03.姫と愉快な仲間たち
今日も今日とて、俺はパーティの召集をかける。
今回は『Mt.鞍馬』への遠征に行こうと思った。
すぐにいつもの面子は集まる。
俺のパーティの奴らが俺の号令に逆らうことはそうそうない。
だが、だからこそ、俺の中で1つ疑念が浮かぶ。
いくら俺の命令とはいえ、あっという間に集まることのできるこいつらも、俺と同じ高等遊民なのだろうか。と。
いやいや詮索はやめておこう。
悲しくなるだけだ。
ともかく、集合した面子は、俺と同時期にゲームを始めたとあって、まだまだ初心者か初心者に毛が生えたくらいの輩である。だが、今回の遠征は支障はないだろうと考えていた。
俺がパーティを見渡しながらそう算段をしていると、パーティの1人、ごつい見た目の『侍』が近づいてきた。この急接近に俺がぎょっとしていると、侍は突如として直角に腰を曲げた。
「ついにMt.鞍馬に行くんですね! 富士美猫さん、よろしくお願いします! 富士美猫さんとMt.鞍馬に遠征に行けて本当に嬉しいです!」
『富士美猫』というのは俺のキャラ名だ。
侍はそのゴツゴツのガタイに似合わぬ幼い声で俺に挨拶をしてきた。
声からしてプレイヤーは声変わりもまだのショタだろう。
声は基本的にプレイヤーの現実の声が反映される。
この侍の名前は『†kuraudo†』だ。
間違いなく現実ではショタであろう。
見た目とのギャップ萌えもあるが、ちゃんと律儀に挨拶するなんて†kuraudo†はなんて可愛いやつだと思った。
乳首をダブルクリックしてあげたい気持ちにもなったが、ギリアウトなのでその衝動を抑えつける。
そして、つまらない雑談はいつも無視している俺だが、気は悪くないから特別に†kuraudo†に返事をしてあげることにした。
「よろしく……頼みましてよ」
俺はボイスチェンジャー越しのちょっと甲高い声でそう答えた。
返事をしたことに周りが驚きざわついたことがちょっとした快感だった。
そういえば言うのを忘れていたが、このゲームにおいて俺の性別は女だ。
俺はこのゲームではいわゆるネカマをしている。




