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DAY20:生存者 Part2


車を数分走らせ、ドラッグストアの近くまで来た。

どうやら、ここにも先客が居るらしい。パトカーが2台、入口付近に停まっており、店内に警察官の格好をした人間が複数確認できる。


「このまま近づいてみるか」


特に気にせず、車を駐車場に停めると、警官たちがぞろぞろと外へ出てきた。

中年の警官が近づいてきて窓をノックしたため、窓を開ける。


「こんにちは、おひとりですか?ここへは何をしに」


「あ、こんちわ!サプリメントや野菜ジュースとか、栄養になるモン探しに来たんすよ~」


「それ、本物の銃ですか?」


「ええ、散弾銃ですよ。状況が状況ですからね」


「ははは、そうですね」


こちらを注意深く観察する中年警官。

気色悪いから話し逸らそう。


「そういや、こうなってから警官に会うのは2回目ですよ」


「どこで会ったんですか?」


「湖畔の美術館です。一般人と一緒に避難所のようなものを運営してましたよ?10日以上前の話ですが」


「ほう?詳しく話を聞いても?」


「その前に、警察手帳を見せていただけます?」


「ええ、もちろん」


警察手帳を見せる中年警官。

不審なところは今のところない。


「にしても、皆さんやつれてますね」


「ええ、ここ最近食料にありつけなくて。ここもペットフードくらいしか残って無くて」


「え、じゃあサプリメントとかは?」


「もちろんないです」


「えー」


「ははは、申し訳ない」


「いやいや、お巡りさんが悪いわけじゃないんで…。

ちなみに、今まではどこで何を?」


「それは言えませんね」


「ははは。まあ、襲われたらたまらないっすもんね」


「ええ。特に貴方のような武装した方はね…。それ、血でしょ?」


助手席に立てかけた散弾銃の銃口にべっとりと付いた血を指さす中年警官。


「ええ…まあ、ちょっとね。そんなことより、腹減ってるんすよね?これどうぞ」


非常用に持ってきていた未開封の食料と水を差しだす。


「いやいや、申し訳ないですよ」


「いいんですよ。家にまだまだあるし」


「まだ在宅避難されてるんですか?」


「ええ、そうですよ。よかったら来ますか?少しなら食料分けますよ」


「本当ですか?助かります。ただ、万が一があるので私が貴方の車に同乗して、他の者はパトカーで追走する形でも」


「いいっすよ~」


中年警官を後部座席へ乗せ、車を走らせる。

乗せたときにヘルメットを脱ぎ、互いに自己紹介をした。

彼は藤沢巡査部長というらしい。

一般企業でいうところの部長クラスだっけ?

警察の階級はよく知らないが、お巡りさんだとかなり上の方だろう。


「ところで、佐藤さん。貴方は何者なんですか?」


「ただの民間人ですよ~」


「またまた。視線が素人じゃないですよ、貴方」


「ははは」


「…」


しばらく車を走らせ、自宅へ着いた。

見るからに若い警官が燃やした死体を見てやや顔を引きつらせている。


「ああ、それガソリン足らなかったんですよ~。気にしないでください」


中年警官を連れ、3階へ上がる。

すごく警戒されてるな。明るく接してるのになんでだろ。


「ハンチョ~、お客さんです」


ラフな格好の班長が顔を覗かせる。


「お前…またなんか面倒事やらかしたのか?」


「違いますよ!警官が困ってたんで連れて来たんすよ!」


「そうか。すまんな。初めまして。水流1曹です。こんなナリですが自衛官です」


「ええ、初めまして。藤沢巡査部長です」


「あ、班長~。ホムセンで生存者のグループに襲われたんで1人殺しました!ごめんなさい」


「おい!今さらっと言うことじゃないだろ!」


凄い形相の藤沢巡査部長と班長に詰められ、事細かに説明する。

説明の後、藤沢巡査部長からの怒涛の質問攻めに耐え、班長の質問に答える。


「まあ、特に攻撃的だった奴以外は殺してないんだな?」


「そりゃ~ね!シリアルキラーじゃないんだから」


「お前な…」


「水流1曹、彼は何者なんですか?」


「こいつは元自衛官です。優秀ですが見ての通りちょっとネジが外れてます。でもいい奴ですよ」


「なるほど」


2人が話しているのを横目に、渡す食料を選ぶ。

ボランティアじゃないんだし、ウォーターサーバーのボトル2本と米10㎏でいいか。


「これ、どうぞ」


「おい佐藤、そんな重いモンを客に運ばせるな。お前が運んでやれ」


「ぺーい」


「なんだ、その変な返事は…」


パトカーまで米と水を運ぶと、恐縮した様子の警官らが走って受け取りに来る。


「ありがとうございます」


「いいんすよ~」


部屋へ戻ると、班長と巡査部長が情報交換をしていた。

どうやら警官らは中央図書館を避難所として運営しているらしい。


「あの、佐藤さん。例の美術館に我々を仲介してくれませんか」


「いいですよ」


藤沢巡査部長に頼まれ、警官らを引き連れて湖畔の美術館へ車を走らせる。

今度は巡査部長もパトカーだ。



美術館へ着くと、いつもの中年の男と警官が出てくる。


「これはこれは、お久しぶりです!」


「あ、はい。おひさです~」


そういや名前知らないな。


「そういや俺、佐藤です。お名前は?」


中年男と警官が答える。


「私は田中です。ここの副館長です」


「加藤巡査です。ところでそちらのパトカーは?」


「ああ、警官の人たちと会いまして。一応連れてきました」


「おい、加藤じゃないか!」


藤沢巡査部長が駆け寄る。

なんだよ、知り合いだったんかい!


「加藤、無事だったのか!」


「藤沢さん!」


やや涙ぐむ加藤と藤沢を尻目に、話し込む田中と警官たちに声をかける。


「じゃ、俺帰りますね」


「あ、ちょ…」


無視して車に乗り、家へと走らせる。

まったく、俺は家庭菜園がしたいんだよ。


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