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この街は今日も語る  作者: 紫芋
第1シリーズ 常盤美羽は語り切れない

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かつてのお前と同じ位置

へい、次回──最終回(常盤美羽編)です!


 一つの記憶、泡沫の中に飽和した記憶は僕の視界へと流れ込み、一つの映像を映し出した。


 それは、まだゴールデンウィークにもなっていない四月二十六日の事。


「貴方の事が、好きなんです。どうか⋯⋯お付き合いしてください!」


 それは不意にかつ唐突に発せられた彼女からの言葉であった。


「えぇと、なんで僕?てっきり、嶺二辺りかと思ってたんだが⋯⋯」


「ひ、ひ、一目惚れです!」


「⋯⋯マジか」


 これからはイケメンフェイスと名乗れる、つまりそういう事か!


 というのは三割方は冗談として、正直な話、この時の僕はかなり驚いていた。


 嶺二に好意を寄せてるものだと思っていたし、一目惚れ程アテにならない好意をもないと考えていたからである。


 原因は母親が父親と付き合い結婚までした理由が『一目惚れ』らしいのだ。


 アテにならないにも程がある。


 けれど、彼女の気持ちも汲み取ってやりたい気持ちもあるにはあった。


 しかし、親の行く末を知ってる身としては、同じ轍を踏んだり、踏ませてしまっても良いものか迷いに迷った結果、僕は二日、空けて欲しいという旨を伝えたのだった。


 逃げた──そう捉えられても仕方ないのだが、ハッキリ言って逃げたのである。


 だって、これまで顔面偏差値が低い値を維持していると思っていた僕が一目惚れで告白なんて考えても見なかったし、浮かれてしまった心を一度落ち着かせて、冷静に考えてみたいと、そう判断したからだ。


 それがいけなかった。それが僕の罪。


 僕がやらかしてしまった取り返しのつかない過ちの一つ。


 今だから言えるが、恐らく藍莉に告白された時、素っ頓狂な返事で即答したのもここから来てる気がしてならない。


 同じ轍を踏まない為、出来るだけ告白は早くに応えてやる。


 自然と自らで植え付けた戒めと鉄則。


 愚か者は一度失敗しなければ学べないという教訓を地で行くような男、それが僕だ。


 火が宿り、屋敷は倒壊。偶然、弟の見舞いに行っていた為、免れた悲劇の次女ヒロインは翌日に現れる。


 更に弟がゴールデンウィーク初日に死亡。


 これが拍車を掛けてしまった果て、もはや顛末にも近いのだが、『時間に囚われてしまった』のだ。


『時間』に囚われた者は絶対に抜け出せない。


 朝倉さんならば可能と言われたが、拒否されてしまった。


 理由は──「だって、両親の居ない子供は世界でアイツだけじゃないもん」との事。


 その言葉に僕は怒るだけ怒り、喚くだけ喚いた後、一人で『常盤美羽』を探しだした。


 そして、失敗した。


 ただでさえ、『時間の干渉』による影響で困っている人間が居たというのに、『並行世界パラレルワールド』からやってきた『常盤美羽』が現れてしまった事で、事態はややこしさを極めてしまい、助力してくれた『常盤美羽』も統合されたり、消失してしまったりを繰り返す。


 失敗して、勝手に挫けて、喚き散らして、また足掻いて、ミスをして、怪我を負って、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗、失敗の連続で『並行世界パラレルワールド』からやって来た『常盤美羽』は残り二人となってしまう。


 十二人は居た筈なのだが、結局マトモに何も出来ずにいたのが僕という人間で限界だった。


 だから、彼女から受け取っていた言葉通り、場所へと向かった。


 それは草原が溢れる唯一の天体観測スポットであり、キャンプ地としても使われている『空弩街の西区』にある『星交せいがい展望台』と呼ばれる所であり、標高が多少なりともある事が功を奏して、星が綺麗に見えるのだが、地元民は立ち寄らない曰く付きの場所スポット


 そんな場所で僕は星を見上げる常盤美羽と再会してしまった。


 イカれてしまったあの『常盤美羽』とは大違いで儚く、力なくとも腕を上げて空へと翳す仕草は、綺麗の一言に尽きる。


「⋯⋯もし、もし私が桐江先輩の人生を苦しめるような事があれば⋯⋯。私を──殺してください」


 それはきっと、最初で最後の僕へのお願い。


 泣く事もせず、ほんの少しだけ笑っているようにも見えた彼女の表情はとても綺麗に見えて、儚く見えて、寂しくも見えた。


 抗いたかった。「心配ない」と声を大して隣で仰向けになっている後輩に声を掛けて、不安や震え、躊躇いや恐れを全部取り除けるぐらいに強く在りたかった。


「嫌だ」


 けれど、出た言葉はゴネる子供のようなもので、不安を促進させるようなもの。


 それでも、彼女は文句を言わない。


 お願いをせず、ただ空を見上げて納得してしまっている。


「もう、分かるんです。何となく。あぁ呑まれてるなって」


「⋯⋯」


「先輩ぐらいなんです。一緒に悪者になってくれそうなのって。だから、もし⋯⋯、もし私を殺してもどうか⋯⋯笑ってください。笑って何も無かったように振舞ってくださいね?」


