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8月1日 その①

 

 ──会長会議。

 その存在が匂わされたのは、第8ゲームで俺が捕らえられている間だっただろうか。

 マスコット大先生が俺のいる檻の所までやってきて「会長会議」の話を匂わせた。


 智恵と2人で寝るには暑い布団の上で、まだ夢の世界にいるであろう智恵を軽く抱きしめながら、俺は会長会議について考える。

 第二回試験の代わりにもなった「王国戦争」を乗り越え、第8ゲームが終わり俺達はこの現実に帰ってきた。学校しかなく、四方八方には奈落が広がっているこの空間を「現実」と呼んでいいのかはわからないけれども、少なくとも俺達にとっては「現実」であることに間違いないことだ。


 何はともあれ、現実に帰って来た俺達は本格的に「会長会議」の話をされる。

 そこで語られたのは、会長会議はいくつかに分かれた池本朗の派閥による「冷戦」であること。

 俺の父親──池本朗が複数いることは知っていたからそこについての驚きは特に無かったのだけれど、池本朗同士で意見が分かれることがあるんだ──そう思った事は記憶にも新しい。

 同じ自分なのだから意見も全く同じだと思っていたのだけれど、どうやら違うらしい。難しい所だ。


 それで、会長会議は8つの派閥に分かれているらしい。

 その派閥がどんな感じかは説明してくれなかったが、「真の天才」の解釈の違いってことは知っている。

 会長会議は冷戦の会場であると同時に、宗教会議のような立ち位置なのだろう。異端を決め、そのクラスを完全に排除するまで戦う──俺にはそう思えた。そうとしか思えなかった。

 いいように使われていると思うことは、ある。だけど、それを指摘したところでマスコット大先生──俺の父親である池本朗はヘラヘラ笑ってその事実を認めるだけだろう。参加者でしかない俺達は無力なのだ。


 一体、どんな人が会長会議に参加するのだろうか。

 池本ロン──そう名乗って、皇斗や紫陽花の目の前に現れた俺によく似た人物が現れるのだろうか。


 ──きっと、答えはイェスだ。

 理由はわからないが、本来できないはずの奇襲を池本ロンはしてきた。それは、会長会議で戦うことになる俺達を先んじて潰そうとしたのだろう。そうであれば、確実に出会うことになる。

 俺は会ったことが無いけれど、俺と似ている──ということであれば俺もすぐに気付けるだろう。


 さて、問題は誰を会長会議に連れて行くかだろう。

 俺が連れて行けるのは、俺を含めて5人。

 まず、智恵と皇斗・愛香の3人は確定だ。だから、残る枠は1つということになる。


 七不思議其の参で怪我を負った蒼や康太を連れて行くわけにはいかない。

 そうなると、特に大怪我をしていない人を連れて行くべきだろう。そうなると、俺としては純介に頼りたい。俺達8人の頭脳だし、これまで何度も助けられたからだ。


 ──と、そんなことを考えていると俺の腕の中にいた智恵が「んん……」とまだ眠そうな声をあげながら布団の中で蠢動する。

 カーテンの奥から、朝の陽ざしが入り込む。


 ──8月が始まった。

 これまでの人生で一番長い夏休みが、幕を開けようとしていた。


 ***


「池本栄君。おはようございます」


 10時。

 マスコット大先生が俺の寮にやってくる。突然ではあるけれど、ある程度予期していた来訪だった。


「おはようございます、マスコット大先生」

「準備はできていますか?会長会議の」

「今から2人を呼んで来ればいけます」

「わかりました。では、12時までには会議場に集合する算段ですので、12時までには準備しておいてくださいね。できたら、校門に前にいるのでお声かけ下さい」

 マスコット大先生はそう口にして、部屋を出ていく。智恵と純介には会長会議の動向をお願い済みだった。


「──じゃ、オレはお留守番か」

 健吾は少し寂しそうにそう口にする。稜は救護室で腕の治療をしてもらっているから、健吾は本当に一人になってしまう。


「ごめんな」

「いや、大丈夫。俺は美緒に慰めてもらうから。男同士の友情も存在していなかったってな」

「ごめんって」

「冗談だよ。頑張って来てくれ」

 そう口にして、健吾は握り拳を前に突き出す。俺と純介は、そこに重ねた。


「──じゃあ、俺は皇斗と愛香に声をかけてくるよ」

「わかった」

「いってらっしゃい」

 3人に見送られて、俺は一度外に出る。まずは、チームDの寮の扉を叩く。すると、皇斗が中から出て来た。


「もう、行くのか?一応、準備はできている。と言っても、何か特別なことはしていないのだけれどな」

「いや、まだだ。でも、12時までには会場に着いてないといけないようだ」

「なら、念には念を入れて11時30分にでも行こうか」

「うん。そうしよう」

「わかった。では、11時20分にチームCの寮に足を運ぶ」

「お願い」

 皇斗と確認が取れたから、次は愛香だ。そう思って、チームHの寮の扉を叩く。


「あ、栄。愛香はリビングにいるよ」

 虎尻尾が付いた歌穂に出迎えられて、俺がチームHの寮の中に入っていく。美女3人がそれぞれ好きなように座っているソファの中心。そこにいる傲岸不遜な金髪令嬢・森愛香はいた。


「愛香。会長会議は12時からだ。だから、11時20分には俺達の寮に来てほしい」

 俺は、愛香に要件を伝える。ソファに寄りかかっていた愛香は体を起こして、そして──、


「──何を言っているんだ?栄。妾は会長会議に参加しない。貴様の協力などしない」

「──は?」


 想定外の返答が返ってくる。

 いつかの会話を彷彿とさせるデジャヴが、繰り広げられる。そんな、気がした。

7月って、314話あったらしい。現状の1/3以上だ

さて、8月は何話になるかな。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
とりあえず無事ゲームクリア。 知恵が能力を使いこなせるようになったのは、 今後の大きな布石になりそうですね!
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