第1話「グリーン・イーデン」
春、4月、新しい出会いの季節、ここP.P.東支部・正式名称 グリーン・イーデンにも柴田 弘作という新人が来てくれた。年齢は俺と同じ18と言っていたが、初めてのこの仕事をやるのは何かと思うところがあっただろう。というのも民間警察とは名ばかりの何でも屋だ。ペット探しから護衛など、どんな仕事も引き受ける。
こんな環境だから...と心配していたが、予想に反してメンバーと馴染むのが早く、今は2つ年上の 桐谷 櫻子と意気投合したらしく、新人がやつれていく様子を楽しみにしていた 御子柴 犀は悔しがっていたが。
2人の名前を初めて聞く人も多いだろう詳しいことは後で説明しよう。なぜなら今、俺は最年少14歳の 水原 愛璃にプロレス技をかけられている..
「うっ、あい...り..はなせぇ...」
「え!?もうギブ?それじゃあ、つまんないよ~~」
以外とあっさり離してくれるところはいい子なのに...
「つまる、つまらないじゃなくてお前の力だと俺の体が大変なことになる。」
「そんなこと言っても、なお兄は丈夫だよね?マリー」
「愛璃、綯音が可哀想」
愛璃に マリー と呼ばれた愛璃と同じ年頃に見えるその少女は、実は少女ではなく、極めて人間そっくりに作られたアンドロイド(人型ロボット)と呼ばれるもので、ここではよく愛璃が彼女の相手をしている。いや、もしかしたらマリーが愛璃の相手をしているのかもしれない。
そんなわけでここグリーン・イーデンのメンバーは現在この8人でやってる、クセのある奴らばかりでそれをまとめるおやっさんは苦労人だな。
そんなことをしているうちに昼すぎになり、少し遅い昼食を取るかと話をはじめた頃に、所長室の電話が事務所に鳴り響く。
所長が「飯の邪魔すんなよぉ」と小さくぼやきながら受話器を取り少しの間を置いて、少しばかり真剣な顔つきで出てくる。おそらく...
「仕事だ。急いで支度しな!」
――――― さっき来た仕事の内容を説明しよう。昔から、エイベットという王族が国王をやっているエイベット王国は5つのエリアに分けられている。中央王都、東、西、北、南 という具合に。俺たちがいるのは、この東エリアなんだが、エイベット王が、王家の財産を全て預けているとされるこの国で最も大きな銀行、エイベス銀行がこのエリアに存在する。ここが襲撃された。犯行グループは15人その中に一人ギフターがいるという情報が来ている、そんなわけで本物の警察じゃなくて俺らの出番ということだ。
そして、今回の任務で出動しているのは、運転手の柴田弘作、制圧班の俺、碓氷綯音、東雲 綾、水原愛璃、御子柴犀の5人でいく。おやっさんと櫻子さんは少し遅れると言っていた。
「もう少しで着きますよ。」
弘作はゲームオタクだ。レースゲームにはまり過ぎて自分で免許をとってしまうくらい車が好きだとか。ものすごく運転が上手いが、それにして物凄いスピードを出す。「舌噛まないでくださいよ!」みたいな台詞がお似合いだ。
「到着したら、私と愛璃で2人で注意を引きます。綯音と犀は、その間にギフターを制圧してください。」
「女のコを囮に使うってのは気が引けるが、作戦だったら仕方ねぇな。」
「さい兄はやっさしいな~、アタシ頑張っちゃうよ」
「頑張らないと大怪我するぞ、愛璃。」
「なお兄こそアタシに遅れないでね。」
「な、なんだと...」
「綯音よぉ、そのへんで止めとけって、ほら着いたぜ。」
愛璃にはまだ言いたいことがあったが、後で覚えてろよ。それはさて置き、このエイベス銀行やはり、最大規模というだけある。でかい。高さこそ周りの高層ビル群に劣っても、広さが違いすぎる。巨大なエイがそこに佇んでいる印象を受ける。別に、例えがこれしかうかばなかっただけで決して駄洒落ではない。
