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春の避暑地で  作者: 朝山 みどり


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37 ルークの頼み

 37 ルークの頼み フェルナンド目線


 朝食後、珍しくルークがこちらに来た時点で、嫌な予感はしていた。


 あいつの顔つきが厄介ごとだと示している。


 案の定だ。


「おや、お珍しい」と俺が言えば、ルークはにやりともせず、真面目な顔で言った。

「お二人でピアノを弾いている」


 ……それがどうした。


「ふーーん。音楽を聞いたせいかな?」と俺が返すと、ルークは軽く肩をすくめた。


「なぁ、若いやつらのエネルギーの持って行き場がないんだ」


 来たな、本題。


「穴でも掘らせればいい」と言ってやる。

 だが即座に否定された。


「無駄に腕力がついて手に負えなくなる。馬鹿に腕力がつくんだぞ」


 確かに否定はできない。余計に厄介になる未来が見える。


「そこはルークさんが政治で頑張ればいい」と投げてやると、ルークは一歩踏み込んできた。


「なぁ、あいつらに発表の場を作りたい」


 ……面倒な話になった。


「ルークさん、さすがですね」と適当に流そうとしたが、こいつは逃がさない。


「それを任せたい。任せたくて呼んだんだ。言っただろう」


 やはりか。


「聞いたが、了承してないぞ」ときっぱり言い返す。


 すると横から茶化す声。

「アレクさん。冷たくない?」


 うるさい。


 だがルークは構わず続ける。


「お前の国でも、同じ問題にぶつかるのはわかってるだろう? 予行演習だと思ってさ。頼りになるアレクさん」


 ……言い方がずるい。


 分かっている。これはどうせ避けられない問題だ。なら早めに手を打つ方がいい。


「そうだな」と息をつく。

「だが、少し時間がかかる。マーガレットを送って行ってからだな」


 そう言うと、ルークは間髪入れずに別の案を出してきた。


「留学させればいい」


 唐突だが、筋は通っている。


「ちょうど、お坊ちゃんが三人留学して来る。番犬がわりに使える」


 ……こいつ、本当に性格が悪い。


「は? ったく。腹黒め」と呆れてやると、ルークは楽しそうに笑った。


「腹黒仲間。決まりだな」


 巻き込むな。


 だが、もう逃げ場はない。


「使いを走らせるから、手紙を書こうな。マーガレットとミネルバ嬢にも書いてもらおう」


「……あぁ、またお前と一緒に、か」


 観念してそう言うと、ルークは満足そうに手を差し出してきた。


 仕方なく、その手を握る。


 結局、こうなる。


 こいつと組むときは、いつもだ。


いつも読んでいただきありがとうございます!


誤字、脱字を教えていただくのもありがとうございます。

とても助かっております。

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。

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