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24. リピーター

 ここに心を鷲掴みされたおいちゃん代表が一人。

 満面の笑みでやってきた。


「紅葉ちゃん今日は世話になるよ!」

「島根のおじ様いらっしゃいませ!」


「最近お見かけしていないが、静子さんはお元気ですかな」

「はい。ばあちゃんは今日も相変わらず畑仕事に精を出してます」


「これを静子さんに後で渡してくれるかな」

「いつもありがとうございます。祖母も喜びます」

 

 おじ様から市内で人気の菓子折りをいただいた。

 おじ様とは血縁関係は無いが、会うと必ずお土産をくれる親戚の叔父さんみたいだなと勝手に思っている。

 何でも爺ちゃんに昔すごくお世話になったんだとか……

 爺ちゃんはもういないけど、こうしていつも祖母や私のことを気にかけてくれる。


 

「三層が楽しくてね~有志を募ったらね。こんなに集まってきたんだよ」

「あっこの方達は叔父様のお連れ様なんですね」


 なんと今日はいつもよりも多いなと思ってたらおじ様の関係者だった。


 五、六人のパーティが四つ作れる大所帯でお越しいただいてます。だがしかし、今日平日だよ。


「おじ様、おいでいただくのは大変嬉しいのですが……会社は今日良いんですか?」


 島根のおじ様の肩書は、某中小企業の会社社長。

 平日日中こんなところにいていいはずがないと思うのだが。


「何、私の所は優秀な部下達が大勢いるからね。二三日いないくらいどうってことないさ」


 いやいやいや三日ダメでしょう。二日でもアウトでは?


 ああそうですか……自分が社員だったのなら社長さん平日遊ぶとかズルイと言ってるけどな。


「他の者も有給取って来たんだろう」

「平日が空いているのは分かってたしね」


「私は念のため二日取ったわ」

 妙齢の女性はしてやったりな顔してほくそ笑む。


「えっなんで?」

「筋肉痛で動けなくなると問題じゃない」


「怪我よりそっちですか! 普段から身体動かしていれば問題ないぞ」

「え~今それを言う……」


 おじ様のお連れ様達は、楽しそうにやんやと言葉を交わしている。


 よっぽど楽しみにしてたんだろうな……


 紅葉は言い合いしている男女を微笑ましげに見つめた。


「来ていただけるのは嬉しいので歓迎します。楽しんで来てください!」


 時間になったので、入り口でチケットを購入して貰う。

 ちなみに島根のおじ様は年間パスポートをお買上げ済みなり。どんだけ好きなん。


 受付には各種レンタル品もあり、必要な人はここで揃えてもらう。

 リピーターの一部の猛者たちは慣れてくるとやはり自分専用をあつらえる人も多くて、おじ様達はその一部に該当していて、結構お金かけてる装備を携帯されてましたね。


 この後軽くミーティングをするとのことなので、紅葉は一旦集団から離れた場所に移動した。


 肩を回したり屈伸したり、軽いストレッチをしながらミーティングしている終始和やかな集団は周りとはちょっと違う雰囲気を醸し出していた。あれがリピーターの貫禄ってやつなのかな。


 少し離れた場所から周囲を見渡していると、迷宮ゲートの入口付近から女性達の声が聞こえてきた。


「あっこれ良いわね」

「帰りもこれ浴びるのよね?」

「目に見えない汚れとか嫌だし、何か安心するわ」 


 うんうんそこんとこ気になるよね……

 迷宮てやっぱ異空間な感じだし万が一を考えるよね。


 来夢迷宮は、ゲートの出入り口付近で冒険者に必ず除菌入ミストを浴びて貰うスペースを設置している。

 入る時は中に持ち込まないように、出る時は中で付いたものを落としていって貰う為。


 何がとは言わないが、自然環境汚染と自身の健康のために浴びてもらっている。

 ミストには体力回復と美容にいいものもブレンドされているから、家に帰ったらあれ何だか調子いいし綺麗になったような気がする程度には感じるはず。


 風圧が結構あるので初めての人は驚くが、皆楽しそうに身体を回転させて思う存分浴びていた。

 今のところ二台しか置いていないので、今日みたいに人が多いと待たせてしまうことになってしまうが、適正台数が今のところ分からず手探り中だ。


 ミストを浴びた順番で先に進んでもらう。

「それでは、皆様お気を付けて行ってらっしゃいませ」



 来夢迷宮は今日ものんびりと営業中。平和だなぁ。

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