第7話 朝食と、ひとつだけ噛み合わない記憶
これからは後書きに色々書きます。
PS
ネタバレにならないように前書き書くのむずくね?
関係ないこと書いちゃうじゃん。
もう関係ないこと書いちゃおっかな!
朝日のまぶしさで、悠は目を覚ました。
瞼を開けると、木造のログハウスの隙間から差し込む朝日が、床に細い光の筋を描いている。潮の匂いを含んだ風が、開けっ放しの窓からゆるやかに流れ込んできた。――これ雨漏りするぞ。直さないと。
「……ん、あー、よく寝た」
伸びをしながら外に出ると、既に絢乃が焚き火の準備を整えていた。
「おはよう、悠くん。よく眠れた?」
「めちゃくちゃ寝れた。海の音って、なんかずっと聞いてられるな」
「でしょう? 私も昨日、波の音を聞きながら眠ったからか、久しぶりに深く眠った気がするの」
絢乃が柔らかく微笑みながら、鍋に水と食材を入れていく。パンを炙る香ばしい匂いが、朝の空気にふわりと広がった。食材は拠点にあったものを使っているらしい。
「おはよう、二人とも。……って、なにこの景色、朝見るとまた違うわね。護衛なしで眠るなんて初めてじゃないかしら……。ほんとに窮屈だったわ」
少し遅れて出てきた茉莉が、目の前に広がる朝焼けの海を見て目を細める。
4人は別々の部屋で寝た。途中、絢乃の部屋に入ろうとした悠と茉莉が遭遇して喧嘩になり、綾乃に説教されるといった場面もあったが、それはまた別のお話。
昨夜は闇に沈んでいた入り江が、今は淡い金色の光を受けて、まるで一枚の絵画のように輝いていた。波打ち際に反射する光の粒が、風に合わせてちらちらと揺れている。
「本当に、綺麗ね……」
絢乃がしみじみと呟く。焚き火の匂いと潮風、そして朝日に照らされた仲間たちの顔。悠はその光景を、少しの間、ただ黙って眺めていた。
(んん…ビューティフォー!)
◇◇◇
「はい、できたよ」
絢乃が配ったスープとパンを囲み、四人は朝食を取り始める。
「そういえばさ」
パンを頬張りながら、茉莉がふと口を開いた。
「お互いの願ったチートとか、まだちゃんと確認してなかったわよね。私たち」
「言われてみれば」
悠が頷く横で、絢乃が少し照れたように微笑んだ。
「私のは……『ニグ・シュブニト』っていうユニークスキルなの。料理に永続的なバフを付与できたり、逆に強力な毒を作れたりする力みたい」
「それ、めちゃくちゃすごいじゃん!」
悠が目を輝かせる。
「昨日のルフのRPが一瞬で回復したのも、そのスキルのおかげだったんだな」
「うん……料理って言っても、ただ美味しいだけじゃなくて、身体そのものを最適化しちゃうみたいだから、使い方には気をつけないとね」
「私は」と茉莉が続ける。
「ルフを連れてくることを選んだわ。優秀そうだったからよくわかんない能力よりも頼りになると思って決めたの」
「まーちゃんの天使様連れてきちゃったの!? てっきり異世界に来るための案内人かと思ってたけど違ったのね。うちのまーちゃんがごめんなさいね。ほんとはいい子だから」
「絢乃様。お気になさらず。私も、言っては何ですが、代り映えのない日々に飽き飽きとしていましたから…それに味を感じられることがここまで違うとは!もう元の生活には戻れません…」
「絢乃の料理は世界一よ。あなたよくわかってるじゃない」
茉莉が得意げに言うと、絢乃も照れくさそうににやける。
(選ぶ? 俺なんか選んだっけか? 寝ぼけていて、覚えていない説が濃厚だな)
「そういえば」
スープを飲みながら、茉莉がふと思い出したように呟いた。
「死んだ時に会った、あの案内してくれた人。悠は覚えてる? なんて言ってたか」
「案内人?」
悠は首を傾げた。
「え、なにそれ。俺、そんな人と会った覚えないんだけど」
「……そうよね。あなた昔から霊的な現象に遭遇して、自分で解決しても、そのこと全く覚えてないのもね」
絢乃と茉莉が顔を見合わせる。
「私たち、確かに会ったのよ。真っ白な空間で、光る何かが『あなたたちは死にました』って告げてきて……『異世界への転移をお願いします』って」
「『拒否権はない』、ってはっきり言われたのよ。私は忘れないは、あんな衝撃的な出来事」