銀行の入口には、いかにもな武装をした怪しい奴が見張りをしているようだ。
「よかった、まだ逃げてないみたいね。」
綾は、そう言うとさっさと入口のほうに歩いていく。さすがに見張り役も制服を着た女が来るのには、怪しむ。
「おい、なんだお前は!止まらないと撃つぞ。」
止まらないどころか、綾は走り出した。この段階で勝負はついた。10メートルほどの間合いに入り、見張りがしびれを切らして引き金に手をかける。その瞬間、彼女は大きく跳躍すると同時に自分の武器を手にとり、一気に距離を詰め、
「抜刀っ!!」
の掛け声と共に手に握られた柄より先のない剣を横なぎに払う。
男の持っていた銃は綺麗に切り裂かれ、冷たい金属音を立て地面に落ちる。不思議なことに見張りの男の指や体、服などには傷一つついていない。見張りの男は驚き、動きが止まる。そこにすかさず愛璃の跳び蹴りが男の首を捉え、その大きな体は宙を3回転しドサッと静かにな地に落ちる。男の着ていた服が大きな音をたてる。まずい。
「どうした?」
怪しんで、数人が近づいてくる。もうやるしかない。全員がそう思ったらしく軽い合図で行動に移す。
この状況では、綾と犀が頼りだ。綾が使っている剣、あれは25年前の戦争の時に作られた7つの内の一つ、『貪刀・グラ』と呼ばれてる、刃のない刀。の柄の部分に閉じ込められたベルゼブブとかいう悪魔がいて、そいつと契約して使えるらしい。暴食の悪魔と呼ばれるベルゼブブが自身が封印されたカタナの柄より先を食べたことにより今の形になったと言われている。
綾との契約で力を使えるようになり、対象にしたものだけを喰う(斬る)ことができるという。こんな強力な力を使うからにはそれ相応の代償が勿論ある。この剣で斬ったものをベルゼブブに奉納することで能力の代償を払う契約なのだが、もし能力を使った上で支払いが出来なかったら自分の身体の一部を代わりに悪魔 に支払う必要がある。
だから、彼女は使いこなすために、血のにじむような特訓をしたことを俺は知っている。死と隣合わせの日常を過ごしてきた彼女はそう簡単に負けるわけもなく、あっという間に愛璃と2人で玄関ホールを制圧した。
「まだ、誰かひそんでいるかも知れないわ。気を付けて。」
綾がみんなに呼びかける。その時、暗闇で何かが光つのが見えた。まずい。
「あや姉!危ないっ!」
俺よりも愛璃の反応が早く、甲高い声を上げた。光が上がったところからナイフの刃が飛んでくる。
「くっ...抜刀っ!!」
綾は素早く、反応する。しかし、ダメだ、間に合わない。その時、俺の横を『風』が通り過ぎた。金属に何かがぶつかる音がして、ナイフが軌道を大きく変え宙を舞った。
あれは、犀の使用する武器 傷銃・プレスの能力、空気を圧縮し、それを打ち出すものだ。弾の不要な狙撃銃の形をした銃。ナイフを弾いた後、犀はもう一度、プレスを構え、光の出どころに銃口を向け、
「俺の前で、女の子に向かって刃物を投げるとどうなるか。体で味わえ。」
犀は静かにそう呟き、引き金を引いた。圧縮された空気の弾が
放たれる。ヒュンという風切音の後に、
「がっ!」
と何者かのうめき声がして辺りは静かになった。
代理人のダイアリー、1話ご視聴頂きありがとうございます。前回の投稿から間が空いてしまいましたが、いかがでしょうか。キャラクター覚えて頂けたでしょうか?少しばかり情報を詰め込みすぎな感じもしますが、次回からやっと物語を進展させることができます。主人公の能力にも期待してください。次回は近いうちに投稿できたらと思っております。それでは、みなさんまたお会いしましょう。
4月14日、本文の一部を改訂しました。




