DAY3:佐藤 Part2
翌朝、起きて早々また准尉から尋問を受けている。
まあ、雑談みたいなものだけど。
「いやぁ、君のこと調べさせてもらったよ。なかなか優秀だったようだね。
教育隊での成績は筆記、実技ともに成績トップ。体力検定1級、射撃検定特級でメダルまで。
部隊配属後すぐにレンジャー教育に参加し卒業。
しかしその半年後に陸士長で除隊。理由についてはわからなかった。
なぜ除隊したのかね?」
「…まあ、なんでもいいじゃないですか」
「……そうか。まあ、今はいい。
ところで、昨日君が言っていた病院での出来事だが、詳細を聞かせてもらえるかな?」
「わかりました」
俺は昨日の病院での出来事をすべて話した。
友人を助け、その息子を助けに行く途中で病院の前を通りかかったこと。
その時に銃声が病院から聞こえ、双眼鏡で院内を確認すると迷彩服を着て覆面をした集団がいたこと。
院内を確認してすぐ、班長が右足を撃たれたこと。
物陰に隠れ、拳銃で応戦し、その後89式を拾って狙撃し、おそらく殺害したこと。
班長の治療のため、この駐屯地に来たこと。
「その覆面の集団の装備は?」
「サブマシンガンでした」
「サブマシンガンというと、9㎜機関けん銃かね?」
「いえ、MP5のように見えました」
「MP5…(特殊作戦群が居たということか?しかし、連中なら反撃される前に気づいたはず…)」
「あの?」
「ああ、すまないね。
水流1曹を撃ったのはどんな人物だった?」
「屋上にいて、約150mくらいの距離でした。
同じく覆面でしたが、院内にいた連中とは違ってヘルメットではなくキャップを被っていました」
「銃は?」
「はっきりと確認できたわけではありませんが、発射間隔が長かったので、おそらくボルトアクション。M24かと」
「そうか…。仕方なかったとはいえ、おそらく君は厄介なことをしでかしている。
この話は私と君、水流1曹の秘密だ。わかったね?」
「はい…」
准尉が部屋を出ていき、入れ替わりでWACが朝食を持ってくる。
「ありがとうございます」
「いえ…では、私はこれで」
そそくさと退室するWAC。
なんだよ。
WACと共に入ってきた新たな監視員2名に見つめられながら朝食を食べる。
なんとも言えない米の不味さだ。
午後1時、班長との面会が許可された。
どうやら、大事には至らなかったらしい。
「佐藤、お前も口止めされたか?」
「ええ、されましたよ」
「てか、お前いつのまにレンジャーなってたんだよ」
「ははは」
「まあ、お前とは教育隊以降会っていなかったしな…。
しばらく、俺は安静にしなきゃならんらしい。
弾が骨をかすめたらしく、大腿骨にヒビが入っているそうだ。
お前の友達の力になれず、すまん」
「仕方ないですよ、死にかけたんだから。
山岡さん、無事だといいんですけど…」
「ああ、そのことだが、午前のうちにここの部隊が例の病院を偵察に出たらしい。
そのついでに、お前のアパートから山岡さん一家を保護するそうだ」
「ほんとですか?!よかったぁ…」
面会後、連隊長室へと呼び出された。
「君が例の佐藤君か」
「はい…」
なんか普通のおっさんみたいな見た目なのに凄い迫力だ、この一佐…
「君、いま失礼なことを考えただろう」
「すみませぇん!」
「亀田准尉から例の病院での話は聞いた。
亀田准尉に言われているだろうが、あの話は絶対に誰にもしてはいけないよ。
わかったね?」
「は、はい…」
あいつ、秘密にしてねぇじゃねぇか!
「あの、あの連中っていったい…」
「機密事項だ。民間人はおろか、水流1曹にも言えない」
「…。じゃあ、この感染症は?」
「これも機密事項だ。」
「…わかりました」
「そうだ、今日からは外来隊舎に泊まるといい。
君の友人一家は先ほど偵察に出た部隊が保護し、こちらに向かっている。
君の友人の息子も一緒だそうだ。同じく外来隊舎に収容することになっている。
君の所属していた駐屯地とは作りが違うだろうが概ねの規則や設備は同じだ。
ルールは君が教えられるね?」
「はい、わかりました!ありがとうございます!」
その時、轟音が響いた。




