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8月5日 その⑤

 

 隆貴達のクラスが会議場に到着したことで、デスゲームの参加者が確定した。

 参加者は8クラス6人の48名──だったはずだが、否不未が誰一人連れてこなかったので43名で開始される。

 これでは色が均等に分別されない──と思ったが、そこはデスゲーム運営陣が調整するのだろう。棒人形にも色を渡すことも考えられた。

 隆貴が智恵の存在に気付き、何かを声を掛けようとしたところで──


「──じゃあ、参加者全員が集まったことだしルールの再確認をしましょう」

 被せるようにしてそんな提案をしたのは、冴恵香であった。俺が何を言っても隆貴達が反発するだろうから、彼女がフォローを入れてくれた。心の奥底で「ありがとう」と唱える。声に出してはならないのがもどかしい。


「ルール1.各クラスごとにチームを用意し、そのチームの参加者は6人とする。 ──否不未のクラスに関しては、例外で棒人形が認められることになりました。まぁ、正確には黙認──という形ですけどね」

 異色の存在である否不未に軽く触れた後、「他は皆6人ピッタリだからいいや」と説明を次に飛ばした冴恵香。


「ルール2.デスゲームを72時間生き残るか、8時間おきにどこかに出現するゲートを通るとゲームクリアとなる。 ──今回のデスゲームは参加者が限られている以上、教室や学校内では行えません。被り物教授達デスゲームの運営に専用のフィールドを用意してもらっています。そこで最大72時間生き残るか、途中離脱ゲートを通ればクリアになります。ゲートは1時間だけ出現する形ですね」

 ここは、第3ゲーム『パートナーガタ―』にもあった内容が採用されることとなった。全員で固まって行動して、全員で離脱する。それが俺達の考えている最善主だ。


 ──と、ここで質問の手が挙がる。ロンだ。


「どうかした?」

「72時間とあるけど、食事や睡眠はどうするんだい?」

「食事は一定時間の間に一定の場所に支給されることになってる。睡眠は各自で取って。その場合の安全は保障されないよ」

「──了解」

 ここは、第6ゲーム『件の爆弾』と似た話になってくるだろうか。ここは冴恵香達ではなくデスゲーム運営が決めたこととなっており、口出しはできないようだった。きっと、争いを助長するためだろう。


「ルール3.イエロー・マゼンタ・シアンの3色を16人ずつに分ける。棒人形にも配分されます。ルール4.自分の色が無くなるか、黒に変わると敗北し、死亡する。ルール5.色の変化の法則性は、色の三原色に準拠する」

 ここはほとんど冴恵香が朗読するだけで、ルールの補足については入らない。誰もツッコミを入れない。

 なので、自ずと次に進んでいく。


「ルール6.タッチされると、その色の有無が反転する。例は長いので省略。7.同じチームの人が接触しても色の変化は起こらない。また、ゲームクリア及び敗北した人に触れても色の変化は起こらない。 ──これで、確認は終わり。質問はある?答えられる範囲なら答えるよ」

 誰からも質問ではない。冴恵香は2周程あたりを見回してから、ゆっくりと頷く。


「──よし。それじゃ、オッケーそうだね。ルールの確認は終わり。他に共有事項はないわ」

 確認はあっさりと終わったので、まだ5分以上の時間が残っている。隆貴が喋り出してしまう可能性があったけれど、自然な流れでチーム内での方針確認という時間が取られた。


「──今回は知っている敵も多い。アドバンテージも多いけれど、向こうも一緒だ。油断できない」

 こっちが情報を多く持っている──ということは、相手も俺達の情報を持っているということに他ならない。

 唯々諾々や茉裕のクラスの他、ロンのクラスにも注意しておくべきだろう。奇襲して来た際に俺達の戦闘能力がバレているはずだ。しかも、こっちはロンのクラスの情報をイマイチ把握できていない。

 そのため、目下一番面倒なのはロンのクラスだろう。


「──それだけじゃない。この数日で他のクラスも十分に作戦を考える時間はあったはずだ。だから、どう動いて来るかもわからない」

 特に、隆貴達のいる犯罪者クラスや否不未のは何をしでかすのかわからない。きっと、俺が予想だにしていない行動を取るのだろう。そこに何か作戦があるのか、それとも考えなしの興味本位内行動なのかさえも予想できなさそうだった。


 ──と、そんな話をしていると予定の12時がやってくる。

 円卓の中心。その上空に、現れたのは被り物教授。彼は、両腕を広げた黒幕のようなポーズで顕現し──、


「──定刻になりましたら開始の音頭を取らせていただきますね」

 照明が被り物教授に向けられる。俺は、自分の心臓の鼓動が早まっていく感覚を覚える。そして──、


「──それでは、ただいまを持ちまして第9ゲーム『極彩色の三重振り子』を開始させていただきます。皆様、ご武運を!」

 そう口にして、俺達43人は光に包まれる。俺は、智恵の手をギュッと握った。そして──


「──ここが、今回の会場……」

 木々に囲まれた森林の中で、俺と智恵の2人はぽつんと立ちすくんでいた。


 ──第9ゲームが開始された。このゲームは、絶対に負けられない。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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