表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

04.そうだ、鞍馬に行こう

「皆さん、行きますわよ!」


 俺がそう言うとパーティメンバーは皆、ざわめき、やがて歓声を上げた。

 ボイスチェンジャー(税抜き26,500円)は本来野太い俺の声を見事に麗しい女声に変えているようだ。

 このゲームにはこういう裏技もある。乱立する攻略サイトをくまなく探したが、2、3個にしか書いていなかった裏技だ。特に上の方でヒットする企業系の攻略サイトには書いていなかった。

 事実、俺のパーティの面々にはばれていない。騙せている。

 俺がネカマをする理由は簡単だ。


 ちやほやされるからである。


 ネトゲというものは基本的に男社会。女であることだけで希少なのである。高価値なのである。可愛がる対象なのである。

 そうでなくても相撲のジョブをしているとちやほやされ、愛でられる。

 女であることと相撲の相乗効果は倍率ドーンである。

 その点においては、なぜ皆、ジョブ選びで相撲を避けるのか不思議であるが、実際の使用感を鑑みるとそういう気持ちも納得出来ないわけでもない。

 

 ともかく、俺は気持ちよくプレイしたいと考えた結果、相撲の女キャラを自分の分身としたのだ。

 そして実際、俺はパーティの姫として君臨し、ちやほやされている。

 当初の目的は既に果たしているのかもしれない。

 だが、それだけでは満足できないのが人間のサガだ。

 俺の野心は燃える。

 もっと多くの人間を俺のしもべにしたい。俺は企んでいた。

 そのためには、今のパーティをもっと大きくするか。それとも現パーティを踏み台に別のもっと大きなパーティに移籍するか。悩みどころであったが、いずれにせよ俺自身、プレイヤースキルもキャラ自体も強くなる必要があると考えていた。


 そのためのMt.鞍馬遠征であった。


 Mt.鞍馬はゲームにおいて最初の山場とも呼ばれる場所である。目当てはそこに出てくるモンスター『鞍馬天狗』。そいつがドロップする『鞍馬天狗の羽』である。鞍馬天狗の羽は初心者卒業の証とも巷では言われていた。製作者もわざわざ羽入手のトロフィーを用意しているのだから、これは意図したものだろう。

 おそらく、これからこのゲームでのしあがってやっていく上ではそのトロフィー無しでは誰も相手にしてくれない。是が非でも手に入れなければならない物なのである。

 お金で手に入れる方法もある。しかしそれも初心者では稼げないほどのゲーム内通貨を払うか多額のリアルマネーをつぎ込むしかないのである。

 勿論俺も俺のパーティメンバーもどちらもどちらも持ち合わせてはいない。

 羽を手にするには、遠征に行き、鞍馬天狗を倒す。

 これしかないのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