計画2
手違いで冒頭の部分が投稿出来ていませんでしたので修正しました。失礼しました。
立川の言う詳しい者とは、隣の研究棟に研究室がある教授の事らしい。星の分布を研究しており、国際的にも著名な研究者である。と立川が紹介してくれた。
気分転換がてらに、二人で歩いてその教授の元へと向かう。「小林さんはどうしてこんなに一生懸命に宇宙に向き合っているんですか?失礼ながら、専門の方ではありませんよね?」悲しいことに、立川は、先ほどまでの熱量のある語り口調では無く、ファーストインプレッションの通りどこかぶっきらぼうな口調に戻ってしまった。しかし、自分に興味を持って貰えるだけマシだ。と小林はポジティブに考えることとする。「私は、夢想家なんです。この歳になっても突拍子も無いことを考えるのに余念がないんですよ。後は、出来るのに、やらない。って言うのが心底嫌いなんです。まぁそれも自分の考えの範疇だけの話なんですけどね。夢想家でしょ?」「そうですね。でも、唯の夢想家では無いと思います。行動力が半端じゃない。それにさっきの話は全て条件が当てはまればいけそうですし。」小林は驚きを隠せなかった。宇宙技術の専門家が小林の考えを、可能性があると断言したからだ。ここです。と、案内され、階段を上り、研究室に通される。ネームプレートには岡部と表記されていた。
立川がノックして岡部の研究室へ入る。中から入室を促す声が聞こえ、小林も入室した。「こんにちは小林さん。観測班の岡部です。なんでも星の分布を知りたいとか。」立川とは打って変わって人の良さそうなおじ様だ。「どんな星をお探しかな?」キラキラとした目で問いかけてくる。「人が居住できる可能性がある惑星です。ブラックホールでスイングバイ可能な方向で、地球からなるべく近くで。」「ふん。あるにはある。1.3光年ほど離れたノアと言う惑星だね。」「他にもありますか?できるだけ多く。」「近くで居住の可能性がある惑星はいくつかありますよ。しかしブラックホールによるスイングバイとなると本当に限られてくる。良ければ、詳しい話しを聞かせてくれないかな。本当に探している星がきっと見つかるよ。」小林は岡部に全てを話した。話している間岡部はずっと黙って話しを聞いてくれていた。「なるほど。だからブラックホールのスイングバイにこだわっていたんだね。しかし、10年か。難しいね。」暫く誰も口を開かない。「こう言うのはどうだろう。10年と言う時間を決めてしまうならブラックホールまでの距離が多少遠くても、最終的に時間内に目的の惑星まで着けばいいんだよ。だから、人間がどれだけ航行に耐えられるか、そこから導き出した時間内で考えられる惑星を探査の目標にしたらどうだろう。はっきり言って数は数個程度だと思うけど、目標が明確になっていいんじゃないかな。」「岡部さん、あなたは私の話は可能性がある、そうお考えなのですか?」「私はそう思いますよ。小林さん。宇宙科学の専門家が真剣に考察して、星の分布の専門家の私に話しを持ってきた。この時点で理論的には可能性あり、と言うしかないでしょう。しかし、ここからが大変だ。なんせ、国を動かし、世界を団結させなければいけない。宇宙開発は手強いからね。頑張ってね。」
岡部の研究室を後にし、小林は立川の研究室へ戻っていた。「立川さん今日は本当にありがとうございました。これからこの計画を実現するために何をすればいいか、じっくり考えることにします。それでは失礼します。」
立川と別れた後小林は東京へ向かっていた。新幹線の中でホッと息をつき、ペットボトルのお茶で喉を潤す。東京到着後はさゆりと会う約束になっていた。外務省に務める彼女に今後の協力をお願いするためだ。「それにしても、腹が減った。」小林は東京で美味いものをさゆりに教えてもらおうと決意するのだった。そんな風に、晩ご飯の事で頭がいっぱいになったころ、新幹線は定刻通り東京駅に到着した。小林は早速さゆりに電話をかける。「・・・あ!さゆり?俺、腹減った。なんかうまいもん食べたい。・・お!お寿司いいね!それにしよう。どこ行けばいい?・・銀座!やったぜ!駅着いたらまた連絡するわ!また後で!!」小林は小躍りしながら銀座に向かった。
二人は、銀座駅の近くにある、時計が有名なデパートで待ち合わせた。
「さゆりおたませ!お寿司!」「小林くん。あのねぇ。挨拶もそこそこに「お寿司!」はないでしょ?子供じゃないんだから。」さゆりは、まったくもぉ。と呆れたように呟いた。
二人は本格的な江戸前寿司を、リーズナブルな価格で提供してくれる人気店で食事をとることにした。
