また此処に来ちゃって⋯⋯」


 灰色のブレザーとスカートを着衣したウェーブの掛かった伽羅色《きゃらいろ》をしたロングヘアの女性。


 整った顔立ちに左眼の下に泣きぼくろがあり、緑色の瞳をしたその子は苦笑したように微笑んだ。


「全くだ。死人に会いに来るとは⋯⋯。ナンセンスだぞ?拓也」


 ピッチピチの黒のライダースーツのようなものを見に纏った茶髪の男が腕を組んでいる。


 少し怒っているようにも見えるその表情に朝倉拓也はホッとしたような顔を浮かべた。


「あんまり、褒められた事じゃないよ?」


 金の装飾が施された青のジャケットと白のズボンを着用した金髪に青い瞳の童顔男性がムスッとしたような表情をした。


「⋯⋯⋯そうだな。そうかも」


 口にした言葉。見つめる四人の姿。


 かつて、最善を尽くしたつもりで喪った仲間。


 親友であり、盟友であり、愛友であり、英雄の四人。


 実力が無かった訳では無かった。


 それでも、逼迫した状況や困難は突然降り注ぐ流星群のように、朝倉拓也の平穏に介入し、命を薙ぎ払っていった。


 たった四人──されど四人。


「また、泣きそうになっちゃって。もう、泣き虫ね、あなたは本当に⋯⋯」


 死ぬ直前、巨大な竜の口元に下半身を持っていかれた少女には今現在、脚がある。


 脚を少しクロスさせて、腕を伸ばして朝倉拓也の頭を軽く撫でた。


「まぁ、拓也だからな!しゃーねーよ」


 巨悪の征服者によって肉片も残らないぐらいの内部爆発を受けて爆散した少年は今現在、揶揄うように笑って見せた。


「僕達は慣れっこだからね。見慣れたかな、流石に」


 肩から腹を目掛けて切り裂かれてしまい、死体は光の粒となって消えた少年は今現在、傷口何てものは一切無く、生前と変わらない優しい笑みを浮かべる。


「イグザクトリーだ。全く、辛いならわざわざ来る事は無いだろうに⋯⋯⋯⋯」


【執行者】から逃がす為の時間稼ぎとしてツケを払った機械仕掛けの少年の最後を朝倉拓也は知らない。


 だが、最後の最後に見せた人間らしい笑みを今現在浮かべている彼は朝倉拓也の肩に手を置いて慰める。


「知ってるだろ。俺は一人でこれまで生きてきた訳じゃない。戦ってこれたのも、皆⋯⋯誰が居たからだ」


「今はローシャちゃんが居てくれるじゃない?何が不満なの?」


「不満があるって訳じゃないけど──」


「けど?何さ?」


「お前らの顔はちゃんと見ておこうって思ってな。時々、忘れそうになるからさ」


 様々な体験をした。様々な出会いを果たして別れた。


 濃厚過ぎる人生を今尚送っている朝倉拓也の記憶のキャパは人間と依然、変わらない。


 毎週二日、墓参りをして、近況報告。


 顔を忘れない為だけではなく、もしも彼等彼女が生きていたら、そんな会話を延々と繰り返すばかりの朝倉拓也の日課は旅に出てから成せてはいない。


 旅をする切っ掛けは世界を守る為。


 それと同時にその世界にいる者を守る為。


 分かっていても、寂しさはどうしても訪れる。


 悲しそうな顔をする朝倉拓也を見た四人はお互いに顔を見合せた。


「⋯⋯⋯⋯あのね、死人に引っ張られちゃ駄目なのよ?私達はあなたの為と思って今も居るけど、それは本来良い事じゃないの」


 悲しそうな顔をする。誰より幸せを謳った少女の懺悔だったろう。


「全くだな。盟友を共に誓ったお前らしくもない。まだ三年前の方が、気概と言うのがあった」


 呆れた顔をする。誰よりも地球という星を守護する役目を遣った男だからこそ、言えた言葉だった。


「そうだよ。最近じゃあ、大人っぽくなっちゃって、巫山戯た事する機会も少ないだろ、君」


 苦しそうに笑う。誰よりも達成したい目的を間近に散らした命は何時も優しい英雄のようだった。


「まぁ、変な所で真面目だからなぁ。⋯⋯⋯⋯拓也、お前はどう思ってるか知んねぇけどさ、俺達ゃ、後悔して死んだって訳じゃない。お前に託して死んだんだ。それは分かってんだろ?なら、突き進めよ」


