21.草原エリア 甲殻アルマジロ
のろのろ亀さんです・・・
迷宮内は色んな所にカメラが設置されている。
さくらにモニター⑤に切り替えてもらったら、冒険者の頭がドアップで映った。
かなり攻めたアングルだけれど、冒険者が気付いている様子は無い。
「ねぇさくら、これってドローンで撮ってるの?」
「紅葉様、モニター⑤の映像はこの者が撮ってますの」
少し得意げ顔のさくらがモニター⑤を指さすと、別視覚からの映像が割り込んできた。
その映像では、冒険者の頭の上を何か小さな物体が飛んでいるのが見えた。
んん? 小さくてよくわからないな……
「もうすこし寄せてみますの」
私の小さな呟きが聞こえたようで、さくらの声に呼応するようにより対象に接近した映像に切り替わる。
んん? どう見てもてんとう虫だよね……背中にばっちり星がまたたく七星君。
そのてんとう虫君がくるっと振り返ると、丁度、てんとう虫君にズームインしている相手が映し出された。
てんとう虫君は、はるか上空を飛んでいるカラスから激写されていた。
「紅葉様、モニター⑥は黒丸に担当させてますの」
てんとう虫君も黒丸も、いつの間に映像スタッフに加わったんだろうか。
管理人であるはずの私が知らないなんて、いつの間に……。
「紅葉様には、後ほど紹介いたしますわ」
と、さくらはニコッと微笑むとインカムで更なる指示を出す。
「アル、もうちょい寄ってみて!」
てんとう虫君はアルというらしい。
てんとう虫君は小さい身体を上手く使って被写体に迫る。
紅葉はさくら指示によるアル目線からの映像へと再び目を向けた。
眼下に見える冒険者チームは、見た限り順調に進んでいるようだ。
シーフの役割を担うメンバーが、腰を落とし前方の様子を伺っている。
何故シーフとわかるかと言えば、冒険者の頭上にポップアップ表示されてるのが、管理人権限で見えてるから。
このチームは六人体制。チーム構成も管理人権限で一覧で見ることが出来る。
またモニター上には簡易ではあるが、チーム名やら略歴やらが管理人権限で常時見えている。
オンオフ可能で、任意の者も閲覧出来るようにすることも可能。
冒険者チームは事前に決めていたかのように、フォーメーションを組んで草原をズンズン進んでいた。
ある程度の場数を踏んでいるのか、六人それぞれの動きに無駄がない。
しばらくすると彼等の前方に魔獣が接近して来るのが見えた。
シーフもようやく気がつき、メンバーに合図を送る。
立ち位置からおよそ二メートルの距離にターゲットの魔獣はいた。
甲殻アルマジロだった。名前通り皮膚は固い甲羅で出来ている。
「このチームは魅せてくれるでしょうか」
「バランスが良さそうだし、さっきのチームとは面構えが違うからね、期待できそうです」
ガサゴソとポテチの袋に手を突っ込んだ伊東さんはニコニコ顔で答えてくれる。
思いっきり寛いでますね伊東さん。
紅葉はそんな伊東へついでにコーラを提供するのだった。
「アルマジロが攻撃態勢になりましたぞ!」
アギョウがおもむろに声をあげる。
クルクル回転を始めるといきなり加速。
意表を突かれて手前の盾を構えた冒険者は、重量がかなりあったのか、横に吹っ飛んだ。
「何々あの仔強いんじゃない?」
甲殻アルマジロは盾を弾いた勢いのまま、その後ろにいた冒険者にも突っ込んでいった。
「皆こっちに集まれ!」
チームリーダーが叫んだ。




