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DAY25:ヘリ


――早朝。


ババババババババ!


「うわ!なんだ!?」


「班長、ヘリっすよ」


飛び起きて大声で驚く班長を落ち着かせ、ヘリを見る。

朝焼けで色の判別ができないが、なかなか大きなヘリだ。


「班長、あのヘリ、様子が変ですよ」


ヘリから黒煙が吹いている。


「おい佐藤、あのヘリ落ちるかもしれん!追いかけるぞ!」


「ええ?!絶対危ないっすよ!」


「こんな状況でヘリに乗ってるような連中だぞ!絶対なんか重要なことやってるはずだ!」


「あ~確かに」


班長に肩を貸し階段を降りる。

班長をミニバンへ乗せ、家から銃や金属バットを急いで持ってくる。


「はよ出せ、佐藤!」


「わかってますよぉ!」


ヘリは南西に向かっていた。

もう見失ってしまっているが、煙を吹き低空を飛んでいたことから、あまり遠くまでは行っていないはずだ。


アクセルを踏み込み、幹線道路に出てすぐ、大きな音が響いた。


ガアァァァン!ギャリリリリ!


「おい佐藤!落ちたみたいだ急げ!」


「わかってるっすよ!」


大量に停まっている放置車両を避けながら音のした方向へ向かうと、総合運動公園の広大な駐車場に大破したヘリと、そこから立ち上る黒煙が見えてきた。


「あそこか!」


「班長、まずいですよ!音のせいでゾンビが集まり始めてる!」


「いいから行け!」


燃え盛るヘリからやや離れた位置に車を停め、散弾銃を携えてヘリに駆け寄る。

機体に米空軍のマーク?!こりゃ米軍のヘリか!


「Hey! Is anyone in there?!」(おい、誰かいるか?!)


「Help!」(助けてくれ!)


英語で声をかけるとコックピット側から返事があった。

急いでコックピットに駆け寄ると、息絶えた黒人兵士と、頭から血を流しながら脱出しようと藻掻く白人兵士が見えた。


「Where are the others?!」(ほかの乗員は?!)


「There are two passengers in the back!」(後ろに2人乗ってる!)


「Gotcha!」(オッケー!)


コックピットから白人兵士を救出し、機体後部を覗くと真っ二つになった死体と頭が潰れた死体があった。


「They're dead! We gotta get out of here! Come on, hurry!」(死んでる!逃げるぞ、早く来い!)


頭の潰れた死体からカービン銃とマガジンをひったくり、白人兵士を車まで引っ張る。

後部座席のスライドドアを開け、白人兵士を後部座席に力ずくで放り込み、運転席に乗り込んでアクセルを踏み込む。


「佐藤!生きてたのはこいつだけか?!」


「ああ!」


ゾンビを撥ね飛ばしながら現場から離れる。


数分車を走らせ、自宅へ着いた。

白人兵士を部屋まで担いで運び、話しかける。


「Hey, you alive?」(おい、生きてるか?)


「Y-Yeah… I'm alive」(あ、ああ。生きてる)


「Where'd you come from?」(お前、どこから来た?)


「…」


「Whatever. I'm gonna patch you up, so relax. I'm not gonna hurt you」(まあいい、治療してやるからそう警戒するな)


「おい、佐藤、なんて言ってるんだ?」


「今それどころじゃないです。こいつ治療しますよ」


「す、すまん…」


白人兵士の服を脱がせ、容体を確認する。

一番の重傷は左腕骨折、他は頭部外傷とその他打撲痕か。


応急処置ガイドブックを読みながら応急処置をする。

一家に一冊、あった方がいいね。


「Hey, you feeling okay? Any ringing in your ears? Any trouble seeing?」(おい、意識ははっきりしているか?耳鳴りや視界の異常はない?)


「Yeah, it hurts where I got hit, but other than that, I'm fine」(ああ、ぶつけた箇所が痛むが特に異常はない)


拳銃を突きつけ、質問する。


「Good. Glad to hear it. Now answer my question. Where are you from, and what the hell are you doing here?」(よし、ならよかった。なら質問に答えろ。お前はどこから何の目的で来た?)


「H-Hey! Are you out of your mind?!」(お、おい!正気か!?)


「おい佐藤!」


「Answer me. Now」(早く答えろ)


「…Yokosuka. I came from Yokosuka. Are you gonna kill me?」(…横須賀だよ。俺のこと、殺すのか?)


「No, of course I'm not gonna kill you. Welcome to my home」(いや、殺すわけないだろ。ようこそ、我が家へ)


拳銃を回転させて渡す。

白人兵士が拳銃を受け取り一言。


「Fxxk you」


「Hahaha. What’s your name?」(ははは。名前なに?)


「Brandon」(ブランドン)


「Alright. I’m Sato. And that old guy over there is Tsuru」(おけ。俺は佐藤。そこのおっさんは水流だ)


「I’m starving」(ハラヘッタ)


「I’ll make you something to eat. Just hang tight」(なんか作ってやるから待ってろ)


「Thanks」(ありがとう)


「By the way, you understand Japanese, don’t you?」(ところでお前、日本語わかるだろ)


「…ナゼ、ワカッタ」


「なんとなく」


「?!???」(状況が読めない班長)


レトルトカレーを白人兵士に食べさせ、質問する。


「あんた、ヘリに乗ってた奴らのことを『乗客』と呼んでたよな。なんでだ?」(passenger=乗客)


「アア、アイツラハ海兵隊。オレハ空軍」


「なるほどね.。なにしてたんだ?」


「トップシークレット。イワナイ」


「そうか」


ボカーン!

遠くから爆発音が聞こえ、ブランドンが目を伏せる。


「てか、それ以外に武器ある?」


さっき渡した拳銃を指さし、問う。


「コックピットニMP5オイテキタ」


「そうか。なら護身用にそれ持っとけ。弾は3発だ」


「ウン」


カレーライスを食うブランドンを横目に、状況を上手く処理できていない班長に説明する。


「彼はブランドン。米空軍所属で海兵隊員を運んでたそうです。任務は機密。どうしますか?」


「どうしようか」


「いや、考えてください。俺はパンピーっすよ」


考え込む班長。


てか、寝具もっといるやん…。



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