 真剣な顔で激励を口にする。誰よりも朝倉拓也の間近に居た親友は最後に惚れた少女を最も信じた男に託して唯一無二の席は未だに空席のまま。


「⋯⋯⋯⋯光介⋯⋯。分かってる。分かってるけど⋯⋯」


「なら、シャキッとなさいよ!私も託したでしょ!あの世界を守ってくれるんでしょ?」


「フィリナ⋯⋯。あぁ、そうだ」


「拓也、俺は自分の意思と言うのを獲得してから、お前と交友を持った。それは嬉しい事であり、確かな現実だ。だが、お前が苦しむ様を見る為に交友を共にしたのではない。それは知ってる筈だ」


「⋯⋯⋯アクツ⋯⋯。あぁ、分かってる。全部知ってる」


「気になってるんだろ?彼の事」


「ガート、詳しいな。⋯⋯⋯⋯あぁ、そうだ。あのままじゃあ多分、俺の時以上に酷い末路になる。けど、時間が無いのも確かだ」


 彼等は朝倉拓也の作った虚像、妄想に在らず。


 正しく、死後残留思念として残ってしまった魂⋯⋯またはやり残しの為に朝倉拓也に着いてくれる存在。


 思い込みや自分の都合の良い存在ならば、きっともっと甘い言葉も掛けたのだろう。


 だが、朝倉拓也は常に思う。食事をしていても、学校に通っていても、誰かと戦っていても、寝る時も。


 生きている限り付き纏う──彼等がもし居れば⋯⋯と。


「⋯⋯どうすればいいと思う?」


「⋯⋯⋯それは君がよく分かってるだろ?」


「ガート。俺の代わりってのは幾らでも居るんだよ。偶々俺だっただけだ」


「⋯⋯そうね、確かにそうかも」


「だが、それはノーセンキューだな」


「あ?どういう事だ?」


 ムスッとした親友は朝倉拓也の前に立ち塞がるように仁王立ち。


 そして、胸元に指を当てて問うように言葉を発した。


「分かんねぇか?前も言ったろ?俺がお前と友達になったのは、お前だからだ。お前の言う代わりってのは全体を見てだ。俺達個人《故人》は違う」


「⋯⋯⋯⋯」


「お前は死んだ人間の事に対して、思いやりが強すぎる。もっとバカになれ!」


「光介、あのなぁ。俺は真剣に言ってんだ」


「俺だって真剣じゃい!」


 すると、愛友は親友の腕を払うようにして距離を空けさせると、朝倉拓也の前に立った。


 少し瞼を閉じて、心の底からの言葉を引き出す。


「あのね、拓也。私はね、あの時⋯⋯あの場にあなたが居てくれて良かったって思うの。そりゃ、死んじゃったのは間違いないけど⋯⋯⋯⋯⋯。でも、あなただから守れた人も確かに居るでしょ?」


