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【BL】くしゃみのラブラブSS集め  作者: 城山リツ
08 ただいま!あれ、ミチル?

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(ジン×ミチル)「夜な夜な磨く……?」

 ミチルは今、ピンチに陥っている。


「ど、どうしよう……」


 足元には真っ二つに割れた、大切なもの。

 ちょっと手が滑っただけなのに。掃除のついでにガシャンと落としてしまった。


 ジンの、なにかの大会で、なにかの賞を取った時の、なにかの盾的なものを……!


「まーずぅうーい……ッ!」


 ミチルは動転してその場でジタバタ。

 諸悪の根源であるハタキは真っ先に放り投げた。


「せんせが夜な夜な磨いて、過去の栄光に悦ってるヤツなんじゃなぁい!?」


 動転し過ぎて、ミチルは妄想と現実がごっちゃになっている。

 ジンが夜な夜な悦に入ってるのが本当は何であるか、ミチルは嫌というほど知っているはずなのに。


「やばいぃい! もうすぐせんせが帰ってくるうぅう!」


 ミチルは狼狽えながら、罪の証(二つに割れた盾のこと)を抱えて逃げ出した。

 どこへ逃げるって? とりあえず今の時間なら誰も来ない風呂場だ!

 

 ミチルは道場の大きな浴場へ、さらにその広い浴槽に隠れる。ご丁寧に蓋まで閉めて。

 動転しまくっていて、今のミチルに正常な判断は出来なかった。



 

 静まり返る風呂場。

 誰も来ないから反響さえしない。

 ところで今日はけっこう温度が高めでよい天気だった。

 蓋まで閉めてしまったミチルは、段々と汗だくになっていく。


「ふええ……」


 動転し過ぎて風呂の中で熱中症になりかける。

 なんておバカ過ぎるんだ。オレってマジなんなの。

 ミチルが意識を手放そうとした時、浴槽の蓋が開けられた。


「何をしているのだ、シウレン」


「せっ……!? せせせ、せっ!?」


 ミチルは「せんせえ」と言いたいだけなので、あらぬ想像はしないでください。

 簡単に見つからないと何故か思っていたミチルは、ジンが真っ直ぐ風呂場に、自分めがけてやって来た事実に度肝を抜かれていた。


「汗だくではないか。風呂場からお前の匂い♡がムンムンしているぞ」


「ウソだぁーヘンタイだあぁー!」


 己の体臭については、お花だのミルクだの夢みがちに語られてきた。が、この度のジンの形容はちょっと生々しい。

 ていうか、蓋をぴっちり閉めていたのに、そんなもんかぎ分けたの!? ヤバ変態じゃん!!

 ミチルは改めて最愛の師範が、限界超越〇〇〇だと知る。


「どうしてこんな所に……うん? それは?」


 ミチルとともに浴槽に置かれている折れた盾。ジンが気づかないはずがない。

 ミチルは観念してその場で土下座。


「割っちゃいましたあ、ごめんなさいっ!」


「何、シウレン、怪我はないか?」


「……ぷえっ?」


 ジンはすかさず自らも浴槽に滑り込んで、ミチルの両手を取る。しげしげと見て、傷がないのを確認するとほっとため息を吐いた。


「ああ、良かった。この盾は硬い石で造られているからな、鋭利な破片で切ったら大変だ」


「せんせえ……タテ、壊して、怒ってない?」


 ミチルが恐る恐る聞くと、ジンはこれまでの変態発言も吹っ飛ぶほどの美しい顔でクールに笑う。


「フッ、儂がこんな盾に不自由すると思うか? これはただのオマケだ」


 さらにキラリと金眼輝かせ、とんでもない美しさでカッコつける。


「儂の『最強称号』はこんなものでは言い表せない……ゾ!」


 ちょっと語尾がダサいけど。

 ミチルのオトメ心を射抜くには充分です。


「せんせえー! 好きぃー!」


 なんかもう、全てがどうでも良くなりました。

 ミチルはトキメキの赴くままに、ジンに正面から抱きついた。


「おお、よしよし。ふっふ、シウレンが汗まみれで良いニホヒだ……♡」


「ヘンタイぃー! でも、好きー!」


 そうです。師範は変態なんです。

 ならば、この後もどうなるかわかりますよね。




「シウレンよ、せっかく風呂場にいるのだ。大いに汗を流そうか」


「ぴぴ……っ!」


 師範の華麗な手つきがミチルを襲う!


「じっくり、ゆっくり、準備してやろう……なあ♡」


「ぴゃあ、ぁああ……ッ!」




 風呂場が反響します!

 それはもう、誰も近寄れないほどに!




 そして今夜もジン先生は悦に入るのです……

 ミチル以外を構ってなどはいられないのです。

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― 新着の感想 ―
思わずお風呂場に逃げてしまったミチルは、『飛んで火にいる夏の虫』状態ですねー。 盾よりミチルをなでなでしたいですよね(笑) しかし匂いでミチルの場所がわかるとは、ヘンタイすぎてやばいw
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