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閑話:永田士長 Part1

<永田士長視点>


駐屯地を脱出して、何日経っただろうか…。

土砂降りだし、腹減った…。

今着ている迷彩服もずっと洗っていない。くさい…。


「亀田さん、僕らこれからどうなるんですかね…」


「そんなこと考えても仕方ない」


「すみません…」


「この町は確か佐藤君が住んでいた町だ…。彼が生きていたら再会できるかもしれないね」


「でも、生きてますかね…」


――数十分歩くと、亀田さんが立ち止まった。


「どうしたんですか」


「あのアパートを見てみなさい」


建物の隙間から見えるやや古いアパートの3階に、人影が見える。

はっきりとは見えないが、複数。


「…ゾンビじゃないですか?」


「いや、ベランダにプランターが大量にある。生存者かもしれないよ」



入り組んだ住宅地を回り込み、アパートの表へ回ると、生存者が居るかもという期待は確信に変わった。

アパートは全周をブロック塀で囲まれ、敷地への入り口は大型のミニバンで塞がれている。

駐車場には複数の車と、黒焦げの死体。


…死体?


「亀田さん、あれ…」


「ああ、焼かれた死体があるね…。生存者がいるのは間違いなさそうだ」


「危険な奴らじゃないですか?」


「いや、衛生面を考えれば死体を焼くのは自然なことだ。

それに、今の我々に相手を見極める余裕はないよ」



ブロック塀をよじ登り、敷地へ入る。

亀田准尉が拳銃を抜き、一部屋ずつノックし、ドアが開かないか確認していく。


「人影が見えたのは3階だけですよね」


「もし、他の階にも居たら挟まれるだろう」


3階の部屋をノックしたとき、反応があった。


『何者だ!ここに何しに来た!』


「怪しいものではない!我々は陸上自衛隊だ!」


亀田准尉が拳銃を構え、僕が答える。


『所属と氏名、階級を名乗れ!』


…同業か?

亀田さんと目を合わせ、答える。


「第〇普通科連隊 本部管理中隊の永田士長だ!」


「同じく、亀田准尉だ」


するとドアが開き、知っている顔が見えた。


「水流1曹?!生きてたのか!君は佐藤君じゃないか。大丈夫か」


亀田さんが驚きながら水流1曹の肩を叩く。

奥でゲロを吐いてる佐藤が見える。


…おえ。


中へ入ると、乱雑に置かれた物資や、生活感のある光景が広がっていた。

…え、外国人?


外国人が気になるものの、ゲロを吐いている佐藤に話しかける。


「あの…大丈夫ですか」


「いや、頭痛くて…」


「あ、頭痛薬ありますよ」


佐藤に頭痛薬を飲ませ、しばらく様子を見る。

落ち着いてきたみたいだな。


振り返ると、亀田さんが水流1曹と外国人と話していた。

状況や今に至る経緯を話しているらしい。


「で、その米兵さんは?」


亀田さんが気になっていたことを聞いてくれた。ナイス!


「ハイ、ブランドン少佐デス」


「はあ?!お前少佐かよ!」


「うわっ」


いきなり叫ぶ佐藤にびっくりしてしまった。


「ブランドン少佐。貴方はなぜ彼らと」


「命ノ恩人ダヨ」


命の恩人?助けたのか。

でも、米軍基地がないこの地域でなぜ…?


疑問を口にしたかったがなかなか言い出せず、武器の話になってしまった。

なんか散弾銃を使わせてもらえるらしい。ありがたい。


食事をもらいながら亀田さんが交渉し、ここに住まわせてもらえることになった。

2階を自由に使っていいそうだ。

2階の部屋の鍵をもらい、中に入る。


男2人で1Kだが今の状況で考えたら十分すぎるくらいだろう。

部屋の中に家具はあるが、寝具はないらしい。


「佐藤君。寝具を含め、必要なものを回収したいんだが、車を貸してもらえたりするかい?」


亀田さんが交渉すると、あっさり車を借りる許可が下りた。気前がいいな。


…と思ったら、雑用まで頼まれた。

給油と車の回収。

めんど…。




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