「⋯⋯⋯分かってる。それは分かるけど⋯⋯」


「数の比率か?」


 盟友が朝倉拓也の横に立ち、両手の指を一つずつ立てた。


「それは良くない、ナンセンスの極みだ。仮に百万の命が喪う事になろうとも、大切な一の為に命を賭けて戦う。お前だって、そうしてきたのではないのか?」


 立てられた指。右手は百万。左手は一。


 重さは言うまでもない。だが、朝倉拓也も我を通すように百万を飛び越えて億単位の人間よりも一の人間の為に奮闘した経験はある。


 しかし、それは旅をする以前の話。


 まだ子供だった頃の話であり、月日は経って朝倉拓也は大人と呼べる年齢となった。


 子供と大人とでは、明確に価値基準は方向性がある程度変化するもの。


 朝倉拓也の迷いは如実に表れていた。


「⋯⋯僕は君の意見を尊重したい」


「ガート⋯⋯」


 緑色の瞳をジーッと朝倉拓也を見る。


 真剣な面持ちは何度も見て来た朝倉拓也でも、稀に見るものであり、懐かしさを発起させた。


「⋯⋯でも、僕は君に後悔して欲しくない。それが、僕から言える言葉だ」


「逃げてるだけだろ?」


「かもね。でも、僕本人の役目はもう終わった。知ってるだろ?」


「⋯⋯⋯⋯知ってるさ。ちゃんとセレナも元気だ」


「うん、知ってる。見てたからね。だから、君を信じる」


「⋯⋯⋯⋯重いな⋯⋯⋯⋯⋯」


 朝倉拓也とその世界に迫った制限時間《リミット》は後二年。


 二年以内に『欠片』と呼ばれる物を後二百強集めなければならない。


 一日一個と考えれば一年未満で終わるであろう旅だが、滞在して英気を養う期間や、その世界の問題やゴタゴタに巻き込まれてしまう事もしばしばあった。


 今回に限って言えば、『空弩街』で起きた『啓示の箱』関連がそれに当たる。


 既に対処も済ませて、『欠片』を探索して、即時回収からの次の目的地への移動──。


 そう出来ればどれ程楽だったろうか。


 朝倉拓也は『千里眼』でこの世界の行く末を既に視てしまっている。


 様々な因果に巻き込まれて助けた子供とていた。


 その少年の行く末も────当然、視ている。


「⋯⋯⋯悩むぐらいなら、助ければいいでしょ?」


「⋯⋯けど、そんな事してたら⋯⋯間に合わないかもしれないだろ?」


「誰も恨まんだろう。拓也よ、それは自意識過剰と言う奴だ」


「まぁ、俺は初めっからお前に全ブッパしてる立場だから、決めんのはお前だ。恨みゃしねぇよ」


「けど、そうなると⋯⋯⋯」


 思い返す。朝倉拓也は一人の女性の事を──。


 右腕を空に翳すように伸ばして、届く筈の無い空を掴もうとするその女性は大粒の涙を出しながら必死に懇願の意を叫んだ。


 その言葉も届かず彼は瓦解した空間の狭間に呑み込まれるように一人の女神と共に消えてしまった。


 あれから一年半。朝倉拓也は元の世界には帰れていない。


 帰る訳にはいかない。押し付けられた役割、自身にしか出来ない役目、果たさなければならない使命を持って旅を初めた。


 決して、彼が望んだものではない。けれど、やらなければ芋づる式に世界は崩れ去る。


 だからしなければならない。旅を成して、目的の物を回収し、帰還する為に⋯⋯。


「咲良《さくら》が心配ってか?」


「⋯⋯⋯あぁ」


「⋯⋯はぁ〜。嘆かわしいってなぁ、この事かねぇ」


「な、なんだよ!お前だろ?そもそも俺に託したのは!」


 親友が身勝手にも本人の了承も無しに託したのが、その女性その人。


 好意の矢印というのは、言動、行動で分かる事がある。


 親友には少なくてもその女性の矢印が朝倉拓也に向いていた事を看破し、それなら良いと託した。


「咲良がそんな事でお前に恨み持つとでも?アイツの事だから、きっと、お前の心配しかしてねぇよ!ったく、先に好きになったの、俺なのにぃぃぃ〜」


 口にしていくと悔しい気持ちになっていき、地団駄を踏み鳴らす。


 だが、朝倉拓也はむしろ申し訳なさそうに俯くしかなく、それがまた悔しさを膨らませていく。


「やめろーー!憐れむなぁぁぁぁぁ!」


「はいはい。他所でやろうね、それ」


「待て!フィリナ!俺はまだ言い切っちゃいねぇ!おーーい!離せぇぇぇぇ!」


「⋯⋯⋯相変わらずだな。アイツ」


 懐かしさが心を埋め尽くす。


 まだ子供だと言い切れた頃、共に馬鹿をやって騒いでいた時期、最も絶好調とも言える時間に喪った親友の叱られて落ち込んでいる顔を見て、微笑みが零れる。


 そして、やはり泣き出した。


 朝倉拓也には耐えられない事が数多くある。


 喪って欲しくなかった者達が数多く居た。


 それは時に敵対していた者でも。


 だが、現実の非情さは常に付き纏う。


 親友は【不死身の征服者】によって跡形もなく爆発した。


 盟友は【約定の文明執行者】の一息で地球ごと滅ぼされてしまった。


 愛友は【空間の狭間に住まう喰竜】の無慈悲な噛み付きで咀嚼された。


