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ゲームは下手だけど、世界一のチームを作りたい!!  作者: 龍崎
第1章 世界一のチームを作ろう

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第22話 最強の問題児

「社長、面白い話があります」


会議が終わりかけたタイミングだった。


資料を片付けていた佐藤誠司が顔を上げる。


向かい側に座る天城蓮は、珍しく少し楽しそうな表情をしていた。


「何だ?」


「次の選手候補です」


その一言で会議室の空気が変わる。


世界王者監督パク・ミンジュンとの約束。


選手を揃えてから来い。


その言葉を受けてから、BLUE HAWKの最優先事項はチーム作りになっていた。


美月もShinも自然と蓮へ視線を向ける。


蓮はスマホを操作すると、大型モニターへ一枚のプロフィールを表示した。


そこに映った名前を見た瞬間、Shinの表情が変わる。


「おいおい……」


思わず漏れた声に誠司が反応した。


「有名なのか?」


「有名どころじゃないですよ」


Shinは苦笑しながらモニターを見る。


そこには大きく名前が表示されていた。


白河大牙。


プレイヤーネーム――TIGA。


十八歳。


ロールはTANK。


STRIKE FRONTIERを知る人間なら、一度は聞いたことがある名前だった。


「ReiがDPS最強候補なら」


Shinは肩をすくめる。


「TIGAはタンク最強候補です」


誠司は改めてプロフィールへ目を向けた。


国内トップ。


アジア上位常連。


年齢はまだ十八歳。


数字だけ見れば理想的な人材だった。


「良いじゃないか」


素直な感想だった。


だがその瞬間、蓮とShinと美月の三人が微妙な顔をした。


誠司は思わず笑う。


「何だその反応は」


蓮が小さく息を吐く。


「問題があります」


「問題児か?」


「かなり」


横でShinも頷く。


「かなりです」


美月も続く。


「かなりですね」


三人の評価が完全に一致していた。


誠司は興味深そうに腕を組む。


「聞こうか」


蓮は少し考えてから説明を始めた。


「試合中に味方へキレます」


「若いな」


「運営にもキレます」


「元気だな」


「プロにも噛み付きます」


「負けず嫌いなんだろ」


「SNSで喧嘩します」


「なるほど」


「炎上も何回もしてます」


「なるほどな」


そこでようやく誠司も理解した。


ただの問題児ではない。


筋金入りだった。


「チーム経験は?」


「あります」


「今は?」


「無所属です」


「理由は?」


蓮は即答した。


「全部揉めました」


会議室が静まり返る。


Shinがため息を吐いた。


「十八歳で三チーム退団です」


「それは凄いな」


「褒めてないです」


誠司は思わず笑ってしまった。


だが気になったのはそこではない。


性格に難がある人間は珍しくない。


問題は実力だ。


「強いのか?」


その質問が出た瞬間、蓮の表情が変わった。


今までよりずっと真剣になる。


「本物です」


即答だった。


迷いも躊躇もない。


「彼より上手いタンクを日本で見たことがありません」


会議室が静かになる。


誠司も自然と蓮を見る。


天城蓮は簡単に他人を評価しない。


その蓮がここまで言う。


それだけで価値は十分だった。


「そこまでか」


「はい」


蓮は頷く。


「世界を目指すなら必要な人材です」


「そんなに評価してるのか」


「俺はタンク専門じゃないです」


そう前置きしてから続けた。


「でも敵にいたら一番嫌です」


短い言葉だった。


だが重みがある。


ランクマッチ。


大会スクリム。


上位帯のプレイヤーなら誰もが理解できる評価だった。


強い相手と戦うことに慣れている天城蓮が、一番嫌だと言う。


それだけで十分だった。


誠司の口元が少し上がる。


「面白いな」


その瞬間。


Shinが天井を見上げた。


「出た」


「何がだ」


「社長が面白いって言い始めた時は危険なんです」


美月も苦笑する。


「大体その後会いに行きます」


「偏見だな」


「事実です」


即答だった。


Reiもそうだった。


難しいと言われるほど誠司は燃える。


だから誰も止めようとはしなかった。


どうせ止まらない。


「会おう」


案の定だった。


Shinが深いため息を吐く。


「やっぱり」


予想通りすぎる。


問題児。


炎上常習犯。


チームを転々としてきた天才。


普通のオーナーなら避ける。


だが佐藤誠司は普通ではない。


「ちなみに今何してる?」


誠司が聞く。


蓮は少し笑った。


「配信です」


「プロ活動は?」


「してません」


「大会は?」


「ほぼ出てません」


誠司は眉をひそめる。


「もったいないな」


その言葉に蓮も頷いた。


本当にそう思っていた。


才能だけなら本物だ。


世界レベルと言ってもいい。


だが性格で損をしている。


それが白河大牙という人間だった。


誠司は立ち上がり、モニターへ映るプロフィールを見つめる。


日本最強タンク。


世界王者監督が求めるレベルの選手。


もし獲得できれば、BLUE HAWKは確実に前へ進む。


「よし」


誠司は笑った。


「次はこいつだな」


その頃。


配信サイトでは、一人の青年がヘッドセットを机へ放り投げていた。


「だからその判断が弱いって言ってんだろ!」


怒鳴る声が配信へ響く。


コメント欄は猛烈な勢いで流れていた。


『またキレてる』


『通常営業』


『今日もTIGAだな』


『炎上RTA』


『プロ行けよ』


『どこも取らねえだろ』


『でも上手いんだよなぁ』


青年は舌打ちしながら次のマッチングボタンを押す。


黒髪。


鋭い目つき。


誰よりも負けず嫌いな性格。


白河大牙。


十八歳。


日本最強タンク。


そして――。


競技シーンで最も扱いが難しい天才だった。

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