「銀座っていうから凄いお洒落な街なのかと思ってたけど、梅田と変わらんな。確かにビルは梅田よりもっとでかいけど。」小林は大好きなウニを頬張りながらさゆりに問いかける。「確かに、大阪とあんまり変わらんよな。でも、やっぱり可愛いお店多いよ?なんでも最先端やし。」さゆりは脂がのったサーモンを美味しそうに食べながら答える。「そうなんか。ところでさ、仕事は順調?」「まぁまぁかな。とりあえず私の担当してるイギリスとのFTA交渉の修正案は落ち着いたよ。他の担当の人の応援でちょっと忙しいけど。小林くんは?」「仕事は順調そのものやで。けどな、もっと大事な事ができて、それが物凄く忙しい。」小林は大好きなアジを頬張りながら続ける。「一昨日の同窓会で俺が話したこと覚えてる?宇宙へ人類が行くべきやって話。」さゆりは少し佇まいを正し、短く、「うん」と返事をしてくれた。「あの話な、JAXAの人に相談してみてん。実現可能かどうか。」「うん。」「理論上は実現可能って返事貰った。」「・・・そっか。・・」「そこで、さゆりにお願いがある。俺の計画を手伝ってくれ。」さゆりは、ふー。とため息をつく。「具体的にどう手伝ってほしいん?もし、外務省として手伝って欲しいんやったら、公式な証明が必要やで。それ無しで公式なルート以外では、私の一存で国として何か行動するって事はできへん。」「そうやな。確かに。公式な証明かぁ。頭に無かったわ。必要な様式とかある?」「うーん。JAXAの人に頼めるんやったら、それが一番いいと思う。提案書とか作成してるやろうから、その様式で問題ないと思う。」「じゃあさ、もし公式な証明があれば、外務省として俺に協力してくれる?」「うん。友達やし。小林くん大学時代から変わってたし、何考えてるか分からん人やったけど、真っ直ぐな人間って事は知ってるから、手伝える事は喜んで手伝うよ!」「俺の評価悲しいな。でもありがとう。用意できたらまた連絡する。」二人は、その後は和やかに食事を楽しんだ。
「忙しいのに時間くれてありがとう!美味しいお寿司屋さんも教えて貰ったし今日はぐっすり寝れそうやわ。」「小林くん、今から大阪に帰るん?」「いや、ホテル探すわ。疲れたし。」「うん!そのほうがいいよ。それじゃあ私は帰るね。また!」
小林はさゆりと別れた後、ビジネスホテルに部屋をとった。
「ふう。立川さんと岡部さんには悪いけど、俺たちが話したことを文章にしてくれって、頼むしかないな。手間をとらせて申し訳ないけど、二人なら了承してくれるだろ。」「ん?メールが来てる。あ、立川さんからか。・・え!?」メールには次のように記されていた。
「
ToKobayashi.com
FromTachikawa.com
cc/bcc
件名 小林様。本日のお話について
小林様、本日は大変興味深いお話をお聞かせ頂きましてありがとうございました。専門家でない貴方の様な方が、我々研究者が思いもつかない角度から、人類の未来を切り開くアイデアをもたらしてくれた事に、大きな喜びを感じています。また同時に、宇宙への探究心がより一層深まり、研究への熱意を燃え上がらせる事ができました。重ねて御礼申し上げます。何か私に手伝える事がありましたら、ぜひご連絡ください。」
「立川さん、マジいい人やん。あ、追伸ある。」「追伸、余計ではあると思いますが、本日の我々のやりとりを簡単に文章にまとめました。役に立つといいのですが。」
「立川さん、マジ優秀。ありがとうございます。」小林はパソコン越しに立川に手を合わせてお礼し、早速返信する。
「
ToTachikawa.com
From Kobayashi.com
cc/bcc
件名 Re:小林様。本日のお話について
立川様、本日は貴重なお時間を頂き、誠に有難うございました。立川様より、私の訪問が立川様にとって価値あるものになったと伺い、恐悦しております。大変な質問ばかりでしたが、真摯にお答え頂き、私の計画が実現可能であると確信することができました。重ねて御礼申し上げます。
さて、早速ではありますが、立川様のお言葉に甘えさせて頂き、お願いしたい事がございます。私はまず、日本国政府に対し、人類が移住可能な天体への探査、移民の計画を説明し、速やかに実現させるべく働きかけたいと考えております。つきましては、恐縮ではありますが、私の考えをJAXA職員として、立川様が支持する旨の文章をご用意頂きたいのです。お願いできますでしょうか。ご協力いただける様であれば、また明日電話にてご連絡致しますので、ご都合の良い時間をお知らせ頂けますか。よろしくお願いします。」
小林は立川にメールを送るとシャワーを浴び、1日の疲れを癒した。彼が風呂上がりの牛乳を堪能していると、なんと立川からメールの返信があった。立川と翌日の正午ごろに電話の約束をとりつけ、小林は眠りにつくのだった。




