DAY3:佐藤 Part3
ズガガガガガガァン!ズガガガガガガァン!
「うわぁあ!な、なんだぁ!?」
思わず椅子から飛び上がり、窓へ駆け寄る。
駐屯地の正門付近に、大量の感染者が押し寄せている!群れだ!
16式機動戦闘車に車載のM2重機関銃を群れに向かって撃ちまくっている。
凄い威力だ。ゾンビどもが千切れていく。
他にも、89式やミニミをぶっ放す隊員が見える。
「永田士長、入ります!」
「入れ」
連隊長室に、連隊長付の若い隊員が入ってくる。
「報告します!先ほど大音量で音楽を流した改造車が感染者の群れを駐屯地まで誘導し引き連れて来ました!」
「引き連れて来ただと?」
「はい!」
「その改造車はどこに行った?」
「北北東の方向へ逃走しました!」
「ふむ…」
険しい表情をした連隊長が振り返り、話しかけてくる。
「佐藤君、悪いがここから出てもらえるかな。彼が案内する」
「わかりました」
永田士長に連れられ、PXに併設された談話室に入る。
「あの…永田さんでしたっけ。大丈夫なんですか…?」
「あ、はい…。大丈夫じゃないですか?たぶん」
不安そうにしながらも、永田士長は話を続ける。
「あの正門には16式もありますし」
そして20分くらいたった頃、絶えず鳴り響いていた銃声が止んだ。
「片付いたのかな?」
「たぶん片付いたんだと思います。少し様子を見てきます」
様子を見に行って1分ほどで、永田士長が血相を変えて走ってきた。
「佐藤さん!逃げますよ!正門が突破されてる!」
「ちょ…何があったんですか!」
「いいから走って!」
永田士長に着いていきながら外へ行くと、感染者に覆われた16式、そして倒れたフェンスとフロントがぐちゃぐちゃの改造車が見えた。
倒れたフェンスからなだれ込む感染者。
銃を抱えて走っていく隊員。
逃げ惑う医官や食堂の調理師たち。
「もし感染者に警備が突破され、駐屯地を放棄する場合は突破された箇所から一番遠いゲートから車両で避難することになっています!」
銃声が響く中、駐車場まで走り、永田士長から車のキーを受け取る。
「それは私の車のキーです!シルバーの軽です!それで逃げて!」
「永田さんは?!」
「私は連隊長付なので!」
そう告げ、全速力で連隊本部へと駆けていく永田士長の背中を俺は見ていることしかできなかった。
永田士長の車に乗り込み、エンジンをかける。
ガソリンの残量はメモリ3つ。古いモデルで、燃費も悪い。
だが、現時点ではこの車が命綱だ。
車を走らせ、医務室の前に横付けし、車を降りて医務室へ駆け込む。
「班長!」
「佐藤!早く逃げろ!俺はいいから!」
「そんなん関係ないですよ!早くいきましょう!」
班長に肩を貸し、車へと急ぐ。
「ま、まって!」
見覚えのあるWACが声をかけてくる。
そう、今朝そっけなかった子である。
「お願い!私も連れて行って!」
「ちっ、しゃーねーな、乗りなぁ!(俺の車じゃないけど)」
(なにこいつ、キモ…)
班長とWACを後部座席に座らせ、俺も乗り込む。
「君、銃はある?」
「ないです、取りに行く暇がなくて」
「まずいなぁ、武器ないよ俺ら」
「佐藤、そんなことより早く逃げよう」
アクセルを踏み込み、ゲートまで車を走らせる。
ゲートが見えてきたところで、ゾンビに追いかけられている奴を見つけた。
「くそ、もうこんなところにまでゾンビが…」
逃げる隊員を追いかけるゾンビを1人撥ね飛ばす。
「おいあんた!乗れ!」
「ありがとう!」
何とかゲートを通り抜け、脱出したほかの車に着いていく。
5台で連なり、駐屯地から離れてゆく。
助手席に乗せた隊員が話しかけてくる。
「ありがとう、あんたが助けてくれなきゃ俺は今頃…」
「いいんだよ、そんなこと。でも、なんで銃を撃たなかったんだ」
「弾を撃ち尽くしちまったんだ…」
「そうか(俺ら完全に武器ねぇじゃん…)」
その時、銃声が響き、前の車が急に蛇行し電柱に突っ込んだ。




