表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【BL】くしゃみのラブラブSS集め  作者: 城山リツ
04 もしもミチルがカフェバイトをしていたら

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/30

(ルーク×ミチル)「美大生の昼下がり」

 オレの名前は坂之下(さかのした)ミチル!

 平凡な大学に通う、平凡な大学生さ! だけど今、オレは都会のオシャレタウンでオシャレカフェバイト中!

 ここで働いている時だけ特別な制服を着て、特別なオレになれるんだ!


 特別なオレには、いつかきっと特別な「最愛」が……




 最近、気になっているお客様がいます。

 昼過ぎにやってきて、同じ席に座り、そこで刺繍をしている若い男の人。

 ちょっと緑がかった黒髪、濃いめの肌でエキゾチックな雰囲気のイケメンです。


「すみません」


 ああっ、あの人が店員を呼んでる!

 絶対にオレが御用聞きに行くんだ! ダッシュ!


「ご、ごご、ご注文ですか?」


「はい。ロイヤルミルクティー、おかわりで」


「かしこまりました!」


 当店で一番高いドリンクを、今日で三杯目。お金持ちなのかな、若そうだけど。

 でも……多分、そこの美大の学生さんだよね? 何回も観察してるからそれくらいはオレにもわかる。


「あ、あのー、コーヒーだったらサブスクがあって、おかわり自由でお得ですよ?」


 美大イケメンさんはほとんど毎日、多分授業が終わるとここに来る。

 日が暮れるまでここで刺繍をしてるんだ。その間に一番高いロイヤルミルクティーをたくさん飲んでくれる。


 太客だって店長は喜んでるけど、いつかお金が尽きて来なくなっちゃうんじゃない?

 オレはそれが不安で、勇気を出してコーヒーサブスクを勧めてみた。


「あっ、ごめんなさい。ぼく、コーヒー、苦手で……」


「ふああ! 余計なこと言いました、すみません!!」


 オシャレカフェに来る人はみんなコーヒーが飲めるとかは、オレの偏見だったんだ、恥ずかしい!

 好きなものを頼めばいいじゃない、そのためにメニューがあるんだから!


「いいえ。あなた、優しいね。ありがとう」


「きゅーん!」


 優しい翠色の瞳がオレに笑いかけます! すんごい幸せです♡

 舞い上がっているオレに、美大イケメンさんは照れながら続けた。


「ここのロイヤルミルクティー、とても甘くて美味しい。作業が捗ります」


「作業……って、うわあ、すごく綺麗!」


 その手元を見ると、白い布の上にめっちゃ綺麗な刺繍が施されてる!

 金色を基調にして、オレにはなんの模様かわからないけど、見ていると心がほんわかする感じだ。


「ありがと。このお店来て、インスピレーション、湧きました。もうすぐ完成、コンクール、出します」


「ふわあ、そうなんですねえ! こんなに綺麗だもん、優勝間違いないですよ!」


「ふふ、だといいけど」


 やだあ、はにかむイケメン素晴らしい♡

 思わず世間話が弾んで、オレは幸せな気持ちで胸いっぱいになった。




「これ、出来たの、あなたのおかげです」


「ふえ?」


 美大イケメンさんは、ゆっくりと顔を上げてオレを見つめてきた。

 翠色の瞳、キラキラ輝いてドキドキします。


「あなたが笑顔で、毎日ぼくに紅茶、運んでくれた。それで、インスピレーション湧いた、から」


「ふええ……」


 そんな、オレはただ、貴方に萌え萌えしながらドリンク運んだだけですけどお。


「あなたの名前、なんですか?」


「ミチルですぅ……隣町の大学一年生ですぅ」


「ぼくはルーク。同い年だね、嬉しい」


「ルーくぅん……♡」


 やだあ、自然と身バレしちゃったけど、口が滑って良かったあ。

 美大イケメン・ルークはにっこり笑って、それからちょっと真面目な顔でオレに言う。


「ぼく、コンクール、頑張ります。これで取れなくても、次も作ります」


「うんうん、頑張って! オレはロイヤルミルクティー運んで応援するよ!」


「ぼくの作品、ミチルのおかげで完成出来る。コンクールで優勝出来たら、ミチルに告白します」


「ぴえええっ!」


 告白って、なんですか? 好きな食べ物教えてくれるとかですか!?

 ああもう、ラブが溢れてよくわかりません!


「きっとそんなに待たせない。だからミチル、ぼくを見ててくれる?」


「かしこまりましたぁあ!」


 公認で見ても良くなりました、幸せです!


「ミチルとエンゲージ結ぶため、ぼくは糸を結び続けます……♡」


 なんかうまいこと言いながら、プロポーズ予告されたあ!




 その夜、オレはルークが刺繍したヴェールを被って式を挙げる夢を見ました……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
珈琲飲めないのにカフェに通ってたのはミチルに会う為だったんですね♡ 紅茶もメニューにあって良かった。 ミチルの笑顔でインスピレーショ湧いた刺繍素敵! もう絶対コンクール優勝ですね。 プロポーズ予告する…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