8月3日 その④
更新が不定期でごめんちゃい(かわいい)
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冴恵香の提案は、協力を疑われること無く好印象な形で終了した。
そして、次は隆貴を連れている受刑者集団からの提案が行われる。
「次は──、そうだね。僕はアナタの名前を知らない。学生には見えないけれど、名前を教えてもらえるかい?」
ロンは、深緑色の囚人服に身を包んだ中年男性にそう声をかける。銃を持つ彼を刺激するのは危険だが、紳士的な一面を時折見せる彼に名前を訊くくらいなら許されるだろう。
「名前──か。失礼。私は名前を失くしていてね。Q、今ではそう自称している。よろしく頼むよ」
Q。その男はそう名乗る。名前の由来を訊いても何かヒントになるような答えは返ってこないのだろう。俺達も、その呼び方に従わせてもらうことにした。
「じゃあ、Q。アナタ達のクラスで考えて来たデスゲームの内容を教えて」
「わかったよ、ロン君。私達が考えてきたのは『青天井裁判』。これまで君達はデスゲームの中で殺人や暴力・裏切りなど様々な罪を犯して来ただろう。その罪の重さを競う裁判だ。まず最初に、ゲームの参加者はデスゲームが介してから犯した自分の罪の重さを懲役何年分で表す。無期懲役や死刑・執行猶予等は考慮せず、寿命の制限などもないとする。だから、自分を大罪人だと思うのなら懲役が1000年を超えるというわけだ。そして、その後で現行の法律や良心に則って同様のルールで実際の罪の重さを決定する。これは法律の専門家──検察官や裁判官をマスコット大先生の伝手で用意しようと考えている。私の伝手にも裁判官はいるけれど、それでは君達が納得しないだろう?それはさておき、これで自分達の予想と現実の実刑判決の2つがでるわけだ。その差を比較し、差の年数を分数に変えた時間だけ罰を受ける。だから、懲役10年と予想して、実際が懲役5年だったら5分分の罰を受けることだな。罰の形は定まっていないが、水責めや鞭打ちなど即死ではないが十分に死ぬ可能性があるものだ。人数はクラスごとの出場者で上手く調整する形になるが3人から5人が参加することになるだろう。最終的にその差分が小さかった人が勝利だ。そして、下位4クラスは全滅とする。自らの背負う罪を理解しないクラスなど必要ないからな。──これが私達の考えて来たデスゲーム、『青天井裁判』だ」
Qは説明を終えた。俺は既に投票する場所を決めているので訊く必要はないのだけれど、一応耳は傾けておいた。
「Q、ありがとう。次は茉裕ちゃん、お願いできる?」
そう口にして、話を振られるのはQの隣に座っている死者連合のトップ──園田茉裕。
うちのクラスの生徒会として大暴れした彼女は、どういうわけか死者として復活していた。面倒なのは承知だし、俺達が考えて来たデスゲームの作戦の中で一番厄介なのも彼女だろう。
「──勿論。私達が考えてきたのは『人質ポーカー』。ルールは賭けのあるポーカーと一緒。だけど、賭けるものがお金ではなく死体。最低1つの死体を賭けなければならないわ。ルールはそれだけ。特に難しくないでしょう?」
そう口にして、ロンの方へと微笑みかける茉裕。ロンと何か策があるのだろうか。
──いや、違う。ロンが多くの軍勢を率いていることを知っているから、彼にも利点があると伝えたのだろう。
──死体を賭ける。
たとえポーカーで負けて死体を奪われても、自分の手で仲間を殺せば賭け金を用意することができるということだ。
「──ありがとう。じゃあ次は光君がお願い」
光は返事もせずに「『匿名信者』」と口にした後、俺達と同様に適当なゲームを提案する。
直接的に参加する人は1人であるというルールがあるので、光に有利に動くように考えられるのは皆同じだろう。
「──ありがとう。じゃあ次は僕だね。僕が考えたのは『10question ~1つの嘘と9つの財宝~』さ。質問される側はお題を決めて、質問する側は10個の質問を相手に行う。その時、質問される側は1度だけ嘘をついていい。逆に言えば、1度以上嘘をついてはいけない。わからない・知らないは質問として無効。質問する側は当てられなかったら死亡で、質問される側は当てられたら死亡。要するに、確実にどちらかが死ぬってわけ」
──このような感じで、それぞれのデスゲームを紹介して会議が進んでいく。
俺も純介が考えてくれた適当なデスゲームを提案し、軽く終わらせた。純介の力作ではあろうけれど、ここは軽く流させてもらうことにした。
「──じゃあ、最後は唯々諾々君」
「俺が提案するのは『六次元オズワルド』。出場者は各チーム最高で2人──」
人間甘言唯々諾々が考えた難解なデスゲームを彼自身がわかりやすく説明を行う。だけど、実行しているうちに負けてしまいそうな内容であった。そして、俺達は投票フェーズに移る。
「──さ、それじゃ投票フェーズに入ろうか。これから何を行うのか、また紙に書いて出してほしい」
ロンがそう口にすると、覆面教師と呼ばれていた先生が俺達に紙を配って回る。
「出されたデスゲームは8つ。自分の出したものにも票を入れていいよ。4票ずつになった場合とかは再検討した後に決選投票を行うからね」
ロンはそう説明をする。俺は、書くところに迷いがなかったので冴恵香の提案した『極彩色の三重振り子』とだけ書いてそれを四つ折りにして伏せた。
──この投票で、俺達の運命が決まる。
全員が書き終わって集められていく紙に、心の中で静かに祈ったのだった。
行われないデスゲームを7個も考えないといけなかったんですか?





