表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キラキラの向こうに  作者: 矢野あいこ
PR
90/156

プロ野球選手との淡い恋90

「美味しいよ」

その言葉が、下手なりにも作ったかいがあったと嬉しくなる。

今度、手料理を振る舞おうと本屋で料理本を買った。

家で試しに作ったが、味はとにかく、同じ材料を使っているのらに、美しく盛り付けられない。

この手のセンスが絶望的にない事を改めて知った。


それでも、先日のケイタリングのお礼もしたかったし、食べさせたいと思ったから今回、無謀なチャレンジしてみた。

だから、「美味しいよ」の一言は、そよにとって宝物だった。


着替えに行ったはずの光田が、帰って来た時の服のまま部屋から飛び出して来た。

「すっかり忘れてた」


何をですか?と、そよがたずねる前に、光田はそよのくちびるにそっと口づけた。

真顔で見つめたまま「ただいまのキス」と言った。

そして、何だかやり場のない恥ずかしさに慌てだす。

「着替えてきます」

耳まで赤くした光田は、何でもない風を装って部屋に戻った。


うわぁ。

思わず叫びそうになるのを、そよはぐっと堪えた。

家だったら興奮して、そこら中走り回ってしまうかもしれない。

光田が腰を曲げてそよに口づけた。

照れて逸らした表情が目に焼きつく。

そよは緩む頬を隠そうと、必死に下唇を噛み締めた。


光田は慌てて部屋の扉を閉めると、戸によりかかり両手でどうしようもなく火照る顔を抑えた。

ただいまのキス。

なんだそれ?

今までお付き合いした中でも、こんなことはしたことない。

せがまれたことはあっても、自分からするなんて。

何をやってるんだ、俺は。

自分でしておきながら、あまりの恥ずかしさに自分でツッコミを入れながら、叫び出しそうなのを堪えた。


暫く落ち着くまで立ち尽くしたが、そよの料理が冷めてしまうと慌てて着替える。

ジャージじゃ気を抜きすぎてるかな?

とも思ったが、かなりあるジャージの中でも一番お気に入りの、黒の落ち着いたラインの入った物を選んだ。


部屋を出る時、またそよに口づけたことを思い出してニヤけそうになった顔を、咳払いをしておさめる。

自分はこんなに顔や態度に出るタイプだっただろうか?

新たな自分の発見に、光田自身が驚いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