DAY1:発災 Part2
ドン。ドン。
ガチャガチャ。
既に1時間はドンドンガチャガチャしている。
いつまでやってるんだ、やめてくれ…
生きている人間にせよ、ゾンビにせよ、リスクは冒したくない。
ドアスコープ越しに外を見る――
鼻が血まみれで骨が見え、眼球が飛び出している…ゾンビだ。
俺は恐怖で尻餅をついた。
「なんなんだよ、ちくしょう…」
玄関ドアは外開きだ。
ゾンビが体当たりしても簡単には突破されないはずだ。
しかし、怖いな…念のためバリケードを築こう。
-正午-
ソファやタンスで簡易的なバリケードを作ることができた。
問題は出入りだ。
今はまだ備蓄品がある。
今日買ってきた分や、元々冷蔵庫に入ってた食料も含めたら軽く1か月は生活できるだろう…
ゾンビに玄関を突破されなければ。
非常用の避難梯子は隣の住戸のベランダだ。
――そういや、お隣さんは無事なのか?
気になった俺はベランダから隣の部屋を覗いた。
どうやら不在らしい。
カーテンは開けっ放しで、洗濯物が干されたままだ。
見える範囲には人影はない。
我が家と同じく間取りは1Kのはずだ。
キッチンにつながるドアは開いているし、その先の玄関に靴はない。
あれ、そういえば…さっき襲われていた男、お隣さんだな…
助けてあげれば、よかったな…
まあいいか、悲鳴に気づいて見てからすぐに捕まっていたし、どのみち助けられなかったわ。
隣の部屋のベランダに侵入する。
窓の鍵は…開いている。
室内に入る。
「タバコくせぇ…」
どうやらヘビースモーカーだったようだ。
窓際の座卓にタバコがカートンで置かれている。
とりあえず、玄関を塞ごう。
うちのアパートは1フロアに2住戸だから、この部屋に侵入されなければリスクが大幅に減る。
物資を回収したら、この部屋に来ることはもうないな。くさいし…
ドアはガチガチに塞いでおこう。
鍵を閉めて、チェーン掛けて、バリケード。
冷蔵庫、タンス、ベッドで玄関を塞ぐ。
よし、これだけやれば大丈夫だろう…
部屋に戻り、隣戸から回収した物資を確認する。
どうやらあまり自炊をしていなかったようで、あった食料は菓子とジュース、そして大量の酒。
こんな状況で酒なんざ飲めないが、一応回収してきた。
それと、使い込まれた金属バット。
野球が好きだったんだな…
金属バットは武器になる。
ひとまずは安心だ。
そのとき、銃声が響く――
パァンパァン!
パパパパパパ!
短間隔での連射…警察の銃じゃない。
自衛隊か?
自衛隊が出動したのか?
自衛隊が事態を収めてくれればいいが…
-午後8時-
日が沈みしばらくたった。
停電はしていないが、明かりはつけない。
なんとなく、ゾンビに見つかりそうで怖いからだ。
サイレンはもうほとんど鳴っていない。
昼に聞こえていた銃声は1時間もしないうちに止んだ。
どうなったのだろうか。
基地局がやられたのか、ネットが繋がらない。
テレビも放送されていない。
ラジオは自宅待機を促す放送が繰り返されているだけ…
友人の山岡は無事だろうか…
そのまま俺は眠りについた。




