閑話:班長
佐藤と過ごして数日。
佐藤がなんかおかしい。
元から軽薄な奴だったが、ここまでヘンテコリンじゃなかった。
こいつは元々、暴力が苦手そうな奴だった。
教育隊の頃、成績優秀な佐藤に嫉妬した同期に暴力を振るわれても、反撃どころか怒りもしなかった。
それが、見た目は人間のゾンビをバンバン殺し、生存者に襲われた時は撃ったらしい。
言動もそうだ。
以前から軽い口調で、何回もムカついたことはあるが、楽観的なことは言わなかったし、行動も慎重だった。
なにかがおかしい。
そこで俺は、佐藤の様子を観察することにした。
佐藤が物資を大量に回収してきたと思ったら、このアパートの安全化をすると言い出した。
2階の部屋にいたゾンビを殺し、引きずりながら運んでいく佐藤が見える。
あ、あいつ殺したゾンビの頭蹴りやがった。
「こいつ、こんなことする奴だったか……?」
その後も、佐藤の気になる言動が目につく。
俺を気遣い、銃砲店に行くついでに松葉杖を取りに行った佐藤が戻ってきたときの報告で、異常さをはっきりと認識した。
「いやぁね、接骨院、ジジババのゾンビばっかでおもろかったですよ。脚が遅いのなんのって。
1匹、頭が脆いのが居たんで、ジジイだから脆いのかなってぐちゃぐちゃになるまで頭つぶしたんですよ。
そしたら金属のプレートが出てきて、なんやねーん!ジジイだから脆いんとちゃうんかーい!って感じですよ」
笑いながら話す佐藤。
まず、普通、ゾンビを数えるとき、匹と言うだろうか。もちろん、性格によるだろうが…。
それに、人の形をしたゾンビの頭がぐちゃぐちゃになるまで破壊し、それを笑いながら話すのもおかしい。
こりゃ、佐藤と一回話した方がいいな。