 英雄は【世界を手中に収めたい簒奪者】の力によって斬り捨てられた。


 その目の前には何時も朝倉拓也が居て、何時も手遅れになる。


 決して驕り等もなく、純粋な実力差で死なせてしまった事もあるだろう。


 朝倉拓也は────後悔しかしていない。


「拓也、また泣いてるよ?全く、どうしてこう⋯⋯」


「悪い、でも⋯⋯⋯⋯。やっぱり、生きてて欲しかったなって⋯⋯。お前らが居たら、居てくれたら⋯⋯⋯⋯」


「⋯⋯拓也、それでも俺達は死んだ。それは覆らん。分かっているから、俺達を蘇生させないんだろう?」


「⋯⋯あぁ。それは分かってる。もしもの話をしてもどうにもならないってのも知ってる。けど、けどさ⋯⋯⋯⋯」


 親友も盟友も愛友も英雄も皆、朝倉拓也が本当にやろうと思えば蘇生は容易い。


 それだけの力が朝倉拓也には備わっているのは間違いない。


 けれど、彼はそれを一度として試した事はなかった。


「なら、その答えが合ってるよ。僕達はもう居ちゃいけない。僕達の死はもう決定付けられているからね。でも、これから死ぬかもしれない人達は違うだろ?」


 英雄は奮起させる為の言葉を投げ掛ける。


 他者よりも自分とその仲間を優先する朝倉拓也にとって、今現在、その仲間は居ない。


 共に戦い抜いた戦友は誰一人として居ないのが現状。


 朝倉拓也もローシャもヤワな死に方はしない。


 死ぬとしてもそれは彼等よりも強い存在が居た場合に限る。


 だが、朝倉拓也よりも強い生命体は存在しない。


 あらゆる能力、あらゆる性質、あらゆる加護も神秘も武具も何もかもが朝倉拓也の前では無に帰すに等しい中、敵など居ないと同等。


 無敵にして最強無比の力を獲得した男。


 その男がその力を獲得した時には手から多くのものが零れ落ちてからであった。


 そしてそれは、白い空間に居る四人にも理解している事。


 ずっと見てきた。苦しむ姿も、奮闘する姿も、嘆く姿も、淀む姿も、楽しむ姿も何もかも。


 それが愛おしいと感じられるからこそ、居てくれる存在。


 守護霊のようなものとはまた別種の──朝倉拓也の為に居てくれる存在達は彼の悩みを誰よりも理解している。


「ねぇ、拓也。あなたはどうしたいの?あの子、このままじゃ、死んじゃうわよ?良いの?」


「良くは無い。けど⋯⋯」


「なら、行きなさいよ。もうグダグダしてられないわよ?」


「それによ、お前が無理なら誰も助けられないだろ?」


「⋯⋯⋯⋯フィリナ、光介。あぁ、そうだな」


 涙は拭われた。激励と支えがあって初めて立ち上がった朝倉拓也は白い空間を見上げる。


 大きく息を吸い、呼吸を整えた。


 コレから始まるのは彼にしか出来ない事。


 おおよその目処もあり、危機的状況なのは既に認知済み。


 歪に捻くれた『空弩街』という街を起点に起こる惨劇を止める為、朝倉拓也は息を吐く。


「ありがとう、皆」


「⋯⋯行ってこい!」


「さらばだ」


「頑張ってね」


「うん!行っておいで」


 白い世界は薄れた。


 四人の姿は透明となっていき、身体は徐々に上がっていく感覚に包まれる。


 気が付けば森林の中、胡座の状態で座り込んでいた。


「終わった?」


「ローシャ⋯⋯⋯。あぁ、終わった」


 黒い髪に先端は赤、黒い衣服を見に纏った小さな女の子が隣で体育座りをしてそこに居た。


 眠たそうな瞼は下へ落ちそうな中、少女は立ち上がり朝倉拓也の前へと移動すると手を差し伸べる。


「はい」


 その手を掴んだ朝倉拓也。少し冷たくて、小さなその手を力を込めて立ち上がった。


 だが、少女は訝しんだ顔をして首を傾げる。


「⋯⋯⋯⋯なんだよ?」


「アイス」


「⋯⋯⋯⋯お前、まさかと思うけど、さっき手を伸ばしたのって⋯⋯」


「それ以外無いでしょ?」


「コイツ、マジか⋯⋯」


 四人の影は既に無く、二人きりとなった東地区の造林地帯。


 少し広めの湖が近くにある隠れスポット的な要素のあるその場所で男は宙に浮いて飛び出す。


 目指す場所は少年の自宅。


 切っ掛けは何時も突然であり、必然性のようなものがないこの世界を飛翔して駆ける。


 既に時刻は夕方に差し掛かる頃合い。


 街は未だに騒然として、慌てふためく人々を上空から見下ろす。


 瞬きの間に去る彗星のような光は太陽の下を走る。


 後悔などをしないように────。

朝倉拓也の立ち位置、と言うよりも扱いは前作主人公のようなものです。


この作品に前作もクソもないんですけお。


あくまでも准坊の邪魔にならないように力を振るう。


そして、教えられる事は教える、というスタンスですが、やりたい事があるなら当人とその仲間に頼る形で果たしなさい、という感じです。




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