DAY26:車 Part1
朝食を食べながらブランドンに話しかける。
「なあ、マニュアルは運転できる?」
「説明書ハ運転スルモノジャナイ」
「あー、MTだよ、MT」
「アー、デキナイ」
「おっけー」
朝食後、装備を整え外へ出る。
いつも通り、ジャケットにジーンズとヘルメット、金属バットと散弾銃だ。
カービンは目立つから封印。
ふとミニバンを見る。
ゾンビをバンバン撥ねたせいで、ボンネットがやや浮き、ヘッドライトが片方割れ、フロントガラスにひびが入っている。
「どーすっかな。まずはブランドンのから探そうか」
動く車を探しに行くため、原付に乗りアパートの駐車場を出る。
こいつなら乗り捨てても痛くない。ボロ軽があるし。
「…こいつもダメか」
道路の放置車両を片っ端からチェックするも、すべてキーがないか、中にゾンビがいる。
以前見つけたガソスタのセダンはMTだから駄目だし。
「お、あれいいな」
中古車ショップに停まっている車が目に留まる。
〇菱のデ〇カだ。しかも、グリルガードが付いている。
12年落ちか…。少し古いが、これでオートマならブランドンにぴったりだろう。
…ほんとは俺らが欲しいところだが。
車に近づき、ドアを引く。
やはり、鍵がかかっている。
中古車ショップの事務所と思われるプレハブに目をやる。
入り口のガラス戸に血がべっとり。
「めんどくさいな~」
入り口から中を覗く。
「1匹だけか」
ドアを開け、声をかける。
「おい、ハゲ!かかってこいや!」
ゾンビを外へ誘導し、出てきたところで頭に向けバットをフルスイング。
「ちょろいぜ」
念のためさらに数発頭を殴り、プレハブの中を覗く。
ゾンビはいない。
「こいつが店主かな?」
プレハブの中に入り、キーを探すが見当たらない。
「これの中か?」
鍵のかかった金属製の箱がある。
「んー…。あ、そうだ」
ハゲの死体のポケットを漁る。
…鍵みっけ。
早速鍵を差し込んでみる。
…開かない。
「ちっ」
この鍵じゃないのか?
んー…。
考え込んでいると、机の引き出しに鍵穴があるのを見つけた。
ガチャ。
ハゲの持っていた鍵を差し込んで回すと、引き出しが開き、中から鍵束が出てきた。
このなかのどれかがあの箱の鍵で間違いないだろう。
1つずつ確認していくと、4本目の鍵で箱が空いた。
「あったあった」
〇菱のキーを取り、ボタンを押すとデ〇カのロックが解除された。
「よし、ATだな」
トランクを開け、後部座席を格納し、広さを確認する。
「うん、十分だな」
原付を車まで押して持っていく。
軽く持ち上げ、重さを確認する。
「…男1人分くらいか。よし…。ふん!」
原付を持ち上げ、車に積み込む。
くそ、重いうえに持ちにくい。
なぜ原付を持ち帰るのかって?
ここは中古車ショップだからな。
損傷したミニバンの代わりを回収しに来るんだよ。
デ〇カを運転し、自宅へ戻るとブランドンが出てきた。
「オー!ゴッツイネ!コレ、オレニ?」
「ああ、そうだよ。ガソリンは70%くらい入ってる」
「アリガトー!」
喜ぶブランドンを横目に、原付を降ろす。
腰痛めそうだな…。
「じゃあ、俺はもう一台回収してくるから。ほら、キー」
ブランドンに車のキーを渡し、原付に跨る。
「イッテラシャイ」
20分ほどかけて中古車ショップへ戻ると、プレハブから5人の生存者が出てきた。
「なああんた、車のキーが入ってる箱の鍵、持ってるよな?車持ってくの見てたぜ」
「…。(めんどくさいな)」
「おい黙ってねぇで答えろや!」
「あるけど、なに」
「じゃあその鍵と銃、置いてけよ。この人数だ。敵わねぇだろ?」
「…」
原付から降り、箱の鍵を放り投げる。
「ちっ…」
「ほら、大人しく銃も寄越せよ」
1人が舌打ちをしながら放り投げた鍵へと近づき、4人が近づいてくる。
近づいてくるうちの2人の頭が直線状に並んだタイミングで散弾銃を構え、引き金を引く。
ドォン!
「うひょ~一石二鳥!」
小銃より反動きち~。
手前の男は顔が吹き飛び、奥の男は目を抑え、倒れて藻掻いている。
散弾銃にはもう1発。
一番近いナイフを持った男の胸めがけて撃つ。
ドォン!
「うひょ~!」
「え?!え?!」
無傷の2人のうち1人は茫然と立ち尽くし、1人は腰を抜かしている。
落ち着いて散弾銃を装填し、一発ずつよく狙って撃つ。
ドォン!ドォン!
動かなくなった男の手から鍵をもぎ取り、藻掻いている男に歩み寄る。
「くそぉ、いてぇ、いてぇよ…」
「なあ、なんでこんなことしたん」
男のそばにしゃがみ、問いかける。
「うるせぇ、ぜってー殺す。殺してやる」
「あ、そう。頑張って」
集まってくるゾンビ達を確認し、急いで車のキーを1つとる。
ホ〇ダのステ〇プワゴンか。デカくていいね。
車に乗り込み、男の悲鳴を聞きながらそそくさと離れる。
燃料は満タンか。ラッキー。
アパートへ到着し、部屋へ入る。
「おい佐藤、お前…銃撃ったな?」
「え、よくわかりましたね」
「馬鹿野郎。硝煙の臭いするし、さっき銃声が数発聞こえてんだ。わかるに決まってる」
ブランドンはやり取りを黙ってみている。
「で、なんで撃ったんだ」
「銃を寄越せって襲われたんすよ。5人組に」
「銃声は4発しか聞こえなかったぞ。1人逃がしたのか?」
「ゾンビに食われましたよ」
「そうか」
あくびをし、部屋の中に荷物を置く。
「じゃあ、俺は元のミニバンの様子見てきます」
「おい…。はあ…」




