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7月31日 その㉗

 

 ──校門の外で行われていた2つの戦闘。

 一方は「七つの大罪」を覚醒させた第3回デスゲーム生徒会メンバーの九条撫子を一方的に嬲っていたところを、通りすがりの智恵に一瞬で敗北した偽マスコット大先生。

 初見殺しのような権能──否、体質を持った偽マスコット大先生に敗北しそうなところを、初見殺しである智恵の「七つの大罪」によって救われたことに関して、撫子は複雑な思いを持っていた。


 ひとまずは、約束を破って寮の外に飛び出た智恵を罰しようとしたけれど、偽マスコット大先生の体質のせいで上手く体を動かすことができない。

 今のうちに偽マスコット大先生のトドメを刺そうかと迷っていたところに、池本栄によく似た人物──池本ロンを自称する男が現れて、その偽マスコット大先生を回収していったのを何もできずに眺めていた。


 その一方、もう一つの戦闘では──、


「あ゛~~~~!!!!!ぐやじい~~~~~~!!!」

 服を赤黒く汚しながら、地面でジタバタとその四肢を動かしているのは一人のメスガキ。

 もう既に、マスコット大先生によく似た被り物は柊紫陽花によって剥がされておりその童顔が明らかになっていた。頭の高い所でツインテールをしたませたガキは、全く本気でない柊紫陽花に敗北していた。


「残念だったな。豪運の妾にケンカを売ったのが貴様の灰色だ」

 周囲には、有象無象の偽マスコット大先生の死体とそれから出た血だまりが存在しているけれども、柊紫陽花の身にまとっていた金のドレスは全く汚れておらず光り輝き続けていた。


「それで。貴様──いや、貴様らは何者だ」

「誰がアンタなんかに教えてやるもんかッ!」

「そうか。話すつもりはない──と。他の奴は会話するまでも無く死んでいったから、貴様とは話ができるかもと思ったんだがな」

 そう口にして、柊紫陽花はそのガキの方へと迫って殺害を試みるが──


「やめてよ。僕の友達に」

「──ッ!」

 紫陽花の豪脚をソフトタッチで止めてくる何者かが現れたから、一瞬の判断で紫陽花はその場から離れる。


 ──そこに現れたのは、池本栄によく似た人物。


「初めまして、柊紫陽花さん。僕の友達に攻撃を止めてくれてありがとうございます」

 そう口にして、乾いたような笑みを浮かべる偽栄。

 栄と同じで好青年のような印象だが、それでも状況が状況だ。その印象さえ胡散臭く感じる。


「──ロン様!まさかワタシのためにここまで来てくれたんですか!?」

「うん。そうだよ。ココロちゃんを助けに来た」

 ロンと呼ばれた栄似の人物には、周囲に転がっている偽マスコット大先生と同様の被り物をした人物が背負われている。

 彼の然程大きくない背中に2人が器用に背負われる中で、紫陽花の方を再度向いた。


「──もう片方は話が出来なさそうだったけど、紫陽花さんはできそうで嬉しいです」

「話ができるかは貴様次第だ。ロン」

 ロンは名前を呼ばれて一瞬目を見開くけれど、すぐに「ココロちゃんとの会話を聞かれてましたか」と口にして優しそうな胡散臭い目に戻る。


「──改めて自己紹介を。僕の名前は池本ロン。今は親友の一人を失って機嫌が悪いから、ただ純粋に対話に応じて欲しい」

 親友を失ったのはお前の都合だろ──紫陽花は心の中でそう毒づく。だけど、それを態度に出すことは無かった。話を聞いた方が有益──そう判断したからだ。


「僕の仲間がこんなに死んでいる。全員覆面教師の格好をさせているから人形だと思われるかもしれないけど、皆それぞれに名前があって人生があった。そして、全員僕の友達だった」

 悲しそうな顔をする割に、涙を見せるわけではない。そこが気味悪かった。心の底では、まるで仲間だとは思っていないかのように──。


「──僕の友達は皆、僕の為に死んでくれたんだ。僕がデスゲームになっても生き残れるように、こうして死んでくれたんだ。だって、この会場には僕達を追い詰めるかもしれない人がいるから」

「──何が言いたい」

「──そうだね。ここまで来ちゃったのだから宣戦布告を正式にするべきかな」

 ロンはそう口にすると、これまで浮かばせていた胡散臭い笑みを吹き飛ばして真面目な表情になる。

 その表情は、本気で栄が怒っていると重なっているような気がした──。


池本栄(いけもとさかえ)。僕は、彼を必ず殺す。皆をデスゲームで救うために」

 ロンのそんな宣言に、紫陽花は何を思っただろうか。ただ表情を変えずにその宣言を聞いて目を瞑った。

 そして、ゆっくりとその瞼を開いて──、


「──そうか。だが、今日のところはむざむざと撤退するのだろう?」

「──その通りだよ。今日は流石に、死人がで過ぎた」

 ロンはそう口にすると、2人を背負ったまま姿を消す。無限に湧き続けていた偽マスコット大先生は、いつの間にか現れなくなっていた。


 ──七不思議其の参『マン・イン・ザ・ミラー』の途中で行われた襲撃も、残された兵を倒せば終了するだろう。


「──さてと。もう一仕事、頑張ってやろうかな」

 紫陽花は伸びをしながらそう口にする。いつの間にか、偽マスコット大先生に囲まれていた。

 蹴散らすのには、10秒とかからない。

友達が「7月31日 その㉗」を見て、「この作品は27話あるんだ」って勘違いしてたの面白い。

895話です。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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