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8月1日 その⑥

今日は7月25日は智恵ちゃんの誕生日!

誕生日おめでとう。幸せになってね。

 

「──なん、で……ッ!」

 そこにいるのは、死んだはずの──いや、確実に死んだ5人。

 それなのに、こうして生き返って俺の目の前に姿を現したのだ。茉裕や裕翔の登場には唾棄すべきものがあるし、それに協力している鈴華や美沙、それに拓人に対して納得できるものはない。


「──なんで、なんで生きてるんだよッ!」

「ギャーギャーうるせぇぞ、栄。どうせ心の底では気付いてるくせに。しらばっくれてんじゃねぇよ」

 裕翔がそう吐き捨てる。久々に見た下衆な笑みに苛立ってきた。


 ──が、裕翔の行った通り俺も心の底では気付いていた。

 俺が初めて死んだ人と会ったのは、5月に行われたラストバトル。その中で、死んだはずの鬼龍院靫蔓や廣井大和(ひろいやまと)と出会っている。

 そう、その時はマスコット大先生がデスゲーム運営のルールを破って復活させた──というのだ。


 マスコット大先生達デスゲーム運営には、死者を復活するだけの特別な能力がある。それを踏まえると、こうして目の前の5人が生きていることも説明が付いた。

 その仕組みを理解できていないが、納得はできるのだ。


「──何?どういうこと?」

「現状を掴めているのは栄君だけだよ。説明、してくれるかい?」

 冴恵香の頭には現状が理解できないようで頭の上に「?」が浮かんでおり、ロンは諭すように俺に問いかけてくる。

 きっと、茉裕達は「死人に口なし」などと主張して自分の口から現状を説明するようなことはしないだろう。ここは俺に説明責任があるようだった。


「──今来た、この5人は俺達のクラスに所属していた5人だ。というのも、彼彼女らはデスゲームの中で死んだ。だから、本来はいるはずがない」

「──成程。大体状況は理解できたよ。死んだ人がいて取り乱していたわけだ」

 ロンが納得したように頷く。その横で、茉裕が話し始める。


「私達は死んだ。でも、だからこそ、マスコット大先生──いや、デスマスク恩師にこう告げられた。再びデスゲームに参加して生き残れば、生き返らせてあげます。私には一人の人間を二度殺す能力が備わっている──って」

 どうやら、今の茉裕達の担任はデスマスク恩師と言うようだった。そして、生き返るためにこのデスゲームに参加するらしい。一度死んだ身である彼女達からすれば、願っても無い条件だろう。もう既に死んでいる彼女にとって、デスゲームに参加することに不利益はない。何故なら、死んでるのだから。

 死亡したとしても、プラマイゼロなのだ。


「──そうか」

 相手の手札が割れている分他の皆より有利だが、それは相手も同じだ。俺達の特性は割れている。

 それに、これまでの人間関係もある以上、もしかしたら一番相手をしにくいかもしれない。


 今回の会長会議で、抱える問題が増えてしまった。

 仲良くなれそうなのは冴恵香のクラスくらいで、他とは基本的に対立することになりそうだ。


「だけどまぁ、流石に6クラス分くればもう来ない──」

 誰がそう口にしたのか、人が十分に増えたその会議室ではもう捉えることができなかった。

 だけど、確実に誰かがそう口にした言葉はフラグとなり、7クラス目の参加者が扉の奥から現れて──


「──死ね」


 発砲音。


「──ッ!」

「伏せろ!」

 耳をつんざくような轟音が何回も鳴り響き、一気に発砲される。皇斗が俺と純介の2人を掴み、愛香が智恵を掴んでその場に伏せる。他のクラスのも人も伏せの体勢を取って、その銃弾の回避を試みる。

 何一つ動きを見せていないのは、唯々諾々とマスコット大先生ら担任くらいだろう。唯々諾々は、銃弾程度じゃ死ぬことはないは、マスコット大先生達は死んでも代わりはいくらでもいる。

 放たれた銃弾の全てが壁にめり込み無力化した後で、発砲した主が口を開いた。


「いやー、すまないねぇ。これがこっちの世界での挨拶なんだ」

 俺達が顔を上げると、いつの間にか空席の一つに腰を下ろしていたのは薄緑色の作業着を着た中年の男性。

 頬は少し瘦せているが、体格は良く着ている作業着の下には見事な筋肉があるのだろう。


 ──と、後ろを見ると他の若い男性陣も同様の薄緑色の服を着ている。

 その格好は、何かの制服と言うよりもまるで囚人服のように見えて来て──


 ──と、そんなことを思っていると智恵が俺の左側にいた智恵が俺に縋るようにしていた。

 体を震わせており、目の焦点が合っていない。何が起こっているのか理解できないけれど、俺は智恵が精神的に不安定になってきたのを察して抱き寄せる。


「智恵、大丈夫。銃弾は心配ない──」

「──ちがう、ちがうの……!いる、いるの……!あそこに……」

 俺の顔に肩を埋めながら、智恵は震えている。何がいるのかわからない──智恵にそう問いかけようしたその時だった。


 智恵が「いる」と恐れた相手の方から、声を開く。そこにいたのは、智恵の人生を狂わせた張本人。

 俺の手の届かないところで智恵を壊した大罪人。そいつは──、


「あれー、智恵じゃん。久しぶり。まだ男と遊んでるの?俺が捕まった時から変わんないね。俺ともまた遊んでよ。また、気持ちよくさせてあげるよ。って、他の男とヤりすぎちゃって俺の事忘れちゃった?薄情な女だな」

「──お前は」


「あー、智恵の今彼さん?初めまして。智恵の元カレの橋本隆貴です。早速で悪いんだけど、智恵を返してくれない?逮捕されてて、女に飢えててさ」


 そこにいたのは、智恵の元カレであり智恵の人生を破壊し凄惨な過去を作り出した張本人──橋本隆貴であった。

今日7月25日は智恵ちゃんの誕生日!

誕生日おめでとう。幸せになってね。


隆貴を忘れちゃったって人は智恵の過去(247話~257話)を読み直そうね

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
うお、すんげえカオスな展開に……。 しかし死人が生き返るのは、難しい判断ですね。 まあ作者様の自由にすれば良いと思うが、 あまり鬱展開は止めて欲しいかも、まあそれでも読みますが。
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