 唇を噛み締めて、ほんの少し笑って見せた彼女に応えなければならない。


 諦観なんてしたくなかった。もっと時間や猶予が⋯⋯こんな馬鹿みたいな結末をひっくり返せる力があれば、もっと自分自身が優秀で、頼りになって、惚れてくれた、告白してくれた歳下の女の子をしっかり守れる人間だったらと。


 それでも、もうそれは叶わないのだ。


 世界は彼女に優しくはない。


 残酷な程に、愚かな程に──。


「⋯⋯⋯⋯っ。あぁ、笑ってやる。お前が居ない人生でもちゃんと笑って、お前なんか居なくてもなんて事ないって、笑ってやる」


 だから、言葉以上にありったけに笑ってみせた。


 せめて、僕の大切な後輩をほんの少しでも安心させるようにと、心から願って。


 それだけしか、思い浮かばなかった。


「ありがとございます」


 伝えたかった言葉の三分の一も伝えられず、星の瞬きよりも早く消えてしまった彼女は影も形もなく、統合された。


 無力で非力で、愚かで滑稽な僕。


 泣き崩れて、声を張って叫んだ。


 喚いて、駄々を捏ねるように何度も地面を殴って、頭を抱えて現実を逃避しようとする。


 夜空はそんな僕の雄叫びを知らぬ、そ知らぬを繰り返すばかりで、何も変化が訪れない曇りの夜空。


 星なんて一ミリ足りとも見えはしない。


 彼女の視界には星空が溢れていても、僕にはそれが見えなかった。


 四等星どころか、何も光すら差し込まない曇天が悔しかった、理解したかった。


 ほんの少しでも、僅かでも。


 やがて、身体は大粒の雨に濡れていき、ブルーシートが弾く音と雷音が轟き出す。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯くそめ」


 彼女が居た痕跡は雨に濡れて消えていく。


 温もりも冷めて、瞼を閉じても雨粒が邪魔で意識出来ない。


 静寂は掻き消されて、光の後に音を鳴らす。


 それから僕は『虚象』に嘘を伝えた。


 肯定する事を恐れて、結果をありのまま伝えるのが怖くて、逃げるように、虚言で誤魔化す事を選ぶ。


 出会いを誤魔化し、経緯を欺き、結末を歪曲した。


 思い出すのが辛かった。惨めに感じるのが嫌で、逃げたくて、怖くて堪らなくて、気付けば僕は『常盤美羽』を『トッキー』と呼称して、接するようになった。


 愛着が湧かないように、接する時間を極力抑える為、『監視』という名目すら無視して接する事を避けてしまう。


「お前、今日の放課後、よぉーてい、空いてる?」


 それは全てが終わった後の出来事。


 意気揚々と抑揚の機微が無駄に激しい喋り方をする彼女からのお誘いであった。


「行かねぇぞ?どうせ、お前の婆ちゃんの世話だろ?自分でしろ」


「ち、違うわよ!⋯⋯ごほん。来て欲しい所があぁるの!」


 来て欲しい所。行きたい場所、それの行方はおおよその察しが着いてしまった僕にとって、息の詰まる場所以外の何物でもないと知っている筈の常盤美羽はそれでもデートに誘おうとする。


「⋯⋯いや、いい」


「⋯⋯どぉうしても?」


 心配そうなその表情を止めてくれ。僕はそんな顔をされるような事をしていない。


 失敗して、捻じ曲げて、酷く歪なだけの結末を生んだモンスターのようなものだ。


「どうしてもだ。お前さ、僕の事を強心臓の持ち主か何かと勘違いしてないか?あんましトラウマほじくり返してくれるな。⋯⋯後、誘うならちゃんと誘え」


 そう吐き捨てた僕は一瞥だけして帰ってしまう。


 少し悲しそうな顔を見た僕は、それでも立ち止まる事はせず去ってしまい、それ以降、彼女は僕に絡むような事をしてこなかった。


 藍莉の件では勝手ながらも後を着いて来て、色々と世話になったり、恩着せがましく頼み込んで快く了承もしてくれたりと、優しい奴なのだと、理解出来てしまう一方、僕は都合の良い時しか彼女を求めない愚か者に成り下がってしまう。


