第18話 首位決戦
「みんなこんばんはー!」
月城アリサが配信を始めた瞬間、コメント欄が一気に流れ始めた。
『きたああああ!』
『首位決戦!』
『待ってました!』
『Rei対白狼!』
『神カード!』
『Lunaもいる!』
今日はLunaとのコラボミラー配信だった。
BLUE HAWK対BLACK WOLF。
開幕から無敗を続ける優勝候補同士の激突。
リーグ最大級の注目カードである。
配信開始直後から視聴者数は凄まじい勢いで伸び続けていた。
「やばいですやばいです!」
アリサは両手を振りながら笑う。
「私もう始まる前から緊張してるんですけど!」
「分かるー!」
Lunaも大きく頷く。
「私もずっとソワソワしてる!」
二人の反応にコメント欄も盛り上がる。
『可愛い』
『お前らが緊張するなw』
『こっちも緊張してる』
『早く始まれ!』
モニターには会場の様子が映っていた。
超満員。
観客席はほぼ埋まっている。
歓声もいつも以上に大きい。
それだけ今日の試合に期待が集まっていた。
「わぁ……」
アリサが目を輝かせる。
「本当に凄い……」
普段は配信者として活動しているが、こうして見ると改めてプロリーグの規模を実感する。
そして選手紹介。
大型スクリーンに選手たちの名前が映し出される。
Rei。
NOVA。
TIGA。
ANGEL。
SAGE。
会場が大きく沸いた。
アリサも思わず笑顔になる。
一緒に活動している仲間たち。
普段は優しく話してくれる人たちだ。
だが試合になれば別人になる。
それを知っているからこそ楽しみだった。
そして。
BLACK WOLF。
白狼。
隼人。
豪。
零。
Jin。
こちらも負けない歓声が飛ぶ。
「うわぁぁ……」
アリサが思わず漏らす。
「もう決勝戦みたいじゃないですか!」
コメント欄も同意の嵐だった。
『実質決勝』
『神カード』
『楽しみすぎる』
そして。
試合開始。
第1マップ。
開始直後からBLACK WOLFの狙いは明確だった。
「えっ!?」
アリサが目を丸くする。
「NOVAちゃん!?」
白狼。
隼人。
全員の視線がNOVAへ向いていた。
Reiではない。
ルーキーのNOVAだった。
『完全に狙われてる』
『洗礼だな』
『キツそう』
コメント欄もすぐ理解する。
アリサの胸が少しだけ苦しくなった。
雷神戦を思い出したからだ。
途中交代。
悔しそうな表情。
あの姿を見ていた。
だからこそ。
頑張ってほしかった。
「NOVAちゃん……」
思わず声が漏れる。
何度も狙われる。
何度も倒される。
それでも。
下がらない。
逃げない。
そして。
次の集団戦。
NOVAが飛び出した。
Raven。
高速移動。
敵後衛へ突撃。
サポート撃破。
さらにDPS撃破。
会場が爆発する。
「きゃああああ!!」
アリサが思わず立ち上がる。
「NOVAちゃん凄い!!」
「すごーい!!」
Lunaも叫ぶ。
コメント欄も大盛り上がりだった。
『強すぎる』
『メンタル化け物』
『主人公かよ』
アリサは思わず笑顔になる。
本当に嬉しかった。
悔しそうだったあの日を知っているから。
だから余計に嬉しかった。
流れが変わる。
TIGAが押し込む。
ANGELが索敵する。
SAGEが支える。
そして。
Reiが敵陣を切り裂く。
第1マップ。
BLUE HAWK勝利。
「やったぁぁぁ!!」
アリサが両手を上げる。
Lunaも拍手していた。
だが。
BLACK WOLFは終わらない。
第2マップ。
今度は白狼が暴れ始めた。
Raven。
キル。
またキル。
さらにキル。
止まらない。
「ちょっと待ってください!」
アリサが笑う。
「何でそこ勝てるんですか!?」
Lunaも苦笑した。
「白狼さんだからかなぁ……」
コメント欄も大盛り上がりだった。
『強すぎる』
『化け物』
『白狼やばい』
Reiも負けていない。
だが。
白狼も止まらない。
まさに怪物同士のぶつかり合いだった。
そして。
第2マップ。
BLACK WOLF勝利。
スコア1-1。
アリサは大きく息を吐く。
「凄い試合……」
まだ半分。
それなのに既に満足しそうなほど面白かった。
そして。
運命の第3マップ。
ここでBLUE HAWKが動く。
KING投入。
会場がどよめいた。
「きたぁぁぁ!!」
アリサが叫ぶ。
「KINGさんだ!」
コメント欄も爆発する。
『待ってた』
『主人公登場』
『熱すぎる』
Rei。
KING。
NOVA。
超攻撃型構成。
そして。
開始から一分。
運命の瞬間が訪れる。
Rei。
白狼。
遭遇。
会場が揺れた。
『きたああああ!!』
『頂上決戦!』
『待ってた!!』
アリサは思わず机を叩く。
「やばいやばい!!」
「きたきたきた!」
Lunaも身を乗り出す。
Kai。
Raven。
日本最高峰のDPS同士。
純粋な一対一。
誰も介入しない。
数秒。
それだけなのに異常な緊張感だった。
そして。
勝ったのはRei。
体力は残りわずか。
本当に紙一重だった。
「きゃああああ!!」
アリサが叫ぶ。
「Reiさん凄い!!」
Lunaも大興奮だった。
会場が大爆発する。
その瞬間。
BLUE HAWKが前へ出る。
KINGが撃つ。
NOVAが飛び込む。
TIGAが押し込む。
流れは一気にBLUE HAWKへ傾いた。
集団戦勝利。
さらに次も。
さらにその次も。
第3マップ。
BLUE HAWK勝利。
スコア2-1。
アリサは椅子にもたれた。
「もう心臓がもたないです……」
「まだ終わってないよ?」
Lunaが笑う。
コメント欄も止まらない。
『神試合』
『NOVA成長してる』
『KING流石』
『白狼強すぎ』
『Reiやばい』
アリサはモニターを見つめた。
まだ終わっていない。
BLACK WOLFはまだ立っている。
そして彼女には分かっていた。
この試合はまだ終わらない。
むしろ。
ここからが本番だと。
会場の熱気はさらに高まり続けていた。




