26. ドクロVS女性冒険者
今にも振り出してきそうなあいにくの空模様。どうやら思い通りの演出が出来たようだ。
天候操作の指示をアギョウに指示して、ゲーミングチェアばりの管理人専用椅子でポテチを摘み始めた紅葉。
モニター画面には、大きめの帽子を被ったいわゆる魔女を連想させる恰好の女性冒険者が悠然と立っている様子が映し出されている。
彼女は手にした杖を前方に迫るドクロの集団へと向けていた。
ドクロ集団は一定の速度を出して止まる気配は一切無しで女性冒険者へと迫っている。
両者の距離がおよそ十五メートル近づいた頃、強烈な光がその場を支配した。
杖から放たれた光が所々で火花を散らして、まるで雷鳴りがその場に落ちたよう。
「うわ派手だね」
紅葉の呟きに隣に座る伊東がコクコクと頷き返す。
雷撃を食らったドクロ達の身体は光り弾けて次々に馬上から放り出され、落ちるそばから地面に消えて逝く。
おお〜一体一体屠っていく感覚ってどうなんだろうね。
あっお姉さんのアドレナリンMAXだわ。
毎日のルーティンワークで各階を従魔達と共にモニターチェックしている紅葉は、三階層に釘付けだった。
さきほどの感想は管理者権限で冒険者達のバイタルサインを覗いたもの。
そうこうしているうちに、魔女(仮)の横を馬に乗った冒険者が走り抜けて行ったのが見えた。
「あっあの人は、薙刀とお馬さんもレンタルしていた女剣士の人!」
受付で甲冑一式のレンタルご希望だったけど、あいにく取り扱いが無くてお断りした冒険者だった。
女性用の需要があるとは思っていなかった管理人紅葉の痛恨のミスである。
平謝りして、お詫びの印に次回の入場券を無料で進呈し事なきを終えた。
女剣士の人は、「お陰でいいもの貰ったわ」とすごく喜んでいただけたよ。
その彼女が薙刀を片手で持ち手綱を左手で御しながら疾走している。
軽装用の胸当てだけ着用した姿ながら華麗だった。
「中々な使い手に見えますね」
今度は伊東さんが呟いている。
この冒険者二人は普段別々に活動しているようで、今日だけ臨時パーティーを組んだ模様。
この階層に二人だけで挑むのは少々無謀と思っていたが、先程放たれた魔法をみれば納得できた。
乱戦になってきた合戦場では魔法使いの雷の直撃を免れたドクロ達が、なおも前進してくる。
そこ目がけて馬を駆った女剣士が飛び込んで行き、薙刀が振られると面白いようにドクロが飛んでいた。
右から左へと薙ぎ払われ宙を舞うドクロ達。
「あのお姉さんも強いねー」
「まっこと強いでごわすな」
紅葉のひとりごとのような呟きに、インカム姿のウンギョウが同意する。
「中々な手練れとお見受けするでごわす」
「そうだね」
一人と一匹は女剣士に感心しきりだった。
「紅葉さま、もう一人いましたの!」
「えっどこどこ?」
サクラの声に目を凝らしてモニターをみるが、そのもう一人を肉眼で捉えきれなかった。
「あそこにいるでごわす」
ウンギョウがモニターの端をトンと指差す。
「なるほど上手く隠れてるわね。「土遁の術」ならあのお姉さんは忍者ね。女性だからくノ一ってとこかな?」
「そうでごわすな」
「この三人チームは、女性陣では上位間違い無しですね」
「そうですね。今のところ有力候補ですね」
伊東さんの意見に同意します。
おおっぴらに宣言してないけど、上位チームに賞品をプレゼントするつもりでいる。
彼女達には大いに頑張って欲しい。
そうそう余談ですがこの階層に挑む冒険者達には二通り合って装備のレンタル派と自前派がいらっしゃいます。
自前でくる冒険者達の中にはいまだにダースベーダー風でそろえている人多いよ。
あの風体で馬に乗って戦場を駆け抜けている。
管理人的になんか羨ましいと思ってます。
また迷宮内でしか使えないけれどマジックバックのレンタルがあり、甲冑一式レンタルする人に好評です。
結構重いけど戦国武将に皆なりたいのですよ結局。
兜をとりあえずは被りたい人が多いのよね。
あの前立て部分に浪漫を感じるらしく。
どこの武将だっけ「愛」の兜で駆け抜けた武将がいたっけ。最初に写真で見た時「LOVE」だよね?と驚いたのを思い出しました。
気分だけ味わいたい人用に、頭からすっぽりと被る簡易版の甲冑も用意しております。
二層のセーフティーゾーンで着替えてもらい三層に挑んでいただく仕様。
女性冒険者には巴御前スタイルが人気ですね。
馬を操り、薙刀を振り回すのがいいらしい。
馬に乗れない人はどうするかって、ここも迷宮管理の一環でサポート体制整ってるよ。
希望者には即日対応可能なので、どうぞお越しください。
受付にそう張り紙出しているせいもあって、合戦場の人気はしばらく続くのよ。