 きっとそんな積み重ねが孤独を深めたんだ。


 やっぱり僕が全部、悪いんじゃないか。


   ━ ━ ━


 意識がようやく戻った頃、僕の視界には牧原とその後方には藍莉、舞喜、軽井と彼女の手を握っているサナが立っていた。


「桐江!⋯⋯藍莉、戻ってきたぞ」


 随時報告のように僕を見るなり後方に居た藍莉に声を掛けられて、慎重な足取りで歩いて来る三人なのだが、いくらなんでも覚束無さ過ぎる。


「⋯⋯まさか、見える?」


「いや、見えていないよ」


「ん?というか話し方、お前いいのか?」


「全てバラした。流石に龍の姿から人に戻ってしまっては言い訳のしようもない」


 真っ先にキョロキョロと辺りを見回す藍莉と舞喜を見つめる。


 この二人は口が堅い部類に入るだろう。


 少なくても、藍莉は友人として接してきたというのもあってそう易々と秘密を喋ったりする愚行は起こさない。


 舞喜も同様ではあるし、話す相手が皆無な中、むしろそういう冗談みたいな話が出来る相手の一人や二人、出来て欲しいと願うばかりだ。


 そして、問題は軽井だろう。


 奴は少々、喋りすぎる。サナに頼んで諌めて貰うように忠告すればなんとかなるか?


 どちらにしても、今はそれどころじゃない。


「悪いけど、僕はもう行く」


「何処にだ!」


 僕の行く手を阻むように立ち塞がる牧原は両腕を横へと伸ばして静止を促していた。


 悪人になる一歩手前の動向を止めるヒーローみたいな動きをするんだな、コイツ。


「背中に乗せてくれないんだろ?言っても仕方ない」


「お前な!こういう時は告げてから言うものだぞ?」


「ねぇ、そこに准が居るの?」


「あぁ、いる」


 牧原の眼前、恐らく三人の視点では僕が見えていない為、何もない所で説教地味た言葉を吐いているようにしか見えない筈なのだが、軽井やサナ、舞喜も藍莉が向いた箇所、つまり僕が立ち止まらされている位置を目配せもなしに見つめていた。


