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思わぬお客様

 今日は早めです。

 思わぬ出来事に驚きつつ、サインをする。


 男子生徒はとても嬉しそうな顔でスキップしながら教室へと帰っていった。


 よし、私も帰ろっと。

 

 そう思ったがその願いはすぐさま砕け散った。


「良ければ私にもサインをお願いします。」


 おどおどした感じで色紙を差し出してくる女の子にサインしたらもう大変だ。

 一気に人が押し寄せてきて私は潰れそうになった。


「はい、きちんと並んでくださいね。」


 そこで、ライラ様の声がして、私の体は解放された。

 多分、慣れていたのだろう。

 手早くファンとの交流を終え、ありがたいことに人々の整備をしてくれている。

 

 ああ..、彼女が女神に見える。


「私は握手を!」


「私はサインと握手を!」


「ずるい!じゃあ、俺も!」


「僕も握手を!うわ!ありがとうございます!一生手を洗いません。」


「洗ってくださいませ。」


 流石にそれは.....ダメだ。


 ていうか、すごいイベントみたいになってない?

 いつのまにか、さらに人が増え、お祭りみたいになっている。


 でも、もうあと少しだ。

 並んでいたのは、約五十人(見物人、ライラ様ファン含まず)なので、すごく疲れた。

 

「私も、握手とサインを頼んでもいいだろうか?」


 へっとへとになった頃、スマートに差し出される手があった。

 品のある美声につられて、顔を上げると、整った顔が目に入る。


 ほへっ!


 少し考えるとわかる、この顔は


.....王子だ。あの、キモ王子。


「疲れているようだが、すまない。」


 え?これ本当にキモ王子?


「あの、僭越ですが、リクト王子でございましょうか。」


「そうですが。」


「その、入学式と様子が違いますので。」


「ああ。」


 私の言葉を聞くと、王子はカラカラと笑った。


「あれは、キャラだよ、キャラ。俺は化粧で元の顔が分からず、お世辞を言いながら裏で笑い、金と男につられるやつが嫌だからな。わざわざキャラを使って接する人を決めているのさ。ちなまにこっちが素。」


「それ、言ってしまって良かったのですか?」


「多分。」 


「なんて、心配になる言葉!」


「まあ、ヤスシ様が信頼されている方ならば心配いらないだろう。王族の権力は正直、基本的にヤスシ様が最高だからな。」


 ヤスシ!って気軽に思ってたけど、かなりすごかったみたい。

 カエルのリビング話してたのに。

 

 カエルにニヤニヤするヤスシしか知らないルミアは首を傾げるのだった。

 読んでくださりありがとうございます。

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