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ゲームは下手だけど、世界一のチームを作りたい!!  作者: 龍崎
第1章 世界一のチームを作ろう

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第15話 覚悟

鹿児島の夜。


天城蓮は一人、アパートの部屋でパソコンの画面を見つめていた。


モニターにはSTRIKE FRONTIERのリザルト画面が表示されている。


今日も勝った。


ランキングは変わらず一位。


試合内容も悪くない。


普段ならそのまま次のマッチへ進む時間だった。


だが、なぜか手が動かない。


椅子にもたれながら天井を見上げる。


頭の中に浮かぶのはゲームのことではなかった。


佐藤誠司。


そしてBLUE HAWK。


数日前に会ったばかりのはずなのに、その存在が妙に気になっている。


蓮は無意識にスマホを手に取り、SKYLINEを開いた。


タイムラインにはBLUE HAWKの話題が溢れている。


チーム発表。


Shin加入。


PV動画。


SKYLINE。


どこを見てもBLUE HAWKだった。


そして当然のように、自分の名前も流れてくる。


『Rei来たら優勝候補だろ』


『世界目指すならReiしかいない』


『いや絶対来ない』


『あいつ誰の誘いも断ってるし』


『でも見てみたいんだよな』


蓮は小さく苦笑する。


数日前までなら完全に他人事だった。


だが今は違う。


佐藤誠司と会った。


BLUE HAWKを見た。


SKYLINEも触った。


そして何より、あの男が本気だということを知っている。


口だけではない。


世界一を目指すと言いながら、実際に施設を作り、人を集め、サービスを立ち上げている。


夢を語る人間は多い。


だが、夢のためにここまで動く人間は少ない。


「世界一か……」


静かな部屋で呟く。


その言葉は昔から憧れだった。


もっと強い相手と戦いたい。


世界最高の舞台に立ちたい。


そう思ったことは何度もある。


だが現実的じゃないと思っていた。


だから距離を置いていた。


だから誰の誘いも断ってきた。


しかし今は違う。


蓮は立ち上がり、机の上に置かれた大学の資料へ視線を向ける。


来年。


再来年。


卒業。


就職。


安定した人生。


決して悪い未来ではない。


だが、その未来を想像しても胸は何も動かなかった。


一方で、BLUE HAWKのユニフォームを着て世界大会の舞台へ立つ自分を想像すると、胸の奥が熱くなる。


答えはもう出ていた。


自分がどちらを選びたいのか。


ずっと前から分かっていたのかもしれない。


           ◇


翌日。


蓮は大学の研究室を訪れていた。


教授は突然の来訪に少し驚いた顔を見せる。


だが蓮の表情を見ると、何となく察したようだった。


「退学したいです」


その言葉に教授は目を丸くする。


「急だな」


「申し訳ありません」


研究室に静かな空気が流れる。


教授はしばらく蓮を見つめていたが、やがて苦笑した。


「ゲームか」


蓮も少しだけ笑う。


「分かりますか」


「分かるさ」


教授は椅子へ深く座り直した。


「最近のお前はずっとそんな顔だった」


「そんな顔ですか」


「何かを決めた人間の顔だ」


蓮は答えなかった。


その代わり、自分の中に迷いが残っていないことを改めて実感する。


教授は小さくため息を吐いた。


「後悔するなよ」


「しません」


即答だった。


自分でも驚くほど迷いがない。


教授はその返事を聞き、静かに頷いた。


           ◇


その日の夜。


東京のBLUE HAWK本部。


佐藤誠司のスマホが鳴る。


画面に表示された名前を見た瞬間、誠司は小さく笑った。


「来たか」


通話ボタンを押す。


『天城です』


聞こえてきた声は落ち着いていた。


「おう」


『返事なんですけど』


誠司は黙る。


向かい側にいた美月とShinも自然と視線を向けた。


部屋の空気が少しだけ張り詰める。


数秒の沈黙。


そして蓮が言った。


『加入します』


静寂。


その一言だけで十分だった。


次の瞬間、Shinが大きくガッツポーズを作る。


美月も思わず笑顔になる。


誠司だけは静かだった。


だが、その口元は確かに緩んでいた。


「そうか」


『ただ』


「ん?」


『一つ頼みがあります』


「何だ」


『引っ越したいんです』


誠司は少しだけ笑う。


「それだけか」


『東京に行きます』


蓮の声には迷いがなかった。


『大学も辞めました』


その言葉に今度は誠司が驚く。


美月も目を見開く。


Shinは思わず固まった。


「早いな」


『決めたんで』


数日前とは別人のようだった。


覚悟を決めた人間の声。


前へ進むと決めた人間の声だった。


「それで?」


『住む場所だけお願いしたいです』


『しばらくホテルでも大丈夫なんで』


『荷物もそんなにありませんし』


すると誠司は即答した。


「却下だ」


『え?』


「ホテルじゃない」


『じゃあ』


「マンションを用意する」


今度は蓮が固まる。


『いや、そんな高い所じゃなくていいです』


「金は気にするな」


『気にします』


「世界一になる選手が住む場所だぞ」


『まだなってません』


「なる予定だ」


Shinが吹き出す。


美月も笑う。


相変わらずだった。


だが、そのやり取りが妙に嬉しかった。


BLUE HAWK初の選手。


世界一を目指す最初の仲間。


ようやく獲得できたのだから。


通話を終えた後、誠司は椅子にもたれた。


天井を見上げる。


そして小さく呟く。


「ようやく始まるな」


Shinが笑う。


美月も静かに頷く。


BLUE HAWK。


設立からわずか数週間。


ついに最初のエースを迎えることになった。


数日後。


東京行きの飛行機に乗った天城蓮は窓の外に広がる雲海を見つめていた。


大学も辞めた。


後戻りはできない。


不安がないわけではない。


だが、それ以上に胸は高鳴っている。


世界一を目指す。


その夢へ向かう第一歩が、今まさに始まろうとしていた。

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