「ねぇ、聞いて准。お願いだから一人で何でもしようとしないで!せめて、一緒に居て」


 真っ直ぐと、そこに居ると確信的なまでに見つめて来る藍莉は一抹の不安が見え隠れしている。


「先輩!今は見えませんけど、見えたらちゃんと伝えなきゃいけない事、あると思うんです。私の部屋に無断で入ってた事とかぁぁ!」


 怒鳴りたいけど怒鳴るような状況ではないと何となく察している軽井はギュッと震わせながらも拳を握っていた。


「お兄ちゃん。あんまし心配かけないでね?一人って辛いんだよ?分かってるでしょ?」


 両手を胸元に添えて、自身を安心させながら話す舞喜の瞳は揺れている。


 何故か一人、同情を誘えていない奴がいたが、言いたい事の主旨は伝わっているから、否定も出来ない。


 一人が僕の手を握る──サナであった。


「お兄さん。何があったか分からないけど、皆と一緒に行った方が良いですよ!『赤信号、皆で渡れば怖くない!』です」


 誰だ、この子に『赤信号、皆で渡って轢かれよう!』なんて教えた馬鹿は。


 そこは『青信号、皆で渡って学校じごく行き』辺りで済ませろ。


「サナ。僕は急いでる。それに僕は信号を律儀に守る派だ。だから、夜であろうと車が通っていなかったとしても、赤信号なんて渡ったら怒るぞ」


「ご、ごめんなさい」


 掴まれた手をそっと離して、前を歩こうとする僕だが、肝心の人物を忘れていた。


「お前の為に来ているんだ。少しは待ったらどうだ?」


「僕の問題だ。これ以上は口を挟むな」


「なに?デカイ口を叩くじゃないか!」


「物理的にデカイ口な奴は言う事が違うな」


「なんだと!?」


「良いから、退け。ここに常盤美羽は居ない。それが分かったんだから良いだろ」


「なに?!居ないのか?」


「ここに居ないのだとしたら、『常盤美羽』は何処に居る?」


「だから、お前に言っても仕方ないだろ?また素っ裸になって、わざわざ運んでくれるのか?」


 牧原の眉がピクリと動く。動揺というよりもちょっとした抵抗感の表れが表情に出た。


 どの道、あんな座り心地の悪そうな棘がある背中に乗っても尻が痛いだけな気もする。


「ほらな。いいから退け」


 瞼をそっと閉じてしまった。行けという合図だと僕は判断し、そのまま彼女の横を駆けて行く。


「⋯⋯確かに貴様を背中に乗せる気はない。だが。──────。っな!」


 後方からボソボソと何か言っていたが、後になって慌てたような短い声が聞こえた。


 あれはかなり素に近い驚き方だったようにも感じたが、一々聞き入っていられない。


「おい!話を最後まで聞け!」


「准!待ちなさい!待って!お願いだから!」


 藍莉の悲壮感漂う声が後方から大きく聞こえた。


 牧原の動きを見て、僕が去ろうとしている事にいち早く気付いたのだろうが、僕の姿が見えない状態では到底、僕の腕を掴む事は叶わないだろう。


 あとで謗りはいくらでも受けるが、それは今ではない。


 そう、今じゃないんだ──。


   ━ ━ ━


 牧原逸花が背を向けて、力なく手を伸ばす。


 それが藍莉にとってだけでなく、舞喜、椎奈の目から見ても『桐江准』を逃した事に他ならないと察しが着いてしまう。


「すまない」


「追い掛けなきゃ」


 舞喜が駆け出そうとして、その後を椎奈、サナが追うように走り出そうとするも──。


「待って!お前達ではアイツは見えないだろ?!」


「っ?!⋯⋯⋯⋯そうですけど」


 椎奈の視線が後方に位置する逸花へと向いた。


 その視線には畏怖の念が籠められているのが見て取れてしまい、思わず視線を逸らしてしまう。


 何時もの椎奈ならば軽口程度に受け取るのだが、『龍』である事が思考を先行させてしまい、妙に距離が開いた状態となってしまっている。


 元来、『龍』とは『畏怖の対象』として人間に見られるべき存在であるのだが、人間が築き上げている社会と文明の変化がその『畏怖の対象』という要素が薄れて、知らぬ間に『龍は仲間になれる存在』としての認知が広まってしまった。


