真剣なフォンさん。そして、信頼
あの方、覚えていますか…?
繊細な?
そうかな?でも、慣れてなかったら難しいよね。
メフィルは当たり前に、基本的に魔法が苦手(ただ、うまく使うし体力がある)なマルヴィルも使ってたけど…
「ふぅん。筋がいいどころじゃない。逸材だね。じゃあ、かなり難しい魔法を教えようか。こっちに来な。」
ルミアはフォンさんに引っ張られ、クラスメートの視線を受けつつ近くの訓練場的なところに着いた。
「すご!」
思ったより綺麗なところだった。
…いや、でも貴族様が使うからね。綺麗に決まってるか。お金かかってんなぁ。民衆の税はここに消えているのか。
途端に成金の馬車を眺めるような気持ち(?)になったので考えるのをやめた。
「正直、ノーリズ学院よりも綺麗だろう?」
フォンさんがカラカラと笑いながらそう言った。
…遠慮ゼロだな。
「まあ…」
「素直だねぇ。ははっ」
言い出したのそっちだろ!?
それにしても…
「フォンさん、こっちの学院にもいらっしゃるのですね。驚きました。」
「まあね。でもノーリズ学院が本命でここは兼業。お金貰えるしね。どうしても偉いさんが来て欲しいっていうから来てる。そうじゃなきゃ、こない。」
結構さっぱりした人だな。好感が持てる。
「あの、答えたく無かったらいいんですけど、フォンさん何者なんですか?」
カラカラとフォンさんが笑う。
「ちょいと名の知れた魔法使いさ。」
いや、今の会話を聞くに、ちょいとどころでは無さそうな気配なのですが。
「そうなんですか。」
これ以上は踏み込まないようにした方がいいのだろうか?
「そうだな。そして、わざわざここに連れて来たのには理由があるんだ。何か心当たりはあるか?」
「いえ…何かありました?」
心当たりは無い。しいて言うならば…
「もしかして、どちらの学校にも行くのはダメなのですか?」
血の気が引く。王に報告などがいることなのだろうか。
「ああ。報告はいる。必要だ。」
「え?」
やばいやつ?これ、炎でチーンてなるやつ?
「だが、別にお前は申請が内密に完了しているぞ?」
「へ?」
「元王である、ヤスシ様がルミアという名前を聞いて申請しておったぞ?」
「ええええええええ!」
めちゃくちゃ驚きだった。
二つのことに。
まず、ヤスシ!
あのおじいさんが元王だったこと。
二つ目、勝手に申請されていたことだ。
助かったけど…
なんか、複雑…
「うむ。知り合いなのか?」
「まあ…」
「なら、話は早い。」
「え?ヤスシ様に関係があること?」
元王とも関係あるなんて…なんかヤバそう。
フォンさんが真剣な顔になった。
「今から話すことは内密にしてほしい。そして、ルミア様がそれに当てはまらないのなら記憶を消すことを許可して欲しい。契約していない今の段階で詳しく話すことはできないが…多分あなたは…それに当てはまっている。これで、同じように、道を誤ってほしくないんだ…!」
訴えかけるような目だった。
今のこの人が嘘をついているとは思えない。
「分かりました。」
フォンさんが虚を突かれたように目を丸くした。
「いいのかい?ほぼ、初対面だが。」
「はい。」
信じているから。
それに…
ルミアの小さな声は溶けるように消えていった。
読んでくださり、ありがとうございます。
ヤスシ…なんだか初登場の時、アクセスが異様に伸びた…
久しぶりの登場でした。
「極悪人と聴く除夜の鐘は」もよろしくお願いします。