そう言ってルフを見る。ルフは申し訳なさそうに体が小さくなっている。
「……マジで?」
悠は困惑した顔で、記憶の中を探るように視線を彷徨わせた。
だが、どれだけ思い返しても、何一つ思い出せない。
「俺の記憶だと、講義中に天井が崩れてきて……次に気づいたら、もう森の中にいたんだよな」
「その間の記憶が、まるっと抜けてるってこと……?」
茉莉の表情が、じわりと真剣なものに変わっていく。
「悠だけ、私たちと違う経緯でここに来た、ってこともあるわね。まあいつも通り、記憶してないほうが可能性が高いけど」
「……」
ルフが黙って、その会話を静かに聞いていた。やがて、静かに口を開く。
「その情報は、決して見過ごせないものかと存じます。悠様のステータスの異常、アイテムボックスや亜空間倉庫の不可解な中身……それらと合わせて、記憶しておくべき事柄です」
その言葉に、場の空気がわずかに重くなる。
だが、誰もその答えを今すぐ出せるはずもなく、しばしの沈黙だけが焚き火の爆ぜる音に紛れて流れていった。
◇◇◇
「まあ……考えても仕方ないし、とりあえず今後のこと決めようか」
悠が努めて明るく切り出すと、絢乃と茉莉も気を取り直すように頷いた。
「俺は正直、隠居できるならそれでいいんだけどな。スローライフってやつ? この入り江とか、めちゃくちゃ気に入ったし」
「その気持ちは分かるけど」と茉莉が腕を組む。
「今の私たちには、この世界についての情報がなさすぎるわ。安全を確保するにも、まず何がどこにあるのか知らないと話にならない」
茉莉の言葉に、悠も頷かざるを得なかった。
「まあ、確かに。何も知らないままだと、隠居する場所選びすら出来ないもんな」
「話がまとまったところで」
それまで静かに控えていたルフが、すっと一歩前に出た。
「僭越ながら、私の知る限りの情報を共有させていただきます」
◇◇◇
ルフがそっと手をかざすと、空間にぼんやりとした光の地図が浮かび上がった。
「詳細までは把握しきれておりませんが……この場所より南西に、『ウィルダム王国』という、人間の国があるようです」
「人間の国……」
「ええ。統治体制や規模については、詳しくは分かりかねますが、少なくとも人が集まり、文明を築いている場所であることは確かです」
「情報収集するにはうってつけね」
茉莉の目に、経営者としての鋭い光が宿る。……好奇心の方が強そうだ。
「とりあえず、そこに行ってみましょう。人がいるなら、この世界のルールとか常識とか、色々分かるはずだわ」
「うーん……」
悠が唸る。
「隠居計画、遠のいた気がするんだけど」
「悠くん、まずは情報よ。安全な隠居生活のためにも」
絢乃に優しく諭され、悠は渋々ながらも頷いた。
「……分かった。行こう、ウィルダム王国とやらに」
◇◇◇
朝食を終え、拠点の文字通りの後片付けをしながら、これからの道のりについて話し合う。
「地図で見ると、南西はこっちの方角ね。悠、迷わないでよ」
「俺だって迷いたくて迷ってるわけじゃ……」
「いいから、今回は私が先導するから、あんたは黙って後ろついてきなさい」
「はい……」
悠がしゅんと肩を落とすのを見て、絢乃がくすりと笑いを漏らす。
荷物をまとめ終えた四人は、名残惜しそうに一度、入り江を振り返った。
「また戻ってこような、ここに」
悠がぽつりと呟く。
「うん。今度はもっとゆっくりできる時に」
絢乃が優しく微笑み返す。
朝の光に照らされた美しい入り江を背に、四人は南西へと続く未知の道へ、一歩を踏み出した。
悠だけが抱える、ぽっかりと空いた記憶の空白。
それは何を意味するのだろうか──
最後までお読みいただきありがとうございます。
PS
ほんとはコメディ書きたいんです!
ちゃんと主人公が生活基盤整わないうちにコメディ全開にしちゃうと世界観ぶっ壊れちゃうからさ。
抑えてます。
PPS
コメディってさ。「米Day」なわけじゃん?
日本人=コメディってことじゃんってなって驚愕してる。
日本人が米離れするってことは。ジャンルが変わるわけじゃん。
つまり日本人が異世界転生してるってことだよね!
みんな何になりたい!?
俺?俺はコメディになりたい。




