第13話 青き祭典
「また何かやる気だろ」
翌日。
SKYLINEにはそんな投稿が溢れていた。
理由は簡単だった。
昨夜のShinの雑談配信。
配信終了間際に放たれた一言。
『近いうちにまた面白い発表あるぞ』
たったそれだけだった。
だが、BLUE HAWKが言うと話は別だ。
世界王者監督を獲得した。
ストリーマー部門を設立した。
VTuberオーディションを開催した。
公開スクリムまで実施した。
ここ数か月の実績があるからこそ、誰も軽く受け止めなかった。
そして二日後。
BLUE HAWK公式配信。
待機人数は十五万人を超えていた。
競技シーンだけでなく配信界隈からも大勢の視聴者が集まっている。
「こんばんは」
Shinが画面へ現れた瞬間、コメント欄が一気に流れ始めた。
『きた』
『発表だ』
『また何するんだ』
『怖い』
『頼むぞ』
Shinは少し笑う。
「今日はBLUE HAWKから新しい発表があります」
画面が暗転する。
そして大きな文字が表示された。
――BLUE HAWK PRESENTS
――STREAMER INVITATIONAL
一瞬だけコメント欄が止まる。
『ん?』
『大会?』
『ストリーマー大会?』
『マジか』
Shinは頷いた。
「ストリーマー大会を開催します」
その瞬間、コメント欄が爆発した。
『きたあああ』
『大会だ』
『面白そう』
『誰出るの?』
画面が切り替わり、大会概要が表示される。
――STRIKE FRONTIER STREAMER INVITATIONAL
――参加チーム数 4チーム
――開催形式 チーム対抗戦
――ゲーム運営全面協力
――賞金あり
コメント欄の勢いはさらに増した。
『運営協力!?』
『本気じゃん』
『初回で?』
『デカすぎる』
実際、これは異例だった。
普通なら新設チーム主催のイベントにゲーム運営がここまで協力することはない。
だがSTRIKE FRONTIER運営もこの企画を歓迎していた。
競技シーンを盛り上げる。
新規プレイヤーを増やす。
配信界隈を活性化させる。
目的が一致していたからだ。
「今回は初回開催なので四チームです」
Shinは説明を続ける。
「有名ストリーマーを中心にチームを編成します」
「初心者も歓迎です」
「元プロも歓迎です」
「楽しく、そして本気で戦う大会にしたいと思っています」
コメント欄も大盛り上がりだった。
『絶対見る』
『面白そう』
『元プロ呼べ』
『女性配信者いる?』
『誰が出るんだ』
そして次の発表。
参加確定ストリーマー。
その文字が表示された瞬間、視聴者の期待は一気に高まる。
FPS実況者。
雑談系配信者。
元プロプレイヤー。
人気VTuber。
業界でも知名度の高い名前が次々と映し出されていく。
コメント欄は完全に祭り状態だった。
『豪華すぎる』
『初回とは思えん』
『運営本気じゃん』
『普通に公式大会レベル』
その様子を見ながら、都内のSTRIKE FRONTIER運営本部でも関係者たちが配信を視聴していた。
「やっぱりやりましたね」
担当者が苦笑する。
リーグ責任者も肩を竦めた。
「本当に止まらないな」
BLUE HAWKは次々と話題を作る。
しかもそのほとんどが当たる。
数字が出る。
話題になる。
結果としてSTRIKE FRONTIER全体が盛り上がる。
だから運営としても歓迎せざるを得なかった。
「リーグ開幕前にここまで盛り上げてくれるチームは初めてですよ」
誰かがそう言う。
その通りだった。
オフシーズンとは思えないほど界隈全体が活気づいている。
そして配信の最後。
Shinは再び意味深な笑みを浮かべた。
「参加メンバーはこれから順番に発表していきます」
コメント欄が期待に包まれる。
「そして」
少し間を置く。
「BLUE HAWKからも出場します」
その瞬間、コメント欄が爆発した。
『きたあああ』
『誰出る!?』
『アリサか?』
『Kuroか?』
『Shinだろ』
Shinは楽しそうに笑う。
「それはまた今度」
配信終了。
だが、その直後からSKYLINEのトレンドは大会関連の話題で埋め尽くされていった。
STREAMER INVITATIONAL。
BLUE HAWK。
STRIKE FRONTIER。
そして日本中の配信者たちもまた動き始める。
リーグ開幕前。
新たな祭りが、今まさに始まろうとしていた。




