DAY9:銃
接骨院から30分ほど車を走らせ、銃砲店に着いた。
周囲にはゾンビが複数倒れており、店の入り口のドアは破壊されている。
拳銃を構えつつ、倒れているゾンビを確認する。
…鼻から上の頭部が吹き飛んでいる。
でかい薬莢がそこら中にあることから考えて、散弾銃だろう。
腐り始めている様子から、このゾンビが撃たれたのは今日ではないだろう。
警戒しつつ、店内を覗く。
「…くそ、遅かったか」
銃砲店内のガラスケースが割られ、中身は空っぽ。切られたワイヤーが放置されている。
店内をさらに探索するも、銃は見当たらない。
がっかりしつつ、建物の奥へと続くドアに手を伸ばす。
…開かない。鍵がかかっている。
ドアを叩き、声をかける。
「誰かいますかー」
返事はない。
カウンター周りを探すも、鍵は見つからない。
ため息を吐きつつ、ドアを蹴る。
ガァン!
木製のドアが勢いよく開いた。
「へっ、ちょろいぜ」
ドアの先を覗くと、そこは作業場のようだった。
整備中と思われる分解された銃が3丁、置いてある。
散弾銃2丁と、ライフルが1丁。
そして近くには整備用のブラシやウエス。
おそらく、銃の分解整備中に逃げ出したのだろう。
「まいったな、89式とミニミ以外の銃の結合方法なんて知らねぇよ」
分解された散弾銃を手に取る。
上下二連式の中折れ式散弾銃。
芸術的とも言えそうなくらい優雅なデザインからして、狩猟用ではなさそうだ。クレー射撃用だろうか。
めちゃくちゃ綺麗だな。煤一つない。
ハンドガードでいいのかな?まあそんなのが付いた銃身と、機関部、銃床の3つに分かれている。
「89式とは全然違うな」
しばらく構造を観察する。
「…あれ? 思ったより単純じゃね?」
初めて触る銃なので少々手間取ったが、どうにか元の形に戻すことができた。
「おお、できた。俺って天才かも」
もっとも、外見が元に戻っただけで、正常に作動する保証はない。
だが、余った部品もない。多分、大丈夫だろう。
もう1丁の散弾銃は銃床を取り付けるだけだったので、簡単に組み立てられた。
こっちはさっきの散弾銃とは違い、年季が入っている。
問題は、ライフルだ。
完全に分解されている。バラバラだ。
「うーん」
部品とにらめっこしながら唸る。
だめだ、わからん。
「班長に聞こ」
ライフルと部品を近くにあった段ボールに入れ、散弾銃とともに車へ積み込む。
「あとは弾だな」
再度店内に戻り、物色する。
ショーケースの引き出しを片っ端から開くと、「スキート弾」と書かれた25発入りの紙箱と、「12GA 00」と書かれた10発入りの紙箱、そしてライフル弾が30発入った「243WIN」と書かれた紙箱があった。
「使えるのか、この弾たちは」
猟銃のことはさっぱりわからない。
とりあえず回収し、車へ戻る。
散弾銃を手に取り、「スキート弾」と「12GA 00」を入れてみる。
「お、ぴったしじゃん」
どちらの散弾銃もぴったり入った。
ライフルは…わからん。
ひとまず、自宅へ帰り、班長に見せる。
「じゃーん!松葉杖と普通の杖」
「おお、ありがとう」
「それと散弾銃2丁とバラバラのライフル~」
「お、銃見つけたんか!でかしたなぁ!で、弾は?」
「なんかよくわからない弾だけどちょっとだけ残ってました。銃はこいつら分解されて放置されてました」
「ん?てことはほかの銃や弾はなかったんか?」
「うん、すっからかんでしたよ」
「猟銃を持った何者かがいるっていうことか…」
「それより、このライフルの組み立て方わからないっすか?」
「古い銃だな。わからんわ」
「やっぱそうっすよね~」
「散弾銃と弾、見せてみい」
「はい」
散弾銃と弾を班長に見せる。
「両方とも上下二連の中折れか。どっちも12ゲージのようだな。この『12GA 00』ていうのはダブルオーバックていって、鹿や猪を狩れる弾で、威力がある。
だが…「スキート弾」はクレー射撃用の弾で、威力はまあ低いが…人間に当たれば、十分に命に関わる」
「へー」
「お前、あんま分かってないやろ」
「ぜんっぜんわかりません」
「まあええわ。こいつとこの弾使え」
班長が年季の入った散弾銃とダブルオーバックを渡してくる。
「えー、綺麗なほうがいいです」
「この銃は多分クレー射撃用だ。ダブルオーバックみたいな高威力の弾の発射に耐えられるかわからん」
「はーい」
班長にそう言われ、大人しく銃を受け取る。
「でも、俺が威力ある方使っていいんですか」
「何言ってんねん、一番危ない目に遭うのはお前やんけ。それに、俺の足じゃ射撃に耐えられない」
「あ、そっか」
松葉杖も、でかい銃も手に入った。
次は、何しようかな。




