表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐の後宮妃 この恨み絶対に忘れない  私を殺した悪徳妃に復讐を ー処刑された貴妃は、二度目の人生で牙を剥く―  作者: 島崎紗都子
第2章 後宮の頂点に登り詰めるために

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/62

18 夜空に浮かぶ灯籠に、永遠の愛をのせて

 出会ってすぐ、星辰と慧雪は恋に落ちた。

 互いに一目で惹かれ合ったのだ。

 そして元宵節の夜、二人は町外れにある池の畔に出かけた。

 夜空に飛んで行く色とりどりの灯籠が、幻想的な空間を醸し出している。

「きれいね」

 闇を彩る灯籠を見つめ、慧雪は呟く。ふと、星辰がこちらを見つめていることに気づき慧雪は頬を赤らめた。

「どうされましたか……私の顔になにか」

「慧雪、改めて言う。私を救ってくれてありがとう。本当に感謝している」

「そんなこと……あたりまえのことをしただけです。それに、お礼なら師匠に伝えてください。私はただ、師匠に言われたことをしたのだから」

 慧雪の謙虚な態度に、星辰は微笑む。が、ふと星辰は真剣な顔で慧雪に向き合った。

「慧雪、あなたに話さなければならないことがある」

 何かしら? と慧雪は小さく首を傾げた。

「実は、私は焉国皇帝陛下の、弟なんだ」

 そう言って、星辰は自分の身分をあかす玉佩を慧雪に見せる。

「星辰さまが、皇弟」

 星辰の正体を知り、驚きはしたが不思議ではないと思っていた。

 先日、星辰を心配して部屋に飛び込んできた人物、あの男も普通の人とは違う、どこか圧力を放つような気配を感じた。だから、星辰も尊い身分の者だろうと予想していた。

 まさか、皇弟とは思いもしなかったが。

「慧雪、あなたを正妻として娶りたい。生涯、側室を持たず、一生あなたを大切にすると誓う」

 慧雪は目を丸くする。

 最初、何を言われたのが分からなかった。

 娶りたい。

 ようやく、星辰に婚姻を申し込まれたのだと理解した慧雪は、恐れ多いというように一歩下がって身を引く。

「田舎育ちの私と星辰さまとでは、つり合い……」

 それ以上は言うなというように、星辰の指先が唇にあてられた。

「慧雪は私のことが嫌いかい?」

 いいえ、と慧雪は首を振る。

「好きです。心よりお慕いしております」

「よかった。あなたに嫌われるくらいなら、私はこの池に飛び込んで死んでしまおうと思った」

「星辰さま!」

 ふっ、と笑う星辰の指が、慧雪の指に絡む。その指に口づけが落ちた。

「そのくらい、あなたのことが好きだということだ」

 星辰の唇が触れた指が熱い。その指に慧雪は視線を落とす。

「他の女子など興味はない。だから、あなた以外に妻を娶るつもりもない」

「本当に、私なんかで……」

「あなたでなければだめなんだ。愛してるよ、慧雪……心から愛している。あなたがいれば私は何も望まない」

「星辰さま、私も愛しています」

 星辰の手が頬に添えられた。少しずつ相手の顔が近づいてくる。

 慧雪は胸のあたりに手を添えた。

 痛い。

 あり得ないくらい、心臓の音がドキドキと鳴っている。

 慧雪はゆっくりとまぶたを閉じる。

 何度も何度も交わした口づけは、甘くて、けれど苦しいくらい切なくて、頭の中が真っ白になって、何も考えられなかった。

 自分もこの先、星辰以外を愛することはないと思った。

「慧雪、願い事を書いた灯籠を飛ばそう」

「はい」

 永遠の愛を誓う言葉を灯籠に書き、夜空に飛ばした。

 灯籠はふわふわと夜空に舞い上がっていく。

 慧雪の肩に星辰の手がかかる。そのまま抱き寄せられた。照れながらも慧雪は相手の胸に頭をもたれかける。

「ずっと星辰の側にいると誓います」

「慧雪、これをあなたに」

 そう言って星辰は持っていた玉佩を慧雪に渡した。

「でも、これは大切なもの」

「慧雪、私は明日、陛下ともに都に戻らなければならない。けれど近いうち必ずあなたを迎えにくる。それまで待っていて欲しい」

 慧雪は嬉しそうに頷いた。


 思い合う二人の心は決して離れず、誓った愛は永遠に続くと信じて疑わなかった。

 だが、運命は残酷だ。

 何故なら二人が結ばれることはなかったから。


 次に二人が会った時、慧雪は皇帝陛下の妃であったから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