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イラつく黒髪野郎

 なんか、最初がご都合かもです。

 

 二人は歩き出し、やがて大きなお屋敷にたどり着いた。どうやら彼はやはりお金持ちだったようだ。警備もその分多い。仕方がないのでルミアはノーリズ学院でフォンさんに軽く教わった裏覚えの透明魔法を使ってみる。


 よし、いいかんじ。


 二人はお屋敷を歩き、そして一つの部屋で足を止めた。何も言わずに入っていく。


 もちろん、ルミアも。


「ライト様、どうした御用ですの?」


 ヨシュリーナ様が硬い表情で問いただす。聞いてはいるが何を聞かれるかは分かっているという表情だ。


「おお、ヨシュリーナ、以前聞いていた話のことなのだが…」


 ライトというらしい男はヨシュリーナさんにニコニコ(愛想笑いもどきを)しながら話しだす。対して、ヨシュリーナさんはそのままの硬い表情で言葉を返した。


「あの、その件についてはお断りさせていただきます…!誠に申し訳ありません。私の家では受け入れることが出来ません。」


 優雅に頭を下げたヨシュリーナさんを男はとてつもなく冷たい目線で見つめていた。

 と、急に何かを思いついたように唇の端を上げる。ルミアの背中がぞわっとなった。嫌な、笑みだ。


「この件を断るとすればあなたはどうするのですか?」


「どう、とは?」 


「あなたの今の状態は没落貴族がパン屋をやっているという状況です。つまり、身分は平民。私のような貴族に逆らうべきではないのですよ。ふふ…」


「平民、貴族がなんですか!」


「おおっと、生意気ですね。そういう口は捻りあげてやりましょうか?私はただでパンを融通してくれるだけでいいといっているのですよ?」


「だけではないです。こちらはその〝だけ〟に生活がかかっているのですよ!こちらの利益になりませんので!」

  

 パンを無料で融通…?そんな都合の良いことを何言ってんだ?この男、もしかしてじゃなくても、バカ?


「利益などは関係ない!平民は貴族の税稼ぎだ。」  


「違います!」


「違うわけない!お前が俺より正しいわけないだろう?」


 これは、話が通じない人だ。ルミアはすぐにそう思った。ヨシュリーナさんは一生懸命訴えているが彼には全く響いていない。双方の怒りのパラメーターだけが上がっている。


「ふん!もの分かりの悪い平民だな。黙れ!!」  

 

「無理です!」


 その時だった。彼が手を出したのは。


 バッチッーン!


 痛そうな音が辺りに聞こえた。


 ヨシュリーナさんが涙目で頬を呆然と抑えていた。そこで、ルミアの我慢モードが消えた。


 

 


 

 ありがとうございました

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