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8月1日 その⑨

 

「──それで、どうやって1つのクラスに絞るかだね」

 逸れた話を戻してくれるのは、またしてもロンだった。

 きっと、他の班はロンのクラスに襲われていないからとりあえず敵視していないのだろう。俺も、全てに噛み付く人だとは思われたくないし、今の俺が話しても説得材料にはならないだろうからロンのことは隠しておく。


「いや、意見を求めてるわけじゃない。君たちに話させるとまた話が逸れるから。ここは僕が仕切らせてもらうよ。文句があるなら挙手。そして、全員が納得できる代替案を」

 ロンが流れるように会話の中心に立つようにする。反対しようとしても、それ以上にふさわしい代替案が出てこないから俺は黙って見過ごす。

 智恵を除く3人も、俺達が置かれている状況が悪いことには気付いているようで何も口を挟むようなことはしてこなかった。


 ──きっと、3人には悔しい思いをさせているだろう。

 ロンであることを確定しているし、実際に愛香や皇斗はロンと対面している。それを易々と見過ごすのは、2人のプライドを少なからず傷付けたはずだ。

 俺は、奥歯を噛み締める。


「──反対意見は無さそうだね。じゃあ、宣言通り僕が会話の中心として進めさせてもらうよ。マスク・ド・ティーチャーに任せきりも良くないだろうからね」

 彼はそう口にすると、ゆっくりと息を吐く。


「僕達が自分達の優秀さを競う必要があるなら、最も適しているのはデスゲームだ。そうだろう?」

 ロンは、円卓の周りに座る人達を見回しながらそう口にする。俺もそれに頷いた。


 もし単純な乱闘になったなら、俺達は人間甘言唯々諾々に勝てずに殲滅されてしまうだろう。どこまで本当かわからないけれども、十兆人殺したと証言する非野否不未も強者であるに違いない。

 そんな圧倒的な暴力をロン達は保有していないから、頭脳戦に持って行けるデスゲームを提案したのだろう。もし保有していたら、俺達はここに辿り着くことなく昨日の間に全滅していたはずだ。


「そこで、問題になるのはどんなゲームにするのか──だ。ここで話し合っても、お互いの私利私欲を詰め込んだようなゲームになってしまうだろう。それじゃ、フェアじゃない」

 ロンの話すことに特段おかしい点はない。どこで自分の都合のいい方向に転がしているのか予想が付かない。いや、もしかしたらもう既に転がし終えているのかもしれない。

 ロンの腹の底が見えない。考えろ、考えろ──。


「──フェアにするためには、大きく分けて3つの案がある。一つは、デスゲームの内容を覆面教師達──要するに、担任達に任せる。もう一つは、各クラスでデスゲームを考えて、後にくじ引きか投票かをして決める。そして、最後の一つが皆がここで一つのデスゲームのルールを話し合って作る」

 ロンはそうして、俺達に提案を持ちかけた。


 一番甘い汁であるのは、2つ目の各クラスでデスゲームを考えて、後にくじ引きか投票かをして決める──というものだろう。自分達にとって都合のいいゲームを作ることができるのだから、上手く行くに決まっている。

 だが、問題は他の人も同様のことを考えている──ということだ。

 皆、お互いの利益を求めているのだから上手く行くに決まっている。だから、自分達のクラス以外のものが選ばれれば都合の悪い内容になるのだ。1/8で確実に勝てるが、7/8で確実に負ける。

 そう考えると、勝負に出るのは危険だろう。


 ──が、皆がここで一つのデスゲームのルールを話し合って作るというのはもっと選びたくない。

 隆貴や否不未は、きっと智恵を狙った条項を追加しようとするはずだった。そんなものを追加させるつもりはないし、今の俺には発言権が無いに等しいから自分達に有利に働くような内容を追加できるとは思わなかった。


 じゃあ、正解は担任達にデスゲームのルール作りを任せることなのだろうか。

 どのような経緯で決められるかはわからないが、あくまで「公平」を謳う彼らであれば全員に平等なデスゲームを作ってくるだろう。

 勝率がどのくらいかは内容によるけれども、自分達に1番勝率があるのはこれかもしれない。


「そうだな。2つ目の、各クラスでデスゲームを考えて後にくじ引きか投票かをして決める──っていうのは、投票にしよう。くじ引きだと、自分達のにならなかった時に卑怯だなどと騒がれてしまう可能性があるからね」

 ロンは、周囲にいた人間と少し話し合った後にそんなことを口にした。


「どの決め方にするか他に案はある?候補に相応しいかどうかは皆で判断するから、あったら教えてね」

 ロンが皆にそう問うと、否不未は手を挙げる。


「普通に殺し合いは候補に入らないの?」

 投票の結果、賛成3。反対5で棄却。


 ──5分間の話し合いの時間が持たれて、俺は後方の3人と話し合った。

 その結果、俺達のクラスは「担任達にデスゲームのルール作りを任せる」ことにした。


 ──が、ここでもどう決めるかの投票が必要である。

 そのため、この意見が通るかはわからない。デスゲームをどう決めるかの投票が、開始する──。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
予想以上に濃い面子。 しかしこの辺上手く調整しないと、 物語のバランスが崩壊しそう。 まあでも作者様の自由に書けばいいけど、 ある程度は読者の事も考えないと只の自己満足にもなる。 この辺はウェブ小説の…
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