DAY28:訪問者
また雷雨だ。
どんよりとした暗雲が白く光っている。
「頭いてぇ…」
「なんだ佐藤、お前片頭痛持ちか?」
「はい…」
「サトー、大丈夫デスカ。Got any painkillers?」(鎮痛剤持ってないの?)
救急箱を棚から取り出し、鎮痛剤の箱を開ける。……空だ。
「ああぁぁぁぁ、そうだった。買わなきゃって思ってたのにぃぃぃ」
頭が痛すぎて外出なんてできない。
かといって怪我人2人をたかが鎮痛剤のために外に行かせるわけにもいかない。
よし、寝よう。
――数時間後。
「おえぇぇぇぇ」
バケツに向かって、胃の中のものを盛大に吐き出す。
ああ…朝食べた食料が…。
班長が心配そうに背中をさすり、ブランドンはやや引き攣った顔で距離を取っている。
…いつかしばく。
バケツに向かっておえおえしていると、何者かがドアをノックした。
視界の端でブランドンが拳銃を取り出し、班長がカービン銃を手に取るのが見える。
…俺?バケツとお友達さ。
「何者だ!ここに何しに来た!」
班長が叫ぶ。
「怪しいものではない!我々は陸上自衛隊だ!」
「なに?!」
「オー、ジエイターイ」
「ばか、信用すんn…おろろろろ」
「所属と氏名、階級を名乗れ!」
「第〇普通科連隊 本部管理中隊の永田士長だ!」
「同じく、亀田准尉だ」
「え、永田…おろろろろ」
班長がドアを開けると、知っている顔が2人立っていた。
「水流1曹?!生きてたのか!君は佐藤君じゃないか。大丈夫か」
驚く亀田准尉。
――数十分後。
永田士長から鎮痛剤をもらい、ひとまず落ち着いた。
グッジョブ永田。
班長、ブランドン、亀田、永田が4名で話している。
俺は会話に参加する元気なんざない。
どうやら、駐屯地は地獄と化したようだ。
混乱の中、連隊長は感染し、永田士長を亀田准尉が助け出したらしい。
「駐屯地は壊滅か…」
「ああ。どれだけ生き残ったことか。しかしまさか、こんなところで再会するとはな」
班長が呟き、亀田准尉が答える。
彼らは隣町から徒歩でここまで来たそうだ。
その日その日で住処を転々とする生活をしていたところ、要塞化されつつある我が家を見つけたらしい。
「で、その米兵さんは?」
「ハイ、ブランドン少佐デス」
「はあ?!お前少佐かよ!」
思わず叫んでしまった。
おえ、気持ちわる…。
「ブランドン少佐。貴方はなぜ彼らと」
「命ノ恩人ダヨ」
「ところで、亀田准尉と永田士長。武器は何がありますか?」
班長が問う。
「私は拳銃。弾は6発。彼は丸腰だ」
亀田准尉が拳銃をテーブルに置きながら答える。
古いほうの9㎜けん銃だな、あれ。
そろそろ会話に参加しようかな。
「永田士長、射撃の腕は?」
「まあ、そこそこだけど」
「カービン銃は班長に使わせたいから、これでいい?」
以前回収した散弾銃2丁のうち、芸術品っぽい方と、スキート弾を渡す。
「これ、威力低くて散らばりやすい散弾だけど、近距離なら十分な殺傷能力だよ」
「いいの?!」
「うん」
「サトー、ソコノライフル、見セテ」
以前分解された状態で回収したライフルをブランドンが指さす。
「え、これ?いいけど、組み立て方わからないんだよね」
「アーヤッパリ。コレ、Winchester Model 70 Featherweightダヨ。アメリカデ使ッテタ」
「マジ!?組み立てて!」
「イイヨ~」
ブランドンがライフルを組み立てていくのを観察する。
へぇ、あの部品はあそこにハメるのか…
「コレ、.243 Winノmodelダヨ。弾アル?」
「あるよ」
これまた以前回収した.243 Winと書かれた30発入りの箱を渡す。
「オーカンペキ」
銃を組み立て終わったブランドンが、ガチャガチャとボルトを引いたり空撃ちして動作確認をしている。
「ブランドン、腕が治ったらこの銃使う?」
「アー、カービンガ、イイ」
「佐藤、俺がそのライフルでも全然いいぞ」
「あ、そうすか?まあ、任せます」
仲間も、使える武器も増えた。
俺は散弾銃とダブルオーバック弾が6発、スキート弾10発。
班長はライフルと弾が30発。
ブランドンは拳銃3発とカービン銃(骨折が治ったら)。
亀田准尉は9㎜けん銃と弾6発。
永田士長は散弾銃とスキート弾15発。
なかなかいい感じの武装じゃないの~?これ。
永田士長と亀田准尉には以前安全化した2階の部屋を使ってもらうことにした。
部屋の中に家具はあるが、寝具はないことを伝えると、自分たちで回収してくるから車を貸してほしいと言われた。
一応ブランドンに許可をもらい、ブランドンにあげる予定のデ〇カを貸すことにした。
ついでに給油も頼んでおいたし、ガソスタに置いてあるシャコタンセダンの回収も頼んだ。
仲間が増えると便利だなぁ。