『龍』は『人間』に化けて、生活圏の管理を行う。縄張りを作るように。


 しかし、昨今の『龍』は『人間』と多少なりとも共存する名目が多く、逸花も例外ではない。


 その為、『龍』でありながら『人間の感性』が顕著に芽生え始めてる。


 そんな中、つい昨日までフレンドリーだった対応や態度が急激な変化を起こし、それを目撃してしまえば逸花であっても多少は落ち込んでしまう。


 ましてや、部活でかなり親しい部類の後輩相手にされてしまったのだから、ダメージは免れない。


 だが、逸花にも味方はしっかりといる。


 一人は准だろう。少年は『刃龍』と親しい事も相まって『龍』という存在に免疫があり、かなり馴れ馴れしい態度を取る。


 それが時に逸花にとっては有難い存在になり得るのだ。


 そしてもう一人は──。


「『龍』になって運んでくれない?」


「え?⋯⋯しかし」


 大洲藍莉、逸花が『人間社会』に溶け込むにおいて選んだ学校のクラスメイトであり、色眼鏡なしで接してくれる存在。


 なし崩し的にグループを組んで可もなく不可もない関係を保とうとする逸花のコミュニケーションによく合うのが藍莉だ。


 共に馬鹿をするなら颯悟。


 世間話からファッションセンスまでを磨くならば奏海。


 知識欲に飢えた龍を満たしたいのなら、博学的知識を持つ浩太郎。


 のんびりとぐぅたらとしたいのならば陸。


 そして、龍が最も親しくなりたいのが、藍莉なのだ。


 最も思考の波長が合いやすく、息も合う。


 そんな彼女は現在、淡い期待を胸に逸花にジリジリと迫る。


「お願い!」


 そう、准が見えていない藍莉にとって牧原逸花はある種の希望であり、頼みの綱。


 これを逃してしまっては、追い掛けようにも術が消えてしまう事は明白であった。


 そんな重たい期待を背負わされようとする逸花だが、彼女にだって思う所はしっかりある。


「アイツ。私が意を決して、ようやく口にした言葉を、あろう事か私の後方へ向かって走って行ったせいで聞き逃したんだ」


 そう、逸花はしっかりと口にしたのだ。


「龍になって脚ぐらいになら乗っけてやる」


 と。しかし、それは何処吹く風のように准は急ぎ逸花を追い越してズンズン前へと前へとと行ってしまい、折角の提案も聞き逃す羽目になってしまったのである。


「つまり、アンジャッシュしたのね」


「すまない⋯⋯」


 暗に期待に応えられないと、申し訳なさで思わず逸花は俯いてしまう。


 そんな、逸花の手に触れて、そっと微笑んでみせると逸花も自然と笑みが零れた。


「⋯⋯それで?逸花、龍になったら、貴女の脚は何本?」


 まさかの使いっ走り確定である。


 笑みは自然と剥奪されて、苦笑いに近いものへとなっていき、頬は引き攣ってしまう。


「あ、えぇ〜あー、ろ、六です」


「なら、一人一脚ずつ、乗れるわね?」


 逸花は思わず、「マジかよ」と小さな声で呟いてしまい、呆然としたまま、流れるように藍莉に服を脱がされていく始末。


「ちょちょ、ちょっと!藍莉!?」


 そんな呆然という名の隙を逃さない藍莉はそそくさとカーディガン、シャツの裾から脱がせようとするも、抵抗するように、手を掴んで徹底抗戦に入ってしまう。


「大人しくしなさい!急いでるんだから、服が破れてもいいなら着たままだって私は構わないのよ?」


「脱がそうとしないでくれ!恥ずかしい!」


 シャツが駄目ならばスカートだとばかりに視線は下へと行き、ファスナーをズラして、留め具に手を伸ばそうとするも、それを阻止する形で藍莉の手を掴む。


「こんな暗い所で、男が寝てる横で裸になってた貴女が言える言葉じゃないでしょ!」


「ぬっ!?⋯⋯それはそうだけど⋯⋯」


 羞恥心もあり、抵抗感もある。よりにもよって脱がされようとしているのがクラスメイトであり、友人。


 恥ずかしさで頬は紅く染め上げられて、耳まで真っ赤っか。


 そして遂に、スカートが地面に落とされてしまい、フィナーレを飾るように黄色の下着に手が掛けられた。


「あーーー!待って!待って!パンツ脱がさないで!」


 シャツを着用、スカートは地面に落下し、下着が一枚、恥部を守る最後の砦であり、絶対防衛ラインとして認識している逸花の守りは強固な壁であった。


 傍から見れば変態の所業。格好だけ見れば草臥くたびれたOLがジャケットとスカートだけ脱いでいるようなもの。


 限界ギリギリで自宅でしか出来ない格好。


「え?下着は破れないの?」


「破れるよッ!もう、ちょっとアッチ行っててー!」


 恥ずかしさによって堪らず声が上擦ってしまう事には意を介さず、未だ下着に手が伸びたままの藍莉は手放す気配がない。


「恥ずかしがらなくても良いじゃない。貴女は龍で私は人。そこに境界線はないわ」


「大アリだよ?!種族違うよ?!」


「何言ってるの?種族の壁なんて、ピコッと壊せるわよ」


 片手で握ったように見せるエアハンマー。


「軽い効果音!そんなにヤワじゃないよ?!」


 しかし、オノマトペ的にはハンマーに到底なり得ず、ピコピコハンマーに近い。


 当然そんなもので、壁なんて壊せる余地はない。


 どちらかの譲歩で成り立つ種族との垣根。


 壁と言っても種族間で様々である。


『龍』は『人間』に畏怖を与えて、『人間』は『龍』に恐れ慄く。


 それが本来あるべき歩み寄り方。


