8月5日 その⑥
第9ゲーム『極彩色の三重振り子』のルール
1.各クラスごとにチームを用意し、そのチームの参加者は6人とする。
2.デスゲームを72時間生き残るか、8時間おきにどこかに出現するゲートを通るとゲームクリアとなる。
3.イエロー・マゼンタ・シアンの3色を16人ずつに分ける。
4.自分の色が無くなるか、黒に変わると敗北し、死亡する。
5.色の変化の法則性は、色の三原色に準拠する。
6.タッチされると、その色の有無が反転する。例を挙げるとイエローがマゼンタにタッチされたら赤になり、赤が再度マゼンタにタッチされたら黄色になる。そして、赤が青にタッチされたら緑に変化する。
7.同じチームの人が接触しても色の変化は起こらない。また、ゲームクリア及び敗北した人に触れても色の変化は起こらない。
「可愛い……君、可愛いねー……隆貴には見つけたら連れて来いとだけしか言われてないから、ちょっと味見しちゃってもいいよねぇ?」
長い両腕で自分のことを抱きながら、ニタニタと笑みを浮かべる気持ち悪い男。
その発言や黒スーツという格好から、隆貴やQの仲間であることが予想できる。要するに、俺の──俺達の敵だ。
「──栄」
「大丈夫。俺に任せて」
──まだデスゲームが始って30分程しか経過していないけれど、こうして出会ってしまったということはバトルをする必要があるだろう。
俺としても、智恵を害する人は一人でも減らしてしまいたい。だから──
「穏便に解決しよう──だなんて言わない。勝負をしよう、殺し合いだ」
「──殺し合い、だぁ?お前、わかってねぇな。これから繰り広げられるのは、一方的な嬲り殺しだっ!」
そんなことを口にして、俺の方へ飛び込んでくるアリクイのような顔をしている変態男。その腕には刃物──。
***
小学生とセックスしたい。
小学4年生くらいかなぁ。一番いいのは。
初等教育を通じて少し知能がついてきた女子小学生。自分の未来とか価値観とかが定まってきたところをぶち壊す。きっと性格歪むんだろうな。俺のせいで人生変わっちゃうんだろうなぁ。
俺の手で誰かの人生を壊したい。壊したい。壊したい。壊したい。壊したい。壊したい。壊したい。壊した。
畠山美羽ちゃん。10歳。
学校からの帰り道を狙った。可愛らしい灰色のミニスカートをはいていたな。ピンク色のハートが大きく施されたTシャツも。プリっとしてたし、私をレイプしてください!って言ってるように見えたんだ。
だから、犯した。
口を押さえつけながら横道に引きずり込んで、そのままミニスカートを引き裂いた。
淡いピンク色のもしゃもしゃしたパンツを履いていたから、それを無理矢理脱がした後でぷにぷにで誰にも触られたことの無さそうなおまんこにオレのチンコをぶち込んでやった。
難解したかは忘れたけど、とりあえず美羽ちゃんの涙が枯れて意識が落ちるくらいには犯したね。
できることならオレが死ぬまで犯し続けたかったんだけど、いつの間にか通報されちゃってたのか警察に逮捕されてしまった。
懲役は──何年だったかな。よく覚えてない。
どうでもよかった。次は中学生か高校生をレイプしたいな~って考えてたから。
より自我が確立している思春期の彼女を犯したらきっと人生壊れちゃうんだろうな。
あぁ、壊したい。
──だから。だから──
「──智恵ちゃんって言うんでしょ?オレと──」
「栄、頑張って」
『七つの大罪 第参冠 憤怒者』
「一緒に──んぁ?」
いつの間にか、オレの視界が黒く染め上げられる。世界が反転する感覚がすると同時、まずは顔面に痛みがやってきて、それがすぐに全身に──、
***
一発。
飛び込んできたアリクイのような顔立ちの男の顔面に、智恵が覚醒させるのに協力してくれた憤怒を加算したフルスイングを叩きこむ。
すると、彼は俺達とは反対側に弧を描いて吹き飛んでいく。彼の頭の上にある直方体が緑色に変わっていた。
刃物を持っていたような気がしたけれども、それが振り下ろされる前でよかった。
「──智恵、ありがとう」
「いやいや。私は栄のサポートをしただけだよ」
そう口にして智恵は可愛らしく笑う。俺は、智恵の髪を撫でた。
「──って、まだ油断できないな。やるなら徹底的に、だ」
──と、俺と智恵はアリクイ男に歩み寄る。
顔が真っ赤に腫れ上がっており、鼻は完全に折れているだろう。白目をむいている彼だったが、少しだけ意識を保っているようで小さな声で喘ぎながら震えていた。
「緑ってことは、私がタッチすればこの人は……」
「──そうだね。ゲームのルールに則って死ぬ」
「──」
智恵は、少し考えるような表情をする。この人が何を行ったのかは知らないが、Qや隆貴に選ばれる以上犯罪者であることは間違いないのだろう。
「──智恵が無理をしたくないなら、俺が殴り殺すよ。だから、安心して」
「い、いや……ひにたくあい」
恐怖した目で俺達の方へそう訴えかけてくるけれども、これはデスゲームだ。ここで見逃して後にどんなことになるのかなんてわからない。だから、逃すことはできない。
「──栄ばっかに頼ってられないし、私がするよ。そっちの方が、きっとこの人も楽だから」
そう口にして、智恵はアリクイみたいな顔が俺の一撃でひん曲がってしまった男の手に触れる。すると──
頭の上に浮いている立方体が黒く染まっていく。そして──
「──何か、来る」
地面が揺れるように動いたと同時、俺は智恵の手を掴んで咄嗟に後方に下がる。すると、俺の目の前を巨大な漆黒の塊が木々を薙ぎ倒しながら通り過ぎて行った。そこは丁度、アリクイ男がひっくり返っていたところだ。
──漆黒の塊に轢かれるようにして、アリクイ男はぺしゃんこになっていた。首と思わしき場所がない。
きっと、先程のようなものが処刑マシーンなのだろう。巨大振り子のような動きをしていた。
「──殺しちゃった、私が……」
「智恵が気に病む必要はないよ。これはこういうゲームだ。それに、相手は犯罪者。智恵は忘れていい」
「──」
俺の言葉に、智恵は素直に頷く。直接的に手を下したのは、巨大振り子だ。智恵が傷つく必要はない。
「──じゃあ、進もう。まずは合流しないと」
俺と智恵は、手を繋いでまた同じ方向に進んでいくのだった。





