DAY7:アパート安全化計画 Part2
昼飯を食い、引き続きアパートの安全化だ。
1階へ降り、まずは以前から放置している死体の胴体をゴム手袋をして運ぶ。
分離した頭部とまき散らされた内臓はあとだ。
「くっせぇ」
腐敗し悪臭を放っている。
そりゃそうだ、死んでから1週間近く経つ。
先ほど同様駐車場の隅っこに放置し、アパートへ戻る。
頭部と内臓を拾い、ビニール袋へ詰め込み、死体置き場へ持っていく。
「あー、臭かった」
未だ臭いの残る廊下へ戻り、102号室のドアを叩く。
「3階の佐藤です。誰かいますか?」
反応はない。
ドアポストから中を覗く。
「うわ、くっさ!」
先ほどの死体と同様の臭いがする。
102号室はパンドラの箱だな。開けないでおこう。
101号室のドアを叩く。
こちらも特に反応がない。
ドアポストから中を覗く。見える範囲には人影がない。
ドアノブをひねるもドアは開かない。
アパートの裏へ回り、窓から101号室の中を覗く。
「あ、空き部屋かよ」
一応102号室も覗く。
「…」
餓死したであろう猫の死体が3つほどあり、室内がとても暗く見えるほどの大量のハエが飛んでいる。
「うわ、うちのアパートペット禁止なんだけどな」
1階に用はない。
あ、軽自動車の鍵、どうしよう。
でも、102号室には絶対に入りたくない。
とりあえず3階へ戻り、班長に報告する。
「1階は空き部屋と、猫の死骸とハエまみれの部屋だったんで中には入ってません」
「そうか」
「駐車場に1台、軽自動車があるんですが、鍵がないです。なんかいいアイデアないっすか」
「俺は車泥棒ちゃうぞ。鍵なしだと動かし方はわからん」
「そうっすよねー」
その時、佐藤の頭に妙案が浮かぶ。
(映画でマイナスドライバーでエンジンをかけるシーンがあったな)
「班長!天才的なひらめきしました!」
「なんだいきなり」
「マイナスドライバーでセル回すんすよぉ」
「お前、そんなんで上手くいかねえだろ」
「まあ、やってみる価値はありますよ。最近、『K〇Aチャレンジ』とかいう、韓国車をUSBでエンジンかけて盗む遊びが海外で流行ったじゃないすか」
「ああ、あったな」
「あの軽自動車、かなり古いし、もしかしたらエンジンかかるんじゃないすか?」
「そういわれるとそうだな。よし、やってみてくれ」
「イエッサー」
マイナスドライバーを片手に軽自動車の様子を見る。
数世代前のス〇キ アル〇。
古さ相応のボロさだ。
外装は塗装が剥げて錆が所々にあるし、内装の内張ははがれかけている。
ダメもとでドアノブを引く。
「あ、開くんかい。鍵せえよ」
まさかのノーロック。
軽自動車に乗り込み、念のためダッシュボードとかに鍵がないか探す。
ふとサンバイザーが目に留まり、開いてみる。
「まあ、ターミ〇ーターみたくここに鍵があるわけないわな」
諦めて鍵穴にマイナスドライバーを突っ込み、セルを回す。
キュルルルル!ブォン!
アイドリングは不安定だし、キュルキュルとベルト鳴りがするが、エンジンはかかった。
「ほらぁ、かかったでしょ班長!」
アパートの3階から見ている班長に向かって叫ぶ。
「うるせぇ!」
笑いながら叫び返す班長。
燃料は…半分ちょいか。まあまあだな。
よりアパートの近くへ持っていき、エンジンを切る。
「古いから軽く点検するか」
ボンネットを開け、細部を見る。
冷却水は…よし。ブレーキオイルはやや少ないが、ライン内だ。
エンジンオイルは…まあまあ少ないし汚いな。大丈夫か、これ。
「まあいいか」
ボンネットを閉め、タイヤをチェックする。
空気圧が足りていないようで、やや潰れている。
おまけにスリップサインが見えている。
「どんだけ自分の車にキョーミねえんだよ」
まあ、あくまで予備。
整備は余裕ができたらしよう。
3階へ戻る。
「ほんとにかかったな、佐藤」
班長が肩を叩きながら笑う。
「ほらねー、言ったっしょ!でも、なかなかのおんぼろですよ」
「まあ、そのうち状態のいい車でも見つけりゃあいいさ」
「そっすね。とりあえず夕飯にしましょう」
なんだかんだ夕暮れだ。大したことしていないのに早い1日だったな。




