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増産体制

 ロゼッタの言葉に私は目を瞬かせる。

 前世の記憶の一部引き継ぎ。

 それではまるで、そういった人間が、


「それでは前世の記憶の一部の引継ぎをしている人間が、他にもいるように見えるわ」

「実は、ちょくちょくいるのです。このエーデルもそうですし」

「エーデルも?」

「ええ。というか彼女もご存じなのですか?」


 エーデルの方をロゼッタが見てそう聞いてきたので私は、


「知っているわ。確かレース編みが好きで、ルトアの店の隣で小さな雑貨屋を営んでいるのよね」

「……それは明後日、開店する予定の、エーデルのお店の話ですか?」

「明後日、開店なの?」

「ええ。ちなみに繁盛しますか?」

「確か、白い花模様の、確か“ウィシュの花”をモチーフにしたショールがとても売れたはずだわ」


 そう話すと、ロゼッタが頷き、エーデルが、


「ありがとうございます。早速帰ってから増産体制に入ります」

「え、えっと、いいのかしら」

「いいのです。その前世の記憶というのが、大抵その時から未来の話を知っていたりすることが多いのです」


 エーデルが当然であるというかのように語るその言葉に私は首をかしげる。

 そんな話、私は知らない。

 そう思っているとエーデルが私に、


「私の祖母が、その記憶を増幅させる能力がある人なんです。一応、会話によってそういった記憶がさらに呼び覚まされたりするので、そちらの方で話してみてもいいのですが……それらを思い出したいと思いますか?」

「そうね、私はそこまで興味がないけれど……」

「わ、私の記憶があるのですよね?」


 そこでロゼッタが私に話しかけてくる。

 だから私は、


「ええ、貴方だった記憶が私にはあるわ」


 そう答えたのだった。

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