(ルーク×ミチル)「真・アホーの予感」
ルークがルードに連れ去られて帰って来ない。
ミチルは夕方になるにつれて、ヤキモキしている。
「あんの、クソ兄貴めえ。ルーくんを変な場所に連れてったら承知しねえ」
変な場所とは?
そんなもの考えたくもないミチルである。首をぶんぶん振ってもう一度玄関を見に行った。
ルークが帰ってくる気配はない。
実はルークはルードに連れ去られた訳ではない。
父親のマグノリアが次期区長選挙に出るので、その本部で兄ともども手伝いに駆り出されている。
ただ、ルードが朝からハッハッハーの調子でルークを迎えに来たものだから、そんな印象がついてしまった。
「あーん、もう、こんちくしょーめえ!」
再びリビングに戻ったミチルは、ふて寝よろしくクッションに仰向けダイブ。
……もふん!
「ん?」
ちょっと何か、違った感触だった。
ミチルは自分の体の下にある布を確認する。なんか、魔法っぽい光がぼやんとしていた。
……もふ、もふん!
「あっ、ジーナちゃんだった。ご、ごめんね、痛かった?」
ジーナちゃんとはルード所有の魔法の絨毯である。
ルードのパートナー的にいつも一緒にいるが、今日はミチルとともに置いていかれていた。
……もふふん
ジーナちゃんの目や口がどこにあるかはわからない。だが、ミチルは雰囲気で「あんでもねえよ」と言っている気がした。
「お互い、留守番はつまんねえな」
ミチルは孤独に慣れてしまって、ついには絨毯と理解り合う始末。
そこに危機一髪、ミチルの孤独を振り払うダーリンが帰還する。
「ミチル、ただいまー」
「きゃっ、ルーくん!」
ミチルは弾かれたように玄関へ飛んで行こうとした。だが、ミチルの腕を掴む布がある。
……もふもふ!
「ん?」
……もふふぅん
「むふふ、なるほどぉ♡」
絨毯とオトモダチになったミチルは、ジーナちゃんの「悪戯」に乗った。
ジーナちゃんはミチルをくるっと包んで、ソファのように擬態したのだ!
「ルークが部屋に来たら、おかえりぃってオレがバサーッと出てくる……って事ね」
なんか、めっちゃ昔の女王様がやった気がする。
ミチルはちょっとウキウキしてしまった。
「ミチル? ここ、いる?」
来た!
ルークが部屋に入ってくる。
ミチルは準備万端、ジーナちゃんをバサーッと脱いでダーリン♡を迎えたのだ!
「おかえりぃ、ルーくぅん!」
「ミチル! ミ、ミチル……ミチル!?」
ジーナちゃんの中から出てきたミチルに、ルークはビックリ仰天している。翠色の瞳はチカチカ瞬いていた。
やだなあ、そんなに驚かなくても。そんなにオレに会いたかったァ? なんてミチルは能天気に考えていた。
「ど、どど、そ、その格好……ッ」
おや? 何かおかしいぞ。
ミチルはルークが自分を見つめる視線にものすごい熱を感じた。
さらに、ぎゅーん↑している熱も感じる。
「うん?」
「プ、プリンセス……!?」
ルークがそんな言葉を呟いたので、ミチルはようやく自分の姿を確認した。
「な、なんじゃこりゃああ!!」
そう! ミチルの服装は魔法で変わってしまっていた!
おへそがチラリ♡している、アラビアーンなプリンセス衣装を着ているのである!!
「ジーナァアア! おまえかあああッ!!」
……もっふうん♡
やはりこの絨毯はルードの回し者。企てたのはルークへの悪戯ではなく、ミチルへのものだった。
「ミチル、プリンセス……素晴らしい……」
ルーク、感涙。ぎゅぎゅーん↑
「待って、ルーク! 女装とかは、ちょっとさあ……!」
ミチルにだってオトコのプライドがある。
こんなフリフリした格好でルークを誘惑したとて……
「たまには、いいね……♡」
ルークよ! ちょっと最近変態執事&変態兄貴の影響が大きいんじゃない!?
「うにゃぁあ……ん!」
ミチルは、愛に盲いたルークにベッドルームに連れ去られました!
「うきゃああ……!」
今夜はかなり燃え上がりそうです!
パシャシャシャ……!
ルークもミチルも愛に溺れすぎて連続シャッター音には気づきませんでした。
「ヒッヒッヒ。すんげえのが撮れたぜえ」
嗤う、腹黒兄貴。
「ジーナちゃん、ルークにも魔法かけたなあ。さっすがあ」
……もっふっふ
嗤う、悪戯絨毯。
後日、ルークがプリンセスミチルをお姫様抱っこ♡する写真が街中に貼られました。
アットホームな雰囲気が住民に受けて、マグノリアは今年も区長に当選しました。