『人間』サイドの不利益が多いが、戦闘となった場合の実力や、知識の吸収量、寿命の観点からも自然と不利を講じる他ない。


 なのだが──。


「ヤワよ。だって、今日まで貴女を人だと思って接してきた私と人だと思い込ませて生活していた貴女。そこに違いなんてないのよ」


 抵抗の意思は一瞬、削がれてしまう。


 そして、一気にスライドするように黄色の下着は脱がされた。


「ごめん、舞喜ちゃん。どういう事?」


「さぁ?」


 一方、椎奈には藍莉の言葉が分からず始末であり、同じく傍観者であった舞喜へと答えを求めるものの、彼女にもやはり答えは分からなかった。


 しかし、そこにサナが目の前まで歩いて来ると、そっと椎奈の手を握り締める。


「つまり、こーいうこと!」


「サナちゃん?」


「わたしは『幽霊』だけど、お姉ちゃん達とは仲良し。多分これだと思う」


 温もりのない冷たい手をそっと握り返して、何かを理解した椎奈は強く頷く。


「その通りよ」


 それを見ていた藍莉が肯定し、逸花を見上げる。


「でも⋯⋯」


 視線を逸らしてしまう彼女に対して、立ち上がった藍莉は決意を固めたようにして肩に手を置いた。


 その行動の意味が不明瞭に欠けていて、眉をそっと下げる。


「そういえば、私。まだ謝って貰ってないわよ?」


 ニコッと、口角を僅かに上げた藍莉の表情と相反した言葉に多少なりとも罪悪感が芽生えてしまう。


 そう結局、謝ってはいない。


 自身が龍である事、人を騙すような形で接していた事は准が起き上がるまでの間に済ませていたが、謝罪の言葉を藍莉達は貰っていないのだ。


 罪悪感は苛む。苛んでいき、いずれ自分を苦しめる燃料になり得る。


 そんな、長寿だからといって、意固地ではない彼女はそっと頭を下げた。


「ご、ごめんなさい」


 身体は少し震えていた。それをしっかりと目に焼き付けた椎奈、舞喜、サナ。


 その三人の様子を見て、確信がいった藍莉は一言。


「はい、許しました」


 再度、肩に手を添えて、頭を上げるように促していき、逸花の手をそっと藍莉の手が包み込む。


 そして、意図せず、自然に頭が下がった藍莉は懇願した。


「だから、私達を助けて」


 先程まで安定していた声は震えていた。


 縋りたい気持ちに寄り掛かれる存在が必要になのだと、逸花は確信して、蹲りそうな、腰が曲がって、髪に隠れて表情が窺えない彼女をそっと抱き締める。


「⋯⋯⋯⋯うん」


「ありがと⋯⋯逸花」


 藍莉一人では、桐江准を引き上げる事は出来ない。


 何故ならば、彼女は尽くし過ぎるからだ。


 どうしようもない程に愛おしい故に傍に最後まで居ようとする。


 だから、縋る。唯一の打開策。


 思わぬ収穫であり、未知との遭遇。


 白く流麗な長尺の龍。それは彼女の友人にして、大切な存在。


 たとえ、巻き込んでしまうと分かっていても、自分一人では無理だと察してしまった彼女の最後の希望。


 唸りを上げて、骨格は大きく変化し、小さな光と共に、顕現する『夢龍』に舞喜と椎奈は驚きで目が離せずにいる。


 サナは大喜びで椎奈の腕を引っ張っていた。


 そして、藍莉は『夢龍』の顔まで近付き、そっと手を置いてみせる。


 顔を近付けて、鼻付近に当てると、長尺の胴体は藍莉を包んで、そっと体温を感じさせた。


「宜しくね、逸花」


『任せて欲しい』


 浮力は地面から六本の脚を離して行き、僅かに浮いた事で影を鮮明に色濃くする。


『藍莉、お前は背中に乗れ』


「分かったわ」


「良いなぁー!」


 サナが羨ましそうに叫ぶ。子供ならば目撃したならば乗ってみたいだろう、やってみたいだろう。


龍を従えし者(ドラゴンライダー)』となり、空を駆けてみたいと。


『貴様はまた今度だ』


「えぇー!こんなに長いのに?」


 どう見ても七十メートルはあるその龍の全長はここに居る人数程度は余裕で背に乗せられる。


 そんな当たり前の事を言われてしまった『夢龍』は言葉を詰まらせた。


『んんっ!?⋯⋯本来、龍に乗るなんて事はないんだぞ?龍の戒めから反するのだからな』


「え?じゃあ私、降りるわよ?」


 顔から乗ろうとしていた藍莉の脚は鼻を過ぎた辺りでピタッと止まってしまう。


 申し訳なさがそうさせてしまい、一歩後退する。


『藍莉は良いんだ。私が認めたのだから』


 その言葉に藍莉は少し微笑むと、しゃがみ込んで、『夢龍』の頭を撫でる。


「そう。なら、貴女が認めた私が認めるから乗せてあげたら?」


『⋯⋯⋯⋯⋯⋯乗れ』


「やったーーー!藍莉お姉さん、ありがとう!」


『私に礼を言え!』


 歓喜にサナの身体は弾む中、『夢龍』の声は夜空に轟く程に鳴り響く。


 こうして、背に乗った彼女達は准を追い掛けるべく、白き龍の上、吹き当たる風に負けないようにと背をピンと伸ばして空を駆け抜けた。


『藍莉、せめて腰は低くした方が良いぞ?』


「え?あ、うん。分かった」


   ━ ━ ━


 人に媚びない、臆さない。それが鉄則、意義、必要最低限の礼儀。


 そう教わってきた『白い龍』に訪問者が訪れた。


「ん⋯⋯⋯⋯貴様は、『刃龍』か?!」


「相も変わらずジメッとした場所ね。『蛇』」


「なんだと?時期的に湿気が多いだけだ」


 その場所は自宅としている小さなアパート。


 ボロく、築三十年経っているというのもあって老朽化が進み出している、こじんまりとしたワンルーム。


