8月5日 その①
──デスゲーム当日。
一昨日の会議で、どちらにせよ自分の首を絞めることになるであろう2択を突きつけられ、屈辱的な選択をさせられた俺だった。
しかし、結果として行うデスゲームは冴恵香と光、そして俺──厳密に言えば俺はその内容の会議に参加せず智恵とイチャイチャしていたので、俺達のクラスの皆が考えてくれた『極彩色の三重振り子』になった。
否不未との交渉で智恵が参加するが確定させられてしまったので心配事は残るけれども、自分達にとって都合のいいデスゲームにできたことは大きいだろう。
「──集まってくれてありがとう。デスゲームに参加してもらうのは各クラス6人、ということになっているんだが──、うちはその限りではない」
デスゲームの開始は、会長会議と同じで12時を予定している。現在時刻は10時。
俺は教壇の前に立ち、他の皆は座っていた。俺は、白板に『極彩色の三重振り子』のルールを貼りだした後に、そう語りかけた。
「──今回、俺達のクラスは冴恵香のクラスと光のクラス。計3つのクラスで共同戦線を結んでいる。デスゲームにも持ち込める俺達のスマホに入っている連絡先は、本来自分達のクラスのものしかないけれど、クラスごとに人を交換することでどこにいても連絡を取り合えるようにする」
俺達の作戦はこうだ。
俺達3クラスのチームを、各クラス合同のチームにする。そうすることで、お互いに連絡を取り合って助け合えるようにするのだ。
「──光のチームは光以外デスゲームそのものに非協力的で動く素振りを見せてくれなかったから、参加するのは光だけになる。だから、光のクラスが5枠分空くわけだな。その枠は冴恵香との兼ね合いでうちのクラスからは3人が出ることになった。それと、冴恵香のチームへの橋渡しとして1人参加してもらう。俺達のチームの方にも冴恵香の陣営の人が1人やってくるから仲良くしてくれ。」
要するに、俺達のクラスのデスゲーム参加者はこれだけの人数になる。
自分達のチームが5人、光のチームに3人、そして冴恵香のチームに1人の合計9人だった。
「問題は誰がどこに参加するか──だな」
まだ怪我が治っていないけれど、会議には参加してくれた康太がそう口にする。
「そういうわけだ。今回は戦闘になる可能性は十分にあるし、俺達が敗北した瞬間そのクラスの敗北が決定する。そうなると、戦力を適切に振り分けたい」
「学校にロン達のクラスの居残り組が侵入してくる可能性も考えられるよね」
「それもある。11人は残ることになるけど、全員非戦闘員──ってことにならないようにしないと」
俺は、白板に貼られた『極彩色の三重振り子』のルールの隣に、3つの枠を作る。
「とりあえず、俺と智恵、純介と愛香・皇斗の5人は顔が割れてるから自分達のクラスに配置するか?俺としては愛香と皇斗のどちらかを光のチームの方に派遣したいんだが」
残り一枠は冴恵香のチームから派遣されてくるから、メンバーとしては十分だろう。だが、愛香と皇斗の2人となると多少戦力が偏っている風にも思えてしまう。
「──では、余が光のチームに行こう。愛香は2度も栄のチームとして参加しているが、余は一度だけだ」
「ありがとう。じゃあ、残りは4人だな。出てくれそうなのは──」
怪我をした稜と康太・蒼の3人は候補から外れるとして、頼れそうなのは真胡や誠・歌穂であろうか。などと思っていると──
「──アタシにも行かせて」
そう口にして、スラッと長い手を伸ばしていたのは梨花であった。
「──梨花」
彼女の狙いはわかっている。拓人や茉裕のことだろう。その芯のある視線が、俺のことを捉えていた。
否定を許さないし、止まることを知らないその視線。きっと、何を言ったって彼女は止まらないだろう。
「──わかった。梨花も協力して欲しい。俺達のチームでいいか?」
「うん。我儘なのにありがとう」
「いいよ。俺だって同じ立場ならそうしてたと思うから」
その後、話を進めて冴恵香のチームに歌穂を、光のチームに真胡と誠の2人を派遣することに決定した。
これにより、俺のチームは俺・智恵・愛香・純介・梨花の5人。冴恵香のチームは歌穂。光のチームは皇斗と真胡、誠が参加することに決定した。
「──と、そうだ。皇斗は覆面教師の被り物でもしていけば?」
「それもそうだな。被り物でバレるかもしれないから、仮面でもしておこう」
皇斗はそう口にして、スマホで狐面を注文していた。それで正体を隠せるかどうかは不明だけど、何もしないよりかはマシだろう。
「アタシ達は──そっか、顔が割れてないから冴恵香のクラスの方にいてもなんとも思われない」
「そういうこと」
ロンの集団が攻めてきたときに誠の顔が割れている可能性があるので、彼にも一応仮面を付けてもらうことにした。光のチームに謎の仮面が2人いることになるけれども仕方ないだろう。
「──皇斗きゅんに誠きゅんが被り物するなんて、普段からじゃ考えられないぴょん」
「作戦に必要なのだから仕方ないだろう」
まだ腹の傷が完全には癒えていない蒼が、2人のことを見てケラケラ笑う。
──と、そんな感じで他のチームとして参戦する4人にはそのチームの方へ行ってもらうことにした。
もうすぐデスゲームが始まる。
一度は解散し、デスゲームに参加する5人だけが残る教室で俺はもう一度白板に貼り付けられたデスゲームのルールに目を通すのだった──。





