プロ野球選手との淡い恋73
ようやく最後尾のプラカードを見つけて並んだ。
列に並びながら、みな、パンフレットを眺めては楽しそうに話しこむ。
「10時半からトークショーだから、その前に河原選手がプロデュースしたクレープ食べる」
「あ、いいね。それから、俺の料理に参加して、お昼食べながらまったりしたら、午後からのセレモニーとかに間に合うね」
前に並ぶ女の子たちが、慣れた様子で御目当ての選手が参加するイベントを軸に一日の予定を話し合っている。
手提げには好きな選手のピンバッジがたくさん付けてあり、ユニホームやチケットホルダーには同じ背番号、選手への猛烈な情熱を感じる。
周りの人達もみんなチーム愛に溢れていたから、そよは慌てて入会した時にもらったユニフォームを上から羽織る。
背中に番号はない。
にわかファンであると主張しているみたいで、少し恥ずかしい気持ちになった。
やはり、ここは光田の背番号入りは持っておくべきだったと後悔した頃、開始時刻にようやく列が進み始めた。
そよも当日に配られたパンフレットを見てみる。
光田を中心に、周りを数人の選手が囲む構成の表紙。少し厳しい顔をしているが、それがまた素敵だった。
昨日、フェイスタイム越しで話した優しい顔を思い出し、パンフレットと見比べ、やはりどちらもかっこいいと自然に微笑が緩むから、慌てて俯いた。
光田が参加するイベント案内にはトークショーがあったが、事前予約が必要で、受付は終了しましたと悲しいお知らせが記載されていた。
光田が配布するカレンダー販売も事前予約が必要で、それも販売終了となっていた。
一応、ファンクラブサイトで販売可能なチケットを確認出来たが、光田の参加するものは全て完売になっていた。
他の選手は今も受付中がある中、光田の完売率は他を圧倒していた。
そして、まるで慰めのように「会場イベントに選手の飛び入り参加もあるかも??皆さんも色々チェックして下さいね!」
なんて記載があった。
そよは人並みに揉まれながら、列に合わせて進んでいく。
せっかく来たのだから、何かイベントに参加しようかと、まだ受け付けているイベントを眺めると「俺の料理選手権」が目についた。
前の女の子たちも参加すると言っていたものだ。
参加選手は3人の若手選手。
決まったテーマ、同じ時間で料理を作り、特別審査員が独断で一位を決める。
参加と言っても、それを見るための入場制限だ。
料理が苦手なそよだが、誰かが作る姿を見るのは好きだった。
面白そうだなと申し込んでみることにした。