 風呂もレバーを回さないといけないタイプで床はギィギィと音が鳴り、お隣と隔てられた壁は薄く、大声で叫べば丸聞こえ。


 家具は最低限のものばかりであり、賃金もかつて取ってきた財宝の換金によって賄っており、贅沢も出来ないが、決して不便でもない。


 それが『牧原逸花』の現状。


「貴女がやって来たって聞き付けて来てみたら、何よ、ボロいわね」


 長く赤い髪は腰元まで伸びており、前髪が左眼を隠れてしまう程のヘンテコな髪型をしている女性が偏屈でつまらなさそうに口にする。


 薄い紫色の瞳が辺りを見回して、最後は鼻で一蹴。


「⋯⋯文句があるか?私はこのぐらいが丁度いい」


「ふーん。まぁ良いわ」


 玄関のすぐ側にあるキッチンに置かれたヤカンの取っ手を握り、クルクルと振り回す。


 蓋は床には落ちない。落ちるより早く、ヤカン本体が帰ってきて、自然と蓋の方から本体に向かって落ちていくからだ。


「ねぇ、知ってる?この街、龍が既に四体居るのよ?」


「⋯⋯⋯⋯焚かれているのか?」


 訝しむように目を細める『夢龍』に首を大きく横に振った『刃龍』はヤカンを元のあるキッチンへと戻す。


「い〜や、違う。多分、誰か介入してるんでしょ。まぁあ?私にかかれば一捻りだけど?」


「自慢しに来たのか?貴様は?」


「そうよ?⋯⋯えとね、最近、私に家族が出来たの」


 恥ずかしそうに口にする『刃龍』は手をモジモジとさせる。


『夢龍』は狼狽したように口をポカンと開けてしまい、カチカチと歯を鳴らす。


「っお前、龍はつまらないと言って放浪したんじゃなかったのか?」


「えぇ〜だから、人間の家族に入った」


 淡々と「何か?」と言いたげなその表情は常軌を逸している。


 思わず立ち上がり、一歩、また一歩と近付く。


「正気かッ?」


「正気よー。だって、私の為に可愛い、可愛いって愛でてくれるんですもの。楽しいに決まってる」


「正気ではないな⋯⋯。そんな承認欲求の満たし方ではいつか綻ぶぞ?」


「綻ぶ?その時は、の・り・か・え!すれば良いんだから」


「⋯⋯」


 相も変わらず破綻し、埒外な事をする存在であると、再認識した『夢龍』は頭痛でも起こったように頭を抱える。


 そんな様子をクスクスと笑うだけの『刃龍』は事の重要性に気付いていない。


「あ、私に会いたかったら同じ学校入ってよ?高校、来年受けるのよ」


「なに?高校?お前、人間の家族に潜り込んだだけに飽き足らず、そんな人間社会の下に付くような真似までして、何がしたい?」


「そんな事言い出したら⋯⋯貴女、野宿でもする?ボロアパート(ここ)も、その人間社会の下にあるじゃない」


 アパートだって社会の枠組みの一つ。


 ボロであろうと、新築であろうと築三十年であろうと変わりない。


 あくまでも仮住まい程度のつもりで借りた賃貸アパートの一室。


 しかし、的は得ているとして、口を閉ざす。


「生真面目過ぎるのは毒よ〜、じゃあ私はこれでねー」


「待て!『刃龍』!」


「今の私ね、『刃龍』じゃなくて、『六華』って、そう呼ばれてるの。苗字?姓?のせいでダサいけど。⋯⋯でも嫌いじゃないの。これからはそう呼んでね〜」


 そう言って去っていく『刃龍』は気軽なステップであった。


「正気とは思えん⋯⋯⋯⋯」


『龍』のいざこざは『龍』が始末を付ける。


『人間』では太刀打ち出来ないと知っているからこその掟であり、戒め。


 だから彼女は高校を受けた。


 藍莉、准達の通う高校へと。


 しかし、入学当初は藍莉達とは別クラス。


 当然、積極的に話し掛ける性格はこの時から始めたものだが、部活以外に話す機会は恵まれなかった。


「人気者〜、逸花ちゃん」


「⋯⋯えへへ、六華ちゃんも人気者だねぇー。でも、なーんで髪染めたりしないの?」


 高校で一人、赤い髪にカラコンと思われても仕方のない瞳の色は浮きまくる──筈なのだが、認識阻害の類を使っているせいで、皆からは黒髪に黒目と比較的に普通の学生に見えるようになっている。


 だが、認識阻害も制限がある為、掛け直しが必須であり、昼休みに毎度の事トイレに向かって、密かに掛け直している次第なのだ。


 そんな、ひっそり忙しい彼女は胸高らかに宣言する。


「私が社会に合わせるんじゃなくて、社会が私に合わせなければならないからよ?」


「うわぁ⋯⋯引くわぁ」


「貴女、この学校に来て、何したいの?私とおしゃべりって雰囲気には感じないもの。ねぇ、なに?」


 天真爛漫、陽気で明るく、皆の架け橋役の『牧原逸花』として対応しては埒が明かないと判断し、大きく溜め息を吐いた。


 そして、声色は劇的に変わる。


「⋯⋯はぁ。貴様の動向を見に来ただけだ。文句があるか?」


 明るかった口調も、振る舞い方も消え去り、威圧的な瞳で六華へと視線を向けた。


 だが、当の本人はケロッとした様子で何処吹く風。


「文句はないけど、必要もないでしょ?私、何もしてないわよ?」


「これからする可能性があると言ってるんだ」


「もう〜真ッ面目ね、ホント」


 すると、六華のブレザーにあるポケットからポップで短いな音が流れ、急ぎその音の発信源を手に持つ。


 赤いカバーはテカテカとデコレーションされていて、キャピキャピといったスマホの画面を眺めており、今までの『刃龍』からは考えられない行動と思考だとして、思わず逸花はたじろいでしまう。


「ん!やった!」


 人目も気にせず、グッと瞼を閉じて喜びを噛み締める六華に逸花は唖然とする。


 知らない姿、知らない顔、未知の表情。


 自分が目の前で嬉しそうにしている彼女の事を何一つ知らないという事実に、より困惑を深めた。


 そんな彼女の事などおざなりとばかりにスマホの画面を素早く指で動かしていき、逸花に見せびらかす。


「明日ね、行きたかった映画、三人で観に行くの!」


 どうやらラブロマンス系の洋画のようだった。


 画面に映り込むタイトルとビジュアル、キャッチフレーズからして地雷臭のするその映画に逸花は苦笑いを浮かべるしかない。


「家族でか」


「ううん。兄さんと、友達」


 目が点となって、スマホから六華から視線を移す。


「っな!⋯⋯お前に友達?明日はなんだ?何が降る?太陽でも落ちてくるのか?」


「私にも友達くらい居るわよ⋯⋯。その友達ね、面白いのよ?」


「面白い?⋯⋯揶揄う相手としてか?」


 そんな事だろう、ぐらいに考えていち逸花は鼻で笑いそうになる。


 彼女は異端で、普遍であり、忌避の対象。


『龍』の世界において、『刃龍』の名を知らないものはいない。


 それが仲良しこよしで(うつつ)を抜かすなど、信じられなかった。


「ううん。対等な意味で」


「⋯⋯⋯⋯土星が落ちてくるな」


 (うつつ)を抜かしていたようだった。


 しかもフレッシュな物言い。


 何かあるとしか思えないぐらいの変化。


 変質とすら捉えられるその変わりように逸花は夢でも見ているのではないかと疑ったが、彼女自身が最も夢に詳しい為、それはないと即棄却されてしまう。


「だってね、あの人。私の為に怒ってくれるの!」


「⋯⋯はぁ?」


 遂に行くとこまで行ったな、とばかりに可哀想なものを見る目になってしまった逸花は蔑み満タンである。


 哀れんでなんてやれない。そんな事は龍同士ではしないのだから。


「お前の叱責を他人が庇ったって事か?情けない」


「ううん。違うの。私ね、ぶたれたの」


 左頬をそっと添える彼女は何故か喜んでいた。


(⋯⋯病気か?)


 人と触れ合えば、未知の病気になってしまう。


 確かにそう考えたが、そもそもの話。


 人が患う病気が龍に罹る訳ないし、同様に、龍が罹る病気は人は罹らない。


 その為、彼女は病ではないという判断を下し、憐れむ方向は『刃龍』をぶってしまったその人間へとフォーカスが当たる。


「⋯⋯⋯⋯可哀想に。もう塵になったか」


「友達になったって言ったじゃない!面白いのよ!一週間前に起きた中学?の暴力事件があってね、あの子の妹さんが起こした事件なの!」


「何が面白いんだ」


 傍から聞いても微塵も面白くない。


 しかし、彼女にとってはそうではないのだろう。


 今もニコニコと、満点な笑顔をしている。


「⋯⋯それを言ったら、殴られちゃった」


「ぁぁ⋯⋯脅したのか?」


「違う。人の事を知ろうと思った」


「なに?お前が?あの、お前が?!」


 知る──つまり理解しようとしている。


 これは病気でもなければ、変質でもなく、異常以外の何物でもなかった。


 しかし、そんな事、微塵も感じていない六華は花開くように嬉々として語る。


「この胸の高鳴り、止められない。最っ高!もう、幸せ!なんで気付かなかったんだろう!本当に⋯⋯」


 口が動かない。既に末期症状まで至っている重症患者を見るように、静かで何処か諦めが着いてしまっているようなものの目で見つめた。


 だが、それとは別に、彼女がそこまで変わった要因とは何か、素直に聞きたかったという純粋な気持ちも湧いて出ており、逸花は何かを口にしようとする。


「おーい!六華、帰るぞー」


 しかし、それは同い歳の学生によって遮られる形で幕引きとなってしまう。


「っはーい!じゃあね?天真爛漫のいっちかちゃん」


「やはり、天王星でも落ちるか⋯⋯」


 アレから、数ヶ月。閃光と散った『刃龍』には明日がなく、『夢龍』は明日が広がっている。


 准の夢の中で見せた泡沫の記憶の中に、確かに存在していた六華の姿が、現在の『夢龍』に思い馳せさせていた。


(六華。かつてのお前と同じ位置に今の私は居る⋯⋯。少し、分かった気がする)


 彼女ほどの傍若無人っぷりはこの世に二つも存在しない。


 だが、それは鳴りを潜めて友人に囲まれた。


 星々を引き裂き、天をも貫こうかとする閃光となったあの日、逸花は空へ向かってそっと哭いた。


 そして、今──その『刃龍』が最も慕った少年の近くまで、やって来た。

取り敢えず、ここまで読んでくれた方、お疲れ様です。


長かったり、なんだこれ?とか、回収してない話があると思いますが、誤字脱字を除けば常盤美羽に関してはしっかりと設定を作ってます。


なので、ぬかりはないと思うのですよ。


そこは過去編作った時にわかると思います。

